【テスラ】最高技術責任者ストローベル氏が語るテスラの技術動向


2012年3月1日、テスラモーターズのJB.ストローベルCTO(最高技術責任者)が来日し、最新の技術開発状況について語った。

ベンチャー企業であるテスラ社は、技術面については独自開発を重視し、すでに知られているようにダイムラーベンツやトヨタなど他社に技術供与するなどの実績を自ら評価している。

独自技術の例としては、世界に先駆けた電池マネジメント技術をはじめ、自社開発の駆動用モーターは他社のような永久磁石型を使用せず、誘導モーターを開発して使用してることなどをあげている。このモーターはアルミボディを持ち50kgと軽量に仕上げられ、最高1万4000回転に達する高回転を可能にしている。ローターにはアルミではなく銅が使用され、最高375V、900Aが供給される。

↑専用開発された誘導型モーター          ↑駆動用インプットドライブシャフト
またリチウムイオン電池は、同社のロードスターでは6831個(56kWh)の18650規格の民生用を採用し、価格もきわめて高価だったが、今後発売されるモデルS、モデルXは、資本参加と業務提携、供給契約したパナソニック社製バッテリーを使用するとしている。それは、自動車用ニッケル系正極のリチウムイオン電池(18650規格)で、飛躍的に性能が向上するとしている。ただし、この新世代電池はパナソニック1社供給ではなく、他のメーカーからも供給されるようだ。

なおロードスターのリチウムイオン電池は、保証年数3年間とされてきたが、現在は7年間に延長されている。IGBT(パワートランジスタ)およびパワーコントロールユニットのファームウエア改良以外に、モーター、電池、パワーコントロールユニットの水冷化など温度管理を改善したためだ。

これに対して、今後発売されるモデルS、モデルXは、より性能が向上した自動車用リチウムイオン電池を採用することで、電池の保証は10年間に延長されるという。

↑ハイパワーケーブル                  ↑標準ケーブル

充電に関しては、今後の直流急速充電に対応する計画はあるが、アメリカ/ヨーロッパ規格にする方針で、日本向けには日本オリジナルのCHAdeMO規格用のアダプターを設定するつもりだという。ただし、アメリカではあくまで家庭用電源による充電が主流であることは間違いなさそうだ。

テスラ社では、120V充電用ケーブルとして、家庭用ハイパワー充電ケーブル(ブレーカー90Aで最高出力70A〜ブレーカー50Aで出力40A)、家庭用標準ケーブルで30A出力をラインアップしている。ハイパワー充電で4〜6時間、標準ケーブルで6〜48時間とされており、夜間に自宅ガレージで充電するのが一般的なため、急速充電器の展開はそれほど緊急な課題とは考えていないようだ。

テスラモータース公式サイト

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