マセラティ・ジャパンは2022年8月25日、マセラティのカスタマイズ「フォーリセリエ プログラム」を発表した。その代表例としてモデナ本社が制作した「火星からのオーダーを実現する」という奇抜なコンセプトのもと、火星をモチーフにした特別仕様車「グレカーレ ミッション フロム マース」を日本で初公開した。
「フォーリセリエ プログラム」は、革新性をブランドの本質とするマセラティの本社が、特定の顧客向けにスペシャルメイドするカスタム仕様車で、クルマを真っ白なキャンバスとして捉え、あらゆるデザインとカラーに対応することができ、最高級の素材を駆使し、最高の質感で仕上げているのが訴求点だ。なお、フォーリセリエはイタリア語でカスタマイズを意味している。
マセラティ・ブランドは現在では中国を筆頭にアジア市場がアメリカやヨーロッパ市場を牽引しており、ラグジュアリーカーのマーケットは世界的なコロナ禍であっても2021年には前年比13〜15%と力強く回復している。
そしてコロナ禍による外出制限のため、高級品の消費は体験型からモノの本質消費に再びシフトしており、そうしたラグジュアリー・ブランドを愛する富裕層を対象にしたのが「フォーリセリエ プログラム」だ。
最新世代のラグジュアリーカーの顧客層の36%がカスタム化に関心があり、そのための高価格化はハードルではないという。またこうした顧客層は、ブランドが提供する選択肢を重視する傾向が強く、自らの嗜好に合わせパーソナライズされた製品やサービスなら入手するのに時間を要することも容認されるという。
フォールセリエ・プログラムを展開するため、マセラティまず最初にモデナにこのプログラムを希望する顧客のための専用アトリエを開設し、近日中にアジアにもアトリエをオープンする計画だ。
マセラティならではのフォーリセリエの特長は、大胆なイタリアン・デザインとカスタムの融合、自社工場での高精度、緻密な仕上げ、そして顧客の細部までのこだわりを尊重した対話などだ。
またフォーリセリエのために、マセラティはブランドのDNAを強調するレーシングカーイメージの「コルセ」、より大胆な未来志向の「フツーラ」という2カテゴリー専用のそれぞれのカタログ、カラーペイントも提供される。
そして、今回お披露目されたのが、モデナ本社が「火星からのオーダーを実現する」というユニークなコンセプトのもと、火星をモチーフにした特別仕様車「グレカーレ ミッション フロム マース」だ。
この特別仕様車は、、グレカーレの究極のカスタマイズオプションを採用。火星の赤い砂と酸化した岩の組み合わせのカラーが「グレカーレ ミッション フロム マース」の特徴だ。鉱物性の砂を思わせる特殊な質感のメタリックカラーで塗装され、腐食された金属をイメージしたデザインを車内や車外の構成部品に使用している。
エクステリアは、フォーリセリエ特有の多層式カラーのギャラクティックオレンジ(Galactic Orange)で塗装されている。未来感の強いマットカラーに近いオレンジレッドの樹脂に、溶けた金属を思わせる輝きを重ねたカラーリングだ。
ホイールは専用の渦巻き型デザインが採用されている。ホイールリムは、色のカスタマイズにとどまらず、素材の加工プロセスを再表現するという発想に基づき、素材自体を強調するホイールデザインは、発進性能や高速走行時の空気の流れを想起させるようになっている。
バッジもフォーリセリエ専用で、リヤピラーに配置されたトライデントのマークはボディと一体化させることで、2D(平面)のような見せ方を演出。トライデントロゴのデザインは、宇宙からの電波や光波、そして情報のリズムをシンボライズしている。
グレカーレ ミッション フロム マースは、マセラティ史上最大の12.3インチスクリーンを装備し、画面をタップするだけで、他の惑星への航行するようなイメージを体験できる。
車内のルーフには、特別な「星図」が用意され、天井を見上げれば主要な星座が投影され、宇宙空間への移動をも目にすることができる。
シートは、火星で発生する電気の流れのイメージと宇宙飛行士の宇宙服、そして最新のファッショントレンドを組み合わせており、クラフトマンシップと革新の融合といえる。
形状だけではなく、カラーと素材のディテールを追求することで未来的な美しを表現している。
なお今後、フォーリセリエ プログラムは他のモデルにも順次提要され幅広い顧客層にカスタマイズしたクルマの価値を提供する計画となっている。
グレカーレ ミッション フロム マースは、フォーリセリエによって実現されるアバンギャルド、情熱、限界を超えるカスタマイズの大胆な組み合わせを表現しており、従来のラグジュアリーカーのカスタマイズに多く見られる豪華さ、華麗さを追求するするのではなく、マセラティのブランドDNAを表現するカスタマイズであることを物語っている。