マセラティは2025年7月10日、新型スーパースポーツカー「MCプーラ」を「2025年グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」で初公開した。

新型「MCプーラ」は、マセラティのスーパースポーツ「MC20」の進化形として登場した。「MCプーラ」は、「MC20」のスピリットを継承しつつ、より力強く、洗練されたデザインへと昇華され、エクステリアデザイン、素材、インテリアの仕上げに改良が加えられている。一方で、根幹を成す部分は不変で、マセラティのパフォーマンスへの情熱を象徴する630psのV型6気筒ネットゥーノ・エンジンは搭載されている。

「MCプーラ」という車名は、ブランドの真髄を最も凝縮した存在であることを示しており、ローンチキャンペーンのスローガンとして採用されたのが、“E = MCpura”だ。アインシュタインの相対性理論に着想を得たこの印象的な表現は、極限まで高められたエネルギーが、やがて“純粋なる卓越性”という極みに達する様子を表現しているという。

マセラティのサント・フィチーリCOOは、「MCプーラは、クーペとコンバーチブルをラインアップし、マセラティの伝統が90年以上息づくモデナの歴史ある工場で製造されています。生産プロセスはすべてここで完結しており、ネットゥーノ・エンジンの製造から各部品を組み立て、さらに新設された”オフィチーネ・フォーリセリエ・マセラティ”(マセラティ・カスタム工房)で特別なカスタマイズも行なっています。モデナは単なる本拠地ではなく、マセラティの精神そのものです。私たちはモーター・バレー(エミリアロマーニャ州)で最も長い歴史を持つ自動車メーカーとして、この地域の発展に貢献し、その象徴であり続けています。ここモデナから、イタリアが誇る卓越性とラグジュアリーの物語を、世界に向けて誇りをもって発信しています」と語っている。
グッドウッドで披露された新型「MCプーラ」は、“AIアクアレインボー”という洗練された新色を採用。クーペはマット、コンバーチブルはグロス仕上げで、その名の通り“きらめく光”の印象を想起させるカラーが特徴だ。太陽光を浴びると色が虹のように変化し、プリズムのように白色光を分解することで多彩な表情を引き出し、唯一無二のピュアな色合いを実現している。

フロントグリルやCピラー、サイドのエンブレムに配されたトライデントやエンブレムには、ブルーマイカ”を含むマジェンタ・カラーで仕上げられ、より洗練された印象を与えている。同色のロゴはホイールの中央にもあしらわれ、バーニッシュ加工のダイヤモンドカットによる特別な仕上げが施されている。

インテリアの特徴は、アイス・カラーのアルカンターラで仕上げられたレーザー加工のシートだ。裏地は光の角度によって色が変化するイリディセント加工が施されており、片面にはブルーにレッド、もう片面にはレッドにブルーの輝きが映え、外装ディテールの色彩と呼応する美しさでフォルムを引き立てている。レーザー加工を用いることで立体感が生まれ、アルカンターラならではのスポーティなエレガンスが一層際立っている。


「MCプーラ」は、カーボンファイバー製ボディ、マセラティ独自開発のV6ネットゥーノ・エンジン、バタフライ式ドア、そしてコンバーチブルには格納式ガラスルーフを備えている。
カーボンファイバー製モノコック構造は高剛性と軽量性を両立し、車両重量1500kg、最高出力630psというスペックにより、2.33kg/psというクラス最高のパワーウエイトレシオを実現している。
MC20で初採用されたマセラティの技術の象徴ともいえる3.0Lツインターボエンジンの、V6ネットゥーノ・エンジンは、最大出力630ps/7500rpm、最大トルク720Nm/3000rpmを発揮し、リッター当たり出力は210ps/Lに達する。このエンジンの核となるのは、F1由来の革新的技術を活用た「プレチャンバー燃焼システム」にある。このシステムはツインスパークプラグを特徴とし、マセラティの特許により、公道仕様エンジンとして初めて採用されている。

乗降性を高めつつカーボンファイバー製ボディの美しさを引き立てるバタフライ式ドアも「MCプーラ」の大きな特徴だ。さらに、「チェロ」モデルでは、クラス唯一のPLDC(ポリマー分散型液晶)技術を用いた電動ガラスルーフを装備。ワンタッチで透明から不透明に切り替えることができ、ルーフを閉じて不透明にすれば没入感のある空間、透明にすれば空との一体感、さらにルーフを完全に開ければ、風と一体になった本物のオープンエア体験を味わうことができる。

「MCプーラ」の生産拠点は、モデナのチロ・メノッティ通りにあるマセラティの歴史ある本社工場だ。ここでは、ネットゥーノ・エンジンの製造に加え、「GT2 ストラダーレ」、そして2025年第4四半期からはアイコニックな「グラントゥーリズモ」、「グランカブリオ」の生産も行なわれる。

イノベーションと職人技が融合するこの工場では、カスタマイズ専用スペース「オフィチーネ・フォーリセリエ・マセラティ」も新設され、さらなる独自性の追求が可能になっている。「MCプーラ」はこのように、開発から製造、そしてフォーリセリエ仕様の塗装に至るまで、すべてをモデナで完結する“メイド・イン・モデナ”モデルとして誕生した。
「MCプーラ」クーペ、コンバーチブルの両タイプはグッドウッドでの公開後、受注を開始した。