マセラティは2023年4月19日、中国で開催され空前の数のEVが登場した上海国際モーターショーで、イタリアのラグジュアリー・ブランド発の最新EV「グレカーレ フォルゴーレ」のワールドプレミアを行なった。
中国はモビリティ革命の最前線であり、革新的だけでなく、先進性とラグジュアリー市場への深い関心のある地域として認識されている。それだからこそグレカーレ フォルゴーレのワールドプレミアとしては最高の舞台であり、アジア市場では初めてお披露目となったパワフルでタイムレスなクーペ、新型グラントゥーリズモとともにベールを脱いだ。
「フォルゴーレ」とはマセラティの電動モデルに共通する名称だ。革新性、高級感、機能美を表し、マセラティの比類ないスタイリング、過去と未来をつなぐビジョンを体現している。上海モーターショー2023はマセラティ・ブランドにとって理想的な場であり、「イタリアのラグジュアリー・パフォーマンス」というコンセプトを掲げ、電動化という新しい時代の幕開けを高らかに告げたのである。
電動化はマセラティの今後の戦略において重要な位置づけにあり、マセラティは2025年までに全ラインアップに電動モデルを導入し、2030年までに全車種を100%電気自動車にすることを宣言している。きわめて野心的で大胆な計画だが、その根源にあるのはマセラティのDNAで、これを原動力にして未来へ向かってと駆り抜けようとしている。成功の源はイタリア車独自のキャラクター、乗る人の心を揺るがす高い品質、そして魅力溢れる革新技術と、どれも自動車産業が未来に向けて求められているものといえる。
マセラティのダヴィデ・グラッソCEOのコメント
「今、マセラティ・ブランドは歴史的な瞬間を迎えています。今日私たちは中国では上海モーターショーに、そしてイタリアでは国際的なイベントであるミラノ・デザインウィークに参加しています。世界各地でブランドの新しいスタートを祝っています。マセラティ ブランドの新たな始まりと、その象徴であるフォルゴーレの誕生を祝っているのです。今や現実のものとなった電動化が、革新的な時代へと繋がる道を切り開くことでしょう。上海モーターショーは単なる国際見本市というだけでなく、グローバルな革新の舞台という点から、マセラティ史上初の電動モデルを発表する理想的な場です」
グレカーレ フォルゴーレはマセラティ史上初のフル電動SUVであり、電動化のメリットを100%発揮するとともに、マセラティ本来のパフォーマンスも諦めたくない顧客に「Everyday Exceptional(毎日が格別)」の体験を提供することを目指して開発されている。
グレカーレ フォルゴーレの登場により、グレカーレ・シリーズはガソリンエンジン、マイルドハイブリッド、電気自動車の3種類のパワーユニットのフルラインアップが完成した。なお、グレカーレの100%電動モデルに付くサブネーム、フォルゴーレはマセラティのEV(バッテリー電気自動車)の総称であり、新しいエネルギーの導火線に点火することを意味している。
スポーツ性とエレガンスの絶妙なバランスを兼ね揃えたマセラティ グレカーレは、革新性、多用途性、高級感、パフォーマンスを体現したラグジュアリーSUVだ。広い空間と快適性においてトップクラスで、マセラティにとって新たな分野を開拓する1台となっている。
グレカーレ フォルゴーレはマイルドハイブリッド・モデルとガソリンエンジン・モデルの発表から1年後のデビューとなる。デザイン、開発、製造のすべてをイタリア国内で実施し、400Vの電圧で容量105kWhのバッテリーを搭載している。この新型の電動SUVが生み出す最大トルクは820Nmに達し、マセラティならではのパフォーマンスを保証している。100%電動による強力な出力は出力544ps(410kW)、最高速は220km/hに達する。
■エクステリア
マセラティが電動車開発をアプローチするに当たり採用したコンセプトは「メタモルフォーゼ(変容)」であった。エクステリア・カラーの「ラーメ・フォルゴーレ」は、塗料と光との関わり合いについて徹底的に研究を行なった結果生まれたもので、周囲の環境に反応して生き物のように絶えず変化するという特徴を持っている。
インスピレーションは現代建築、とりわけスペイン・ビルバオのグッゲンハイム美術館の正面玄関から得られている。ここでは太陽の光を浴びた暖かい銅の色合いと、シェードによってできる日陰の部分のクールな青灰色が共存している。こうした色調は多様な色に変化する顔料を用いることで可能になったのだ。
美しい変容のコンセプトは、新しい繊維ECONYL(エコナイル)のような先進的な素材を導入したことでも理解できるだろう。ECONYLは独自の美学に基づく新繊維で、海洋や養殖場から出る漁網や、工場で出た端切れ、埋め立て地に捨てられたカーペットなどから回収したナイロン廃棄物から再生された素材をバージンナイロンと同等の品質の糸にリサイクルした素材で、ファッションやインテリア産業で利用されている。
マットな色調で独特な表面を持つこの素材は、ボディスーツに用いられる繊維にも似ており、自然界のダイナミズムを思わせるパラメトリックなデザインが生まれている。インスピレーションの源は写真の中で不滅の存在になったバレリーナの動きだ。それはいわば「制御されたパフォーマンス」を意味し、永遠の命を得た一瞬の動きを意味している。
グレカーレ フォルゴーレのフロントは従来通り「unique by design(デザインのユニーク性)」を継承し、凹面形状のグリルは電動車の特性に合わせて改良が加えられている。フロントのデザインはトロフェオ・バージョンからインスピレーションを得て、マセラティらしいコンテンポラリーな外観からは、長きにわたって受け継がれるタイムレスなデザインが見て取ることができる。空力も重視したデザインのため、外部に露出したデバイスは一切なく、設計の手直しを受けたリヤディフューザーと相まって、優れた空気抵抗係数(Cx)を達成している。
グレカーレ フォルゴーレは19インチ(ヨーロッパ仕様のみ)、20インチ、21インチの3種のエアロホイール(市場により異なる)を採用。トライデントのマークをモチーフに、究極の空力特性を目指してデザインされたホイールである。
フォルゴーレ専用のグリルは、軽くアルマイト処理が施されたシルクブラックのベースにグロスブラックのパーツを差し込んでいる。スプリッター、ドアハンドル、ウインドウフレーム、サイドスカートもグロスブラック仕上げだ。エンブレムとブレーキキャリパーはコッパー(銅)色で、サイドの通風口はライトアップされるようになっている。
■インテリア
インテリアは、ダッシュボードにエンボス加工されたフォルゴーレのエンブレムと、カーボンコッパーの3Dタッチ内装トリムが特徴的で、それらを強調するアンビエントライトがさらに造形美を演出している。
ブラック/タンカラーのECONYL張りのスポーティな4段階の調整が可能電動シートには最先端のレーザー技術を採用。シートヒーターとベンチレーションも内蔵されており、ECONYLはヘッドライニングとカーペットにも用いられている。
グレカーレ フォルゴーレでは車内における充足感を高めるためにインフォエンタテインメントにも最新テクノロジーを駆使し、卓越したエモーションと類い希なるデジタルパフォーマンスが発揮されるようになっている。デジタルインターフェイスはドライバーのためにデザインされており、12.3インチのセンターディスプレイ(100%コネクテッド)と8.8インチの2つを備えるタッチスクリーンはどちらも自然にコントローラーに手が届くよう、人間工学に基づきレイアウトされている。
操作が簡単なデジタル・エアコン・コントロールが搭載され、ドライバーは前方から視線を外すことなく、マセラティ独自のジェスチャーコントロールにより、車内温度とファンを瞬時に調整することができる。
ワイヤレス機能のApple CarPlay、Android Autoを使用しスマートフォンと連携させることが可能で、最大2台のスマートフォンと接続可能。
12.3インチのデジタルコクピットは直感的に操作できる使いやすさと、セットアップの容易性、そして鮮明なグラフィックでこのカテゴリーのベンチマークとなっている。レイアウトが変更できるヘッドアップディスプレイは、車速、地図、進行方向など重要な情報をフロントウインドウに直接投影するため、ドライバーは視線を外すことなく視認できる。また音声アシスタントにより、エアコン、メディア、カーナビ、電話を自在にコントロールすることができる。
さらにMIA(マセラティ・インテリジェント・アシスタント)もグレカーレ フォルゴーレに合わせて最適化され、ダイナミックで洗練されたグラフィックがもたらす比類のないデジタル体験を味わうことができる。
■ドライビング
一体感のあるドライブフィール、ドライバーのニーズに即したセットアップを可能にするため、グレカーレ フォルゴーレにはMAX RANGE、GT、SPORT、OFFROADという4種類のドライブモードを備えている。モード選択はハンドルに位置されたドライブモードセレクターで行なう。MAX RANGEではエネルギー消費を抑え航続距離を最大に伸ばす。バッテリー残量が16%を下回った場合や近くに充電ステーションがない場合に推奨されるモードだ。最高速は130km/hが上限で、アクセルのスロットル開度が調整され、エアコンの出力が制限される。
パンチングレザーが施されたステアリングホイールにブルーのエンジンスタートボタンも配置されており、ドライバーは指でグレカーレ フォルゴーレのレーシングスピリットを引き出すことができる。
サスペンションはエアサスペンションが装備される。
■充電
グレカーレ フォルゴーレのオーナーは自宅、もしくは公共の充電ステーションのどちらの充電が可能だ。自宅での充電はウォールボックスを使用する。ウォールボックスは3〜22kWの間で充電し、電力負荷のバランスを管理しながら、最適な充電効率を保つことができる。また自宅のガレージで充電中にオーナーはコネクトサービスを使って、車内をコントロールできるのも特長だ。
その他に、バッテリーに関連する機能は下記のようになっている。
自動バッテリー・プリコンディショニング:充電を可能な限り効率的かつ迅速に行なうため、グレカーレ フォルゴーレには自動バッテリー・プリコンディショニングが装備されている。急速充電ポイントが近くにあるときに自動的に作動し、バッテリーは充電準備に入り、充電時間を短縮するためにバッテリーの温度調整を行なう。
キャビン温度維持装置:走行中以外でも、キャビン内の温度を一定に保つので、車内で快適に過ごすことができる。
EVルーティング:マセラティ グレカーレ フォルゴーレはドライブ計画を立てるアシストもできる。常にバッテリーの充電状態と今後の消費量をモニターするので、充電回数を予測し、トータルの運転時間を最適化することができる。
ダイナミック・レンジ・マッピング: 最大航続距離を地図上に表示し、充電状況とドライバーの運転スタイルに応じて、リアルタイムでアップデートするようになっている。