Lotus Evora 2+2ミドシップの魅力  桂伸一動画レポート

マニアック評価vol8

スポーツレシオ・ミッションを搭載

Lotus Evora

09年に発売(国内)されたロータス・エボーラに待望のクロスレシオ・ミッションが加わった。

1、2速に変更はなく、3速から6速までがクロスレシオとなり、とりわけ2速と3速のつながりがスムーズになったことが、日常使いでの乗りやすさを印象づけている。このクロスレシオは、オプションとして設定が追加されたもので、従来のギヤ比モデルも併売中だ。

エボーラの特徴といえば、2+2でありながら、ミドシップにエンジンを搭載した高級スポーツカーという点だろう。また、「スポーツカーはお客様が感性で購入するものである」というロータス哲学の潔さもあり、魅力的なデザインと性能を持った一台だ。そして一台一台がハンドビルドされるため、全世界での年間生産台数は2000台以下という希少性もあるのだ。

現在のロータスは、ロータス・カーズ・リミテッドとロータスエンジニアリングがグループの主力企業で、カーズはエリーゼ、セキシージ、ヨーロッパなど高級スポーツカーの製造、販売をおこなっている。

エンジニアリングは英国ノーフォークに本拠地を置き、OEMをはじめ、基本コンセプトからプロジェクトデザイン、車両開発、製作にいたるまで、総合エンジニアリングサービスの提供をグローバルに展開している企業である。

エボーラはスポーツカーのパフォーマンスを追及する熱狂的なファンはもちろん、日常ユースを求める顧客を満足させるという役目を持って投入されたモデルだ。だから、乗降性の考慮や、インテリアの質感への拘り、そしてもちろん、ロータス伝統のライトウエイトスポーツの魅力である、ハンドリングとパフォーマンスが磨かれている。

拘りのエクステリアとインテリア

流線型のスポーティなボディは、なめらかなフォルムと硬質感のある手触りとで、その速さと俊敏性をイメージさせる。プローポーション全体は低くワイドで、リヤの張り出しからも力強さを感じさせ、外見からは2+2であることは想像しにくいシルエットを持っている。

そして、前後異径のホイールサイズ(F:225/40-18、R:255/35-19)、短いオーバーハングなどからも本格的な走りが想像でき、ロータスのDNAが色濃く現れたデザインをしている。

インテリアでは、日常使いが前提とされたため、レースカーを意識した機能を盛り込んだ他のモデルとは異なり、ソフトな路線になっている。とはいえ、ロータスらしさもきちんと盛り込まれている。

シートやトリムまわりにはハンドクラフトの高級レザーがふんだんに使われ、ラグジュアリーな雰囲気を醸し出している一方、精巧なメタルインサートと高品質なエッジライト式スイッチを美しく並べ、どこか懐古的でありながら、モダンなインテリアに仕上げている。

乗降性については、シルを低く、そしてエリーゼの100mm幅にたいして、80mmと細くし、ドア開口部は全体的に縦に広くなっている。フロントシートの高さも65mm上げ、良好な乗降性につなげている。

とはいえ、フラットボトムのステアリングやタイト目のシートに座れば、ロータスのハンドリングとパフォーマンスは容易にイメージできるコクピットになっているのだ。

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ロータスの肝ハンドリング

シャシーはVersatile Vehicle Architecture(VVA)で、今後のハイブリッドや電気自動車なども考慮し、汎用性の高いアルミ・シャシーを開発している。このシャシーはLotus Lightweight Structures Limited(LLS)で製造され、エリーゼ、エキシージ、2イレブン、ヨーロッパなど全ロータス車のアルミ構造をもつ車両もここで造られている。

エボーラを支えるサスペンションは、アルミ鍛造Wウイッシュボーンになっている。ビルシュタイン製ダンパーとアイバッハ製スプリングがセットされ、TRW製のステアリングラックが組み合わされてロータスのハンドリングを仕上げている。

ブレーキはAPレーシングの4ポッドキャリパーにF350mm、R323mmのベンチレーテッドディスクが標準で、クロスドリルドディスクがオプションで選べる。

また、ボッシュと共同開発した制御系では、ABSはもちろんだが、油圧ブレーキアシスト(HBA)、電子制御制動力分配装置(EBD)も標準装備されている。ABSと同時に開発されたロータス・トラクション・コントロール(LTC)には、エンジンマネージメント機能があり、エンジン出力をコントロールしている。さらに電子デファレンシャルロック(EDL)も標準装備され、リヤブレーキを正確に作動させることで、個々のタイヤ回転速度がコントロールでき、トラクションを維持することができるようになっているのだ。(LTCはON/OFF可)

ロータスとトヨタは数十年にわたり密接な関係があることから、エボーラにもトヨタ製のエンジンが搭載されている。V型6気筒3.5Lの2GR-FEでトヨタではブレイドに搭載しているエンジンだ。だが、このエンジンマネージメントはロータス独自のもので、オリジナルソフトウエアT6eを開発している。最高出力280ps/6400rpm、342Nm/4700rpmのスペックはトヨタとは若干違い、最高出力発生回転が200rpm高くなり、トルクでは2Nmロータスのほうが少ない。

主にスロットルレスポンスを重視したというロータスは、排気システムに変更を加え、最大回転数まで回さなくてもパワフルなレスポンスが得られる。6速MTとの組み合わせは、日常ユースとしても十分使いやすく、走りに拘るドライバーの期待にも応えることができ、多くのユーザーが満足する仕上がりになっている。

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ロータス・エボーラ ギヤレーション

1st 2nd 3rd 4th 5th 6th Reverse
STD 3.54 1.91 1.22 0.86 0.79 0.64 3.83
SPORTS 3.54 1.91 1.41 1.09 0.97 0.86 3.83

文:高橋明

ロータス公式ホームページ

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