メルセデス・ベンツ日本は2026年10月28日、EVの新型SUV「electric GLC」を発表し、受注を開始した。

electric GLCは、「GLC 250 electric」と「GLC 300 4MATIC electric」という2グレード展開だ。
内燃エンジンを搭載するGLCはプレミアム・ミッドサイズSUVで、日本市場では2016年にSUV、2017年にはクーペがデビューし、2023年に第2世代へモデルチェンジした。

今回発表されたelectric GLCは、2025年9月のフランクフルト・モーターショーで競合モデルであるBMWの「iX3」と同時期に初公開されている。そして2025年10月からヨーロッパで販売が開始されており、現行の内燃エンジン搭載のGLCと併売されている状況だ。

すでに発売された「CLA with EQテクノロジー」と同様に新世代のEV専用プラットフォーム「MB.EA-M(Mercedes-Benz Electric Architecture Midsize)」を採用したelectric GLCのボディサイズは、全長4845mm、全幅1890mm、全高1650mm、ホイールベース2970mm。最低地上高は180mmとなる。現行の内燃エンジン搭載GLCとの比較では、全長が120mm長く、ホイールベースは80mm長くなっている。
トランク容量は520Lで、後部座席を倒すと1690Lに拡大される。さらに、容量128Lのフロントトランク(フランク)も備わっている。5人乗車時で標準的なゴルフバッグを3個積載できる。


エクステリア
エクステリアは、従来のGLCのプロポーションを踏襲しつつ、EVらしい要素を加えた新世代のデザインを採用。

フロントグリルはブランドの新たな時代の幕開けを象徴し、イルミネーションを備えたグリルレスのデザインとすることで、ミニマルでクリーンな印象に仕上げられている。
合計942個のポリカーボネイト製バックライト付きドットを備えたイルミネーテッド・グリルパネルは、ピクセルグラフィックによるアニメーション表示にも対応。中央のスターの輪郭やグリルフレーム部とともに点灯する。標準装備のLEDハイパフォーマンスヘッドライト、オプションのデジタルライトは、フロントデザインとシームレスに融合している。

リヤは、ワイドなフェンダーとフラッシュサーフェスデザインを採用したリヤバンパーに、2ピースデザインのLEDリヤコンビネーションランプを組み合わせている。
なお、空力性能はCd値0.26と、SUVとしては優れた値を実現している。
インテリア
インテリアは、インスツルメントパネルの左右一杯に広がる大型ディスプレイを装備。ディスプレイには「MBUXスーパースクリーン」と「MBUXハイパースクリーン(オプション)」の2種類を設定。

MBUXスーパースクリーンは、ドライバー用ディスプレイ、14インチのセンターディスプレイ、助手席用14インチディスプレイを一体化したものだ。MBUXハイパースクリーンは、39.1インチ(ほぼ1m幅)というメルセデス史上最大のディスプレイを採用している。
このMBUXハイパースクリーンには、本物さながらの焚き火が映し出される「キャンプファイヤーモード」(運転席シートヒーターとも連動)や、サメが泳ぐ水族館の映像が楽しめる「水族館モード」などが用意され、没入型のデジタル体験を楽しむことができる。


浮遊感のあるデザインの大型センターコンソールには、ワイヤレスチャージ用トレーを2台分設定。最新世代のマルチファンクション・ステアリングホイールや、AGR(ドイツ脊髄健康推進協会)の認証を取得した新開発シートなども装備している。
ガラス面の透明度を9つのセグメント別に切り替えられる「SKY CONTROLパノラミックルーフ」が標準装備され、さらに162個のスターが幻想的なイルミネーションを映し出す機能(オプション)も用意されている。

またオーディオは、15個のスピーカーを持つ総出力670Wのブルメスター製3Dサラウンドサウンドシステムを採用。このオーディオシステムにより、操作に対するフィードバック音や感情を揺さぶるサウンド演出などの機能も備わっている。さらに、オーディオに連動するアクティブ・アンビエントライトもオプション設定されている。

シート表皮はブラックの「レザーARTICO」が標準で、セットオプションの「AMGラインパッケージ」選択時にはブラックの「レザーARTICO/MICROCUT」となる。さらに「レザーエクスクルーシブパッケージ」では、ブラック、ビーチブラウン/ブラック、アイボリーベージュ/ブラックという3色の本革シートが設定される。また本革シートの表皮には、シューズに着想を得たというモカシンステッチが新採用されている。
EV専用プラットフォーム「MB.EA-M」とパワートレイン
EV専用プラットフォーム「MB.EA-M」と自社開発のOS「MB.OS」を採用し、運転支援システム、ボディ/コンフォート、駆動/充電、インフォテインメント(第4世代のMBUX)など各領域を統合的に制御するソフトウェア・ディファインド・ビークル(SDV)を実現している。そのため、主要な車両ソフトウェアはOTA(無線通信)により継続的なアップデートが可能となっている。

electric GLCは2タイプのパワートレインがラインナップされている。リヤに永久磁石式同期モーターを1基搭載する後輪駆動のエントリーモデル「GLC 250 electric」は、最高出力354ps、最大トルク505Nmを発生。よりパワフルなリヤモーター(408ps/505Nm)にフロントモーター(222ps/300Nm)を組み合わせた4WDモデル「GLC 300 4MATIC electric」は、システム最高出力421ps、システム最大トルク800Nmを発生する2タイプだ。

なお、フロントモーターはディスコネクト機構を装備し、巡航時の抵抗を低減している。
いずれもリヤアクスルに自動2速減速機構が組み込まれており、低速を受け持つ1速ギヤは11:1、高速用の2速ギヤは5:1という減速比としている。
バッテリーは最新世代のリチウムイオンバッテリーを搭載し、容量は85.5kWh。一充電航続距離(WLTCモード)は、「GLC 250 electric」が642km、「GLC 300 4MATIC electric」が618kmを実現している。
充電は、6.0kWまでの交流普通充電と、最大100kWの直流急速充電(CHAdeMO規格)に対応している。100kWの急速充電器を使用した場合、10%から80%までの充電時間は約45分間、10%からの30分間の急速充電では58%まで回復させることが可能だ。

また、外部給電機能(V2L)も装備されている。
キャビン、バッテリー、インバーターなどの温度コントロールには、メルセデス・ベンツとして初となるマルチソースヒートポンプを採用。従来の水回路を経由しないダイレクトな空気式構造を採用し、電動パワートレインの排熱、バッテリーの熱、外気という3つのエネルギー源を同時に効率よく活用している。
シャシー
サスペンションは標準サスペンションに加え、車速や走行条件に応じてばね定数、減衰力、車高を自動的に調整する電子制御式エアサスペンション「AIRMATICサスペンション」が設定されている。

またオプションでリア・アクスルステアリングも設定されており、約60km/h以下では後輪が前輪と逆方向に最大4.5度操舵されて最小回転半径が約90cm縮小され、高速走行時は後輪が前輪と同じ方向に最大2.5度操舵されて走行安定性を高めることができる。
ブレーキは、新開発のワンボックス式ブレーキシステムを採用。回生ブレーキによる減速時も油圧ブレーキによる制動時も、自然なブレーキフィールを実現している。このシステムは、従来個別に搭載されていたブレーキブースター、マスターシリンダー、ESP制御ユニットをコンパクトな一体式モジュールとして統合したものである。
回生ブレーキは、「最大回生」、「標準回生」、「回生なし」、「インテリジェント回生」の4種類を設定。「インテリジェント回生」では、前走車の速度変化や道路状況、ナビゲーションデータなどに基づき、回生ブレーキの強さを自動で調整する。また、エネルギー効率を高めるため、駆動力や減速力が不要な場面では惰性走行を行なうことができる。
運転支援システム
新世代の安全運転支援システム「MB.DRIVE」を標準装備する。最大8基のカメラ、5基のレーダー、12基の超音波センサー、および高性能コンピューターを採用し、車両周囲の状況を的確に把握して先進的な運転支援・駐車支援機能を支えている。
標準装備の「MB.DRIVE」と「MB.DRIVE ASSIST」により、高次元のアダプティブクルーズコントロールやレーンチェンジアシストを備え、ウインカーレバー操作による高速道路での車線変更支援が行なわれる。
駐車支援システムは、車両両側の駐車スペースを早期に検知し、パーキングアシストによってスムーズな駐車をサポートする。
価格

CEV補助金はGLC 250 electricでは98万円、GLC 300 4MATIC electricでは78.4万円。ただし2026年予算上限に達すると適用外となる













