BMW MINI アップデートモデル解説と松田秀士が試乗インプレ MINIクロスオーバー生撮り動画

マニアック評価vol27
2010年にBMW MINIには細部にわたり仕様変更やアップデートを行った。5月にはエンジンや補器類が変更され、8月にはインテリア・エクステリアのアップデートが行われ、装備品のデザイン変更が加わった。

↑MINIクロスオーバー生撮り動画

5月に行われた変更では、マニュアルミッションにアイドルストップ機構が追加され、燃費向上に大きく貢献している。ミッションは従来どおりゲトラグ社製である。ちなみにATミッションはアイシンAW製である。こちらはマツダ・アクセラなどに搭載されているミッションと同じタイプのATだけに、ATモデルにもアイドルストップ機構が付くのも時間の問題だろう。

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↑左)クーパーSインテークダクトのデザインが変更。右)ONEは1.4Lから1.6Lエンジンに換装

そして、マイクロハイブリッドになったこともトピックである。このシステムはMINIに限らずBMW全体に採用されているシステムで、ブレーキを踏んだときやアクセルをオフにしたときに生じる運動エネルギーを電力に回生し、エンジンに負担をかけることなくバッテリー充電を行うというものだ。つまり、オルタネーターの制御をすることで、エンジン負荷を減らし、燃費向上に寄与できるというシステムだ。詳細は既報のBMW最新のテクノロジー その2を参照してほしい。

ここまではMINI全体に関わる変更であったが、モデル別に変更点を確認してみると、これまで1.4LだったMINI ONEのエンジンが1.6Lに変わった。エンジンは従来どおりBMWとフランスのPSAグループが開発した「プリンス」で、この排気量アップで3psのパワーアップと約19%の燃費向上をしている。

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クーパーでの変更点は従来の1.6Lのバルブトロニック付PSA製エンジンに変更はなく、内部のフリクションを低減し、オイルポンプの制御マッピングを見直すことが行われた。これにより、約19%の燃費向上と2.3%の馬力アップを果たしている。

クーパーSではこれまでの1.6L直噴ツインスクロールターボエンジンに、バルブトロニック機構付に変更されている。同じくPSA製のプリンスエンジンである。この変更により、9馬力のアップをしながら約33%もの燃費向上をはたしている。

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そして2010年8月生産分以降のモデルにはインテリア・エクステリアのアップデートが行われている。このデザインと標準装備内容の変更に伴う新たな車両型式認証により、クーパーSのATモデルがエコカー減税の対象モデルとなり、これによりMINIラインアップ17車中10モデルがエコカー減税の対象モデルになった。

しかしながら、デザインという要素がMINIの生命線のひとつでもあり、アイデンティティでもあることから、この変更は大幅なものではなく小幅な変更にとどめている。継続されるデザインコンセプトは平行のデザインラインをもつダイナミック性、円を多用した丸型のデザイン、そして筋肉質なボリューム感といったイメージはそのままである。つまり、オーナーやMINIマニアでない限り、見比べないと違いがわからない程度に抑えられているというアップデートになる。

では、具体的にどの部分が変更されたのかを見ていくことにしよう。

エクステリアでは、テールランプとリヤランプがLEDを採用したものになり、それぞれのモデルでデザインが変更になっている。フロントではクーパーSのバンパーデザインが変更され、ブレーキ・エアダクトが改良されクーリングによるパフォーマンス、エアロダイナミクスが向上しているという。クーパー、ONEもバンパーデザインは変更され、歩行者保護を強化したデザインのものになっている。

インテリアでは、全体的にブラックのアンソラサイト・カラーとクロームの効果的に使用し、よりエレガントさと高級感、ハイクオリティを狙ったものに変更されている。エアコンのコントローラー、ラジオのディスプレー、CDスロット部、ステアリングの一部のシルバー部がアンソロサイト・カラー(ブラック系)に変更している。また、ラジオコントロールスイッチは操作性を改善するために、上部速度計の下に集中して配置されている。しかし、このスイッチの配置が変更になってもメーター外径に変更がないため、アフターパーツは流用可能になる配慮も見られる。

最後にボディカラーに3色の新色が追加されている。スパイス・オレンジ、ブリティッシュ・レーシング・グリーン、エクリプス・グレーの3色となっている。さらにインテリアの内装色やシートカラ―にも新色が加わっている。もともと、MINIにはオプションを含めると、10万通りにもなる自分だけのオリジナルMINIを造ることが可能なだけに、さらにそのバリエーションが増えたということだ。もちろんアルミホイールにも新デザインが加わっている。

ジョン・クーパー・ワークスモデルにも細部変更が加わっている。JCW専用の新色ボディカラーチリレッドのルーフとミラーキャップ、ボンネットストライプとなった。インテリアでは、赤いステッチ付のスポーツレザー・ステアリング、アンソラサイト(ブラック)の専用メーター、赤いパイピング付ブラックレザーのスポーツシートなどに仕様が変更されている。

文:編集部 高橋明

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