2013年4月3日、ポルシェ・ジャパンは、4月21日に開幕する上海モーターショーでワールドプレミアを行うグランツーリスモの第2世代、新型パナメーラの受注を4月15日から開始すると発表した。
新型パナメーラは、ラグジュアリークラスで世界初となるプラグインハイブリッドシステムを搭載し、最高出力416psを発生する「パナメーラS eハイブリッド」、ホイールベースが延長された贅沢なエグゼクティブバージョンの「パナメーラ・ターボ」、「パナメーラ・4S」が新たにデビューする。多数のバリエーションはさらに拡大され、より幅広いラインアップによってラグジュアリークラスとして傑出したスポーツ性とプレステージな快適性を実現する。
プラグインハイブリッドという新たなテクノロジーの導入の他に、従来技術の改良により、燃費は最大56%も低減しながら、走行性能、快適性を高めているという。ニューパナメーラは、より引き締まったボディラインに新形状のボディエレメントを加え、新世代のスポーツカーにふさわしいデザインを採用。すなわち、新型パナメーラはより効率的に、よりスポーティに、より快適に、そしてよりエレガントに生まれ変わった。
■パナメーラS eハイブリッド
パナメーラS eハイブリッドは、パラレル方式のフルハイブリッド・システムを発展させたもので、より強力なモーター、より多くの電力を供給する高性能バッテリー、そして外部充電機能を備える。エレクトリックシステムは、先代モデルの電気モーター(34kW)の2倍以上となる95ps(70kW)のパワーを発生。エネルギーを供給する新開発のリチウムイオンバッテリーは、先代モデルのニッケル水素バッテリー(1.7kWh)を5倍以上も上回る9.4kWhの容量を備える。ドイツの通常の家庭用コンセント(230v)に接続した場合は、4時間以内で充電できるという。
パナメーラS eハイブリッドの走行性能は、当然ながら先代モデルのパナメーラSハイブリッドを大きく上回る。しかも燃費(NEDC:新ヨーロッパ走行サイクル)は、先代モデルのパナメーラSハイブリッドの7.1L/100kmから3.1L/100kmへと56%も低減されている。同時に、バッテリーのパワーのみによる走行も、加速力、航続距離、最高速度ともに大幅に向上しており、燃料を一切消費せず、エミッションを排出せずに走行可能な範囲を拡大し、特に市街地でその能力を発揮できる。
パナメーラS eハイブリッドの電力のみによる航続距離は、NEDCで36kmを記録する。ただし、NEDCのテスト条件はエアコンやヒーターはオフにされているので日常使用における現実的な航続距離は約18〜36kmとされる。また、電力のパワーだけで最高速度は135km/hに達する。
0-100km/h加速タイムは5.5秒で、従来より0.5秒短縮された。この動力性能を得るため、エンジンのパワーを電気モーターがアシストするEブースト機能を備えている。この機能は、追い越しをかける場合などのキックダウン操作によっても作動する。最高速度は270km/h。ポルシェが開発したパラレル方式のフルハイブリッドコンセプトは、エンジンを停止したまま無動力走行する「コースティング」、エネルギー回生機能もこれまでより高い速度でも可能となっている。
■エグゼクティブ・モデル
新型パナメーラは初代から採用されている、リヤシートをフルバケット2シーターとするパッケージ・コンセプトをさらに追求し、新世代グランツーリスモのモデルレンジ拡張を行っている点も特筆できる。新しいパナメーラ・ターボ・エグゼクティブとパナメーラ4Sエグゼクティブでは、ホイールベースを150mm長くしたことで車内後部の足元をさらに拡大。リヤシートの快適性をより向上させた。エグゼクティブの全モデルにパナメーラ・エアサスペンションを装備し、卓越した快適性とポルシェならではのダイナミックなドライビングを両立させている。
■ダウンサイジングされた新V6型ツインターボエンジン
パフォーマンスと効率性を同時に高めることを目指し、ダウンサイジングをコンセプトにより開発された新しい3L・V6型ツインターボエンジンが登場。従来のパナメーラSとパナメーラ4Sに搭載されていた4.8L・V8型からこの新型V6型エンジンに変更された。この新型エンジンはパナメーラ4Sエグゼクティブにも搭載される。
この新しいV6型ツインターボは従来モデルに搭載されていたV8型より最高出力で20ps、最大トルクで20Nm増大しているにもかかわらず、18%の燃費向上を実現。ターボ過給は低回転域から始まり、広い回転域で最大トルク520Nmを発生するパワフルで効率性に優れたエンジンだ。
パナメーラモデルには7速ポルシェ・ドッペルクップルング(PDK)が搭載されるが、パナメーラS eハイブリッドのみは8速ATのティプトロニックSが採用される。このATはコースティングから停止するまでの間、燃費を向上させるためにオートスタート/ストップ機能により早めにエンジンを停止。パナメーラGTSを除くPDK仕様車には高速道路で燃費向上に大きく寄与するコースティング機能が備わる。
■エクステリア
パナメーラを一目見ただけで、エクステリアデザインが改良されていることが分かる。フロントエンドはよりタイトなラインでまとめられ大型化されたエアインテークやヘッドライトに流れるラインに新しさが見られる。サイドでは、より傾斜したフロントウインドウにより前後方向に伸びやかなフォルムを描く。新しいテールゲートも新世代パナメーラの特徴だ。リヤウインドウが拡大されたがワイドでスポーティなグランツーリスモのイメージを強調する。また、幅の広いスポイラーなど、リヤセクション全体のデザインが見直され、ラインがテールライトに向かってタイトに流れている。
先代モデルと同じく、特別な外観を与える新しいLEDヘッドライトなど各種オプション装備が設定され、自由にカスタマイズすることができる。
パナメーラはバイキセノンヘッドライトやマルチファンクション・ステアリングホイール、オートマチック・テールゲートなどの装備が新たに標準装備化された。さらに、ドライバー支援システムのラインアップが拡充され、例えばアダプティブクルーズコントロールは、危険な状況では積極的に自動ブレーキが作動する。カメラを利用した交通標識検知やレーンチェンジアシストシステム(LCA)などが長距離の移動や高速道路の走行をでより大きな効果を発揮する。
なおパナメーラ・シリーズの中で最もスポーティなモデル、パナメーラ・ターボSとパナメーラ・ターボSエグゼクティブは、2014年にデビュー予定だという。