【MINI】 クロスオーバー試乗インプレッション 動画付き

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MINIからまったく新しいコンセプトのモデル、ミニ・クロスオーバーがデビューした。これまでのミニブランドにはハッチバックスタイルの通常のミニ、それとコンバーチブル、クラブマンと3つのモデルがあったが、今回第4番目のモデルとしてクロスオーバー(R60)が加わった。カテゴリー的にはSUVであるが、デザイン的にもSUV色は打ち出されておらず、あくまで車高が高めのシティ・クロスオーバーカーといっていい。

そのため全高は高く、ヨーロッパ仕様は1561mmとなっている。しかし、国内では立体駐車場を考慮し、全高を1550mmとわずかに低める配慮が見られ、都市型ユーザーを訴求していることが分かる。

これまでのコンバーチブルやクラブマンはミニの派生モデルであり、プラットフォームやパワートレインが共通で、極端に言えば、外観デザインが違うモデルである。しかし、今回デビューしたクロスオーバーはプラットフォームを新開発し、ホイールベースも長くなっている。そのため、4ドア化することも可能となり、さらにミニブランドとしては初の4WDシステムも搭載している。

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だから、このクロスオーバーはミニカテゴリーに属してはいるが、まったくの新型車という言いかたもできるわけで、今後の車種展開があるとすれば、クロスオーバーのオープンモデルというのも可能になるわけだ。ミニのデザイン人気は高く、しかしながら2ドアモデルしかなく使い勝手の点で購入に踏み切れない、という潜在的なユーザーが多くいると思う。そのユーザーをカバーするためには、4ドアタイプでユーティリティを考慮したミニを誕生させ、そしてユーザーを取り込むことができるという狙いだ。

そのクロスオーバーは、シャシーは新型でも搭載されるエンジンやグレード構成はミニと同じである。だからミニ・クロスオーバーにはワン、クーパー、クーパーSというグレードが存在し、新たに、クーパーSオール4が追加という理解でいい。そして、そのクーパーSオール4に試乗してみた。

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搭載されるユニットは1.6Lの直列4気筒直噴+ツインスクロールターボで、バルブトロニック機構をもつPSA製のエンジンだ。ミッションはアイシンAW製6速ATとゲトラグ製6速MTがあり、試乗はATをチョイスした。エンジンの特性やミッションについてはこれまでのミニと同じで、スペック上違いはない。しかしクルマの大きさが違うことなどから、トルク特性などには違いがあるかもしれない。

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走り出してみると、ミニのあの機敏なハンドリングとは違う味だった。ホイールベースが長くなったためなのか、ミニよりもゆったりとしている。けっしてゆるいものではないのだが、ゴーカート的といわれたミニの乗り味ではないしエキセントリックなフィーリングは薄れている。SUVではあるが、むしろ乗用車の乗り味であり、一般的にはこちらのほうが乗り心地もよく、また鋭すぎるハンドリングに気を使うこともないので、馴染めるのではないだろうか。さらに言えば、ドイツ車特有のしっかりした直進性、正確なハンドリングは、このクロスオーバーでもみごとに創られており、ステアリングを切った瞬間に、切った分だけノーズが入っていく動きはする。

ドライビングポジションは、SUVらしくアップライトに腰掛けるスタイルでオールド・ミニの伝統的なドラポジを思い出した。BMWになってからもどちらかといえば、立ったドラポジであるため、クロスオーバーにもそのポイントは継承されたようだ。

サスペンションはフロントがストラットでリヤがマルチリンク。フロントは等長ドライブシャフトになっている。また、ミニ初の4WDであるオール4モデルは前後輪へのトルク配分を自動的に制御し、最大0:100から100:0まで変化する。だから、低速域でも高速域でも4WD であることを気にすることなく乗ることができる。

インテリアで目につくのは、ミニのアイデンティティでもある大きなスピードメーターや、丸みを基調としたインテリアデザインがこのクロスオーバーにも装備されている点だ。また、センターコンソール部分には後部座席までつながるセンターレールが目を引く。コンソールボックスを意味するこのレールには、ドリンクホルダーなどを自分の好きな場所に取り付けることが可能というアイディア品である。

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シートは4席が独立したタイプが標準で、オプションで後席3人乗り用シートを選ぶことができる。標準は独立タイプだからトランクスルーの使い勝手もいい。また、すわり心地はドイツ車に共通する硬さを持ち、ミニよりはホールド性の高いシートが装着されている。ポジションは前述したが、ややアップライトなポジションであるため、見下ろすイメージで運転できる。

ボディカラーやルーフカラー、ミラーカラー、そしてインテリアカラー、シートカラー、アルミホイールなど、組み合わせ豊富なこともミニの特徴で、このクロスオーバーも充実したコーディネイトが楽しめるようにもなっている。このあたりも、ミニらしさであり第4のミニというポジションになるわけだ。なお5車種がエコカー減税モデルとなっている。

価格表

文:編集部 髙橋 明

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