2014年10月31日、マクラーレン・オートモーティブは2015年秋にスタートが予定されているGTRプログラムのための専用マシン「P1 GTR」デザインコンセプトをマクラーレン東京ショールームでアジア地域、日本で初公開した。
このデザインコンセプト･モデルは当初のプロトタイプから、より最終仕様に近づけられており、日本で披露されたP1 GTRは2014年8月に開催されたぺブルビーチ･コンクールデレガンスでベールを脱いだマシンそのものだという。現時点で、デザイン･コンセプトとされているのは、熟成テストの結果をフィードバックしたものが最終モデルとするからだ。
世界最高のドライバーズカーとして限定375台の生産とされるP1 GTRは、究極のサーキット専用モデルだ。ボディの主要部はバスタブ型カーボン･モノコックとアルミ材で構成され、リカルド社が開発した3.8L・V8型ツインターボエンジンがミッドマウンとされる。さらに減速エネルギー回生により得られた電力で駆動されるモーターとのシステム出力は1000ps。
今回は公開されなかったが、コックピットもカーボン材を多用し、ステアリングホイールもF1スタイルとなっているなどレースマシンといってもよい雰囲気だ。もちろん車載エアジャッキを搭載。ホイールは19インチ、タイヤはピレリのレース用スリックタイヤが装着される。
P1をベースにしながらも、100kg軽量化され、フロントのトレッドを80mm拡大。エアロダイナミクスもサーキット走行用にさらにチューニングしている。例えばフロント･ラジエーターのインテークが拡大され、冷却性能を高めるとともに、細部の空力チューニングが加えられ、リヤウイングはF1同様のDRSシステムを備えている。
発表を行なった、P1プログラム･ディレクター兼マクラーレン･スペシャルオペレーションズ･エグゼクティブダイレクターのポール･マッケンジー氏は、このマシンはサーキット専用設定というだけでなく、オーナーのために独自のプログラムを備えているのが特徴だと強調している。
専門家によるオーナー向けトレーニングと、専任チームによるマシンの万全なメンテナンスを包括的に行なうオーナー専用のプログラムが提供されるのだ。
オーナーはこのマシンを購入した場合、まずマクラーレンの本社でシート合わせ(体型に合わせた専用シートの製作）の後、スキルに合わせオーナー専用のプログラム「P1 GTR プログラム」」が作られる。
それはオーナーに合わせたフィジカル、メンタルの両面でのプログラム(ヒューマン･パフォーマンス・プログラム）から始まり、F1用のテクノロジーを使用したマクラーレンのドライビング･シミュレーターを使用したスキルアップが図られるという。さらにイギリスのサーキットでの実践走行トレーニングも行なわれる。
そして2015年秋からプロジェクトが正式にスタートし、サーキット走行は年間10回、オーナーはその中の6回のグランプリ･サーキットでの走行を選択できる。もちろんマシンの輸送からセットアップ、タイヤの用意、専属コーチ、専属メカニックなど走るための用意もすべてマクラーレン側が行なう。
ポール・マッケンジー氏は、「P1 GTRは、少数生産される選ばれしドライバーのためのモデルではありますが、オーナーの皆様にはサーキットのマシン・パフォーマンスだけではなく、マクラーレン・テクノロジー・センターの持ちうるマクラーレン独自の技術とノウハウへのアクセスにより、ドライバーの皆様に比類なきエクスペリエンスをこれまでにないプログラムとしてご提供できることでしょう」と語っている。
なお、日本では約30人といわれるP1オーナーに対して、P1 GTRのより具体的なプレゼンテーションが行なわれる予定だ。ちなみにP1 GTRとそのプログラムの価格は198万ポンド、日本円で3億5500万円。
