2014年9月に国内デビューしたロータス・エキシージSロードスターは、V6型エンジンにスーパーチャージャーを搭載したライトウエイト・ハイパフォーマンスカーとして注目度が高い。2013年7月にクーペモデルのエキシージSが先に発売されていたが、これまでのロータスファンのみならず、他社モデルからの乗り換えユーザーも増えた、というほどクルマ好きには気になる存在なわけだ。そのエキシージSロードスターとはどんなモデルなのか、試乗レポートしよう。
ロータスの現在のラインアップでは、ライトウエイトスポーツの代名詞的存在にエリーゼがあり、軽快さを持つモデルとしてロータスファンから熱い支持を得ている。そしてトップグレードにはV6型にATを備える1000万円オーバーのエヴォーラがある。エキシージはその中間に位置するモデルで、エヴォーラと同じV6型パワーユニットに6速マニュアルミッションを組み合わせたモデルだ。
搭載するエンジンは3.5LのV6型で350ps/400Nmというスペック。車両重量1170kgという軽いボディを振り回すに十分なパワーがあるモデルだ。体感的には500psモデルに乗っているのと同じようなフィールを得る。このロードスターは、先行販売されたクーペと同じパワーユニットとなるがエクステリアが異なる。もちろんオープントップとクーペの違いのほか、クーペのアイコン的アイテムだったリヤスポイラーとフロントリップがロードスターには装備されない。攻撃的なルックスからエレガントなスポーツカーへとその違いをアピールしている。おおまかな言い方をすればクーペモデルとオープンモデル違いなのだが、この装備の違いにより、随分と印象のことなるモデルだと感じるのだ。
ロータスというブランドからマニアなユーザーをイメージするかもしれないが、冒頭で触れたように、このエキシージSはこれまでBMWなどに乗っていたユーザーも乗り始めたという動きある。それだけ惹かれる魅力があると言うわけだ。
では、その魅力はどこにあるのだろうか。ズバリ、その走りの違いだ。ロータスが持つダイレクト感にしびれるのだろう。クルマを操っているという満足感が高い。重たいクラッチに気を使いながら走りだし、パワーアシストのないステアリングを回して走る。足元にはオプションだが、ピレリのSタイヤ、トロフェオを履き心地よいエキゾーストノートを背後に聞きながら加速する。トランスミッションのクロス具合がよく、ワインディングでのシフト操作が楽しい。ヒール&トゥーをしながらダウンシフト、リニアに反応するエンジン、そしてサウンド。どれをとってもクルマらしさがあり、楽しくなる。
レースカーやレーシングカートに乗ったことのある方であれば、わかると思うが、公道を走れるモデルで、これほどダイレクト感のあるモデルはめったにない。高級スポーツカーになると、ゴージャスさを増すのはいいが、乗り味までも高級になる傾向がある。あたりまえの進化ではあるが、ロータスではタイヤの性能、モノコックの性能、シャシーの性能をフルに発揮し、満喫するには・・・というクルマ造りがされているのだろう、運転しているぞ!という手のひらや腰で感じるものが体に残るのだ。
ボディサイズは全長4070mm(クーペ4080mm)×全幅1800mm×全高1130mm、ホイールベース2370mmとコンパクトな2シーターだ。車高の低さも雰囲気を作る。交差点に止まると隣の路線バスのタイヤが顔の真横に位置する。潜って運転しているかのような低さだ。
スペックを覗いてみると、エンジンはトヨタ製の2GR-FE。レクサスに搭載しているV6型3.5Lエンジンをミッドシップに積む。これにハロップ製のスーパーチャージャーを組み合わせ、6速MT仕様としている。プラットフォームはアルミのオリジナルモノコックにFRPボディを被せ、シャシーは、前後ともダブルウイッシュボーンのサスペンションを持っている。アイバッハのコイルスプリングとビルシュタインのダンパーを装備し、ブレーキはAPレーシング製4ポッドアルミ合金キャリパーを前後に装着。標準装着はピレリ ゼロ コルサでサイズはフロントが205/45ZR17、リヤは265/35ZR18と前後異型サイズだ。またオプションとしてピレリのSタイヤピレリ ゼロ トロフェオも選べる。
レースパックオプションは、走行モードが4つから選択できるDPM(ダイナミック・パフォーマンス・マネージメント)がある。Tour、Sport、Race、Offとあり、油圧ブレーキアシスト、駆動力配分、コーナリングブレーキ、ドラッグトルクコントロール、デフロック、ESC、アンダーステア認識などの機能があり、それぞれモードによって介入レベルが変化するというものだ。
これだけのパフォーマンスパーツを満載するエキシージSロードスターは、大人が乗るモデルという一面もしっかり抑えていて、フルレザーのインテリアがオプション選択でき、カラーバリエーションが楽しめる。スポーツシートもレザーやスエードなどから選択でき、ドアパネルやセンターコンソールもシート表皮に合わせるように変更される。
もちろんサーキットを楽しむには最適なクルマだと言えるが、ワインディングをオープンエアで楽しむというスタイルも似合うモデルで、大人のやんちゃ心を満足させる最適な一台ではないだろうか。
価格はエキシージSクーペが税込955.8万円、エキシージSロードスターが972万円となっている。
<レポート:髙橋 明/Akira Takahashi>