マニアック評価vol18
今回のモデルチェンジのトピックは、エンジンおよびミッションの換装とボディデザインの変更だ。従来のエリーゼSに搭載されていた1.8Lのトヨタ製1ZZ-FEエンジンは、同じくトヨタの1.6L、1ZR-FAEに変更された。そしてモデル名もSがとれて「ロータス・エリーゼ」となった。また、エリーゼRとエリーゼSCについては、搭載されるトヨタ製1.8L、2ZZ-GEエンジンがそのまま継続され、ボディデザイン等が変更されている。
モデル全体の主な変更点と改良点をみると、ボディデザインではフロントフェイスが大きく変化し、また、リヤバンパー、エンジンカバーを一新している。これらの変更でエアロダイナミクスが改善され、Cd値を旧モデルより4%下げることができている。このフロントフェイスの変更にともない、ヘッドライトデザインが変わり、新たにLED式のデイタイムランニングライト(国内ではスモールランプとして機能)とウインカーが組み込まれた一体型ヘッドランプになっている。新型エリーゼのデザインは新たにフェラーリから来たデザイナーの手によるもので、そのデザインはどことなくフェラーリの雰囲気がなくもない。
↑ニューエリーゼはフロントマスクが大きく変わり、エンジンも変更された
ロータス・エリーゼは1995年のフランクフルトショーで、2シーターのミドシップスポーツカーとしてデビューし、翌年のデリバリー開始時には大量のバックオーダーを抱えてのスタートを切っている。その画期的なアルミシャシーと超軽量なボディで創り出す気持ちよいハンドリングは絶賛を浴びた。これまで数回のモデルチェンジや仕様変更などを行い、エンジンもローバー製からトヨタ製へと変更された。そのトヨタ製エンジンは2004年から供給が開始され、今回のニューエリーゼでは機種変更が行われた。
新たに搭載される1ZR-FAEエンジンは、直列4気筒DOHC16バルブで、トヨタのVVT-i連続可変バルブタイミング機構と可変バルブリフトをもち、出力は136ps/6800rpm、160Nm/4400rpmとなっている。CO2排出量を155g/km以下とし、旧モデルより13%以上改善。燃費も6.14L/100kmに向上している。組み合わされるミッションは5速マニュアルから6速マニュアル・クロスミッションとなり、よりスポーツドライブを楽しめる変更がされている。
↑ヘセルテストコース&箱根をドライブする桂伸一氏。
このトヨタ製エンジンはロータス・へセル(英国)のチームによりチューニングされ生まれ変わっている。チューニングは「ロータスT6」と名づけられたECUチューンで、ロータスオリジナルのファームウエアを使い、エンジン制御のアルゴリズムの企画・開発が行われている。主に、ロータス・エヴォーラ用に開発された「デジタル・シグナル・プロセッサー」に基づき、エリーゼ仕様になっている。
↑英国にヘセルにあるアッセンブリーライン。右)エリーゼはトヨタ製1ZR 1.6Lに変更された
シャシーはアルミ押し出し材接合シャシーと軽量スチールサブフレームをリヤに持ち、エンジンとミッションを搭載している。また、衝撃を吸収するクラッシュ構造としても機能している。一方、フロントは同等のスチール構造の3倍もの衝撃吸収性能をもつクラッシュ構造であり、ラジエターと主要な付属部品をマウントしている。そしてエントリーモデルとなるエリーゼは公道走行可能なスポーツカーとして、世界最高水準の軽さを誇り、重量はわずか876kgである。
前後重量は、フロントが340kgでリヤが560kgと、スペック上はリヤヘビーになっている。ミドシップにエンジンを搭載しリヤで駆動するMRだが、ポルシャなどややRRに近いスペックといえる。しかし、ハンドリングはミドシップの特性が十分に活かされ、ステアがよく効く。コーナリング中に切り増しをし、アクセルを踏み込んでも、アンダーがでることなく、スパッと爽快に曲がっていく快感が味わえる。
ブレーキシステムでは、フロントにAPレーシング製キャリパー、リヤはブレンボ製が装備され、282mmφの鋳鉄製クロスドリルドベンチレーテッドディスクを採用している。そしてABSの介入をチューニングし、通常の運転状況では介入を控える設定とし、サーキット走行用の設定となっている。
◆ロータス・エリーゼ 510万円(税込み) 1.6L1ZR-FAEエンジン
◆ロータス・エリーゼR 588万円(税込み) 1.8L 2ZZ-GEエンジン
◆ロータス・エリーゼSC 680万円(税込み) 1.8L 2ZZ-GE+スーパーチャージャー
文:編集部 高橋明
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