【新型レンジローバースポーツ 試乗記】美しさとシャシー性能が生み出す唯一無二の世界

ラグジュアリー・パフォーマンスSUVのレンジローバー スポーツが3代目になり、試乗することができたのでお伝えしよう。

3代目レンジローバースポーツは2022年5月に国内発表。先進的なシャシーテクノロジーを搭載し、見惚れるフラッシュサーフェイスなエクステリア・デザインなどで注目を集めているモデルだ。

新型 レンジローバースポーツ AUTOBIOGRAPHY D300

ランドローバーのラグジュアリーラインアップには、フラッグシップにレンジローバーがあり、ヒエラルキーとしてレンジローバースポーツ、ヴェラール、そしてイヴォークと揃えている。いずれも洗練されたデザイン、エレガントさ、豪華なインテリア、高い走破力を持つラインアップで、レンジローバースポーツは名前のとおり、レンジローバーをよりアクティブにしたモデル。ボディサイズは全長4960mm、全幅2005mm、全高1820mm、ホイールベース2995mmで特に全幅の2m超えは圧倒されるサイズだ。

ボディカラーはフィレンツェレッド

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3代目となったレンジローバースポーツは、シャシー性能に最先端の技術が投入されていることもアピール。プラットフォームはMLA-Flex(flexible Modular Longitudinal Architecture)で、最新のシャシーシステムと一体となって、最高のダイナミズムを実現していると説明している。

エアサスペンションを装備し、電動スタビライザー、四輪操舵のAWS、そして前後のトルク配分はもとより、ブレーキベクタリングを備えたAWDシステムでアクティブなダイナミック性能を発揮する。

さらに、これらのデバイスを駆使し、あらゆる路面に対応する走破力を持たせて高いオフロード性能を発揮する。世界初のアダプティブオフロード・クルーズコントールは、オフロードでもドライバーの希望する速度を維持し加減速を行ない、荒れた地形を検知すると、快適性を維持できるように自動で減速する機能も持っている。

凹凸のない後ろ姿も美しい

だから、このシャシー性能の高さ、走破力の高さをアピールするために2022年5月に発表したときのプロモーションでは、傾斜角40度のダムの放水路を駆け上がるアドベンチャーを、ジェームス・ボンド映画のスタント・ドライバーがドライブするパフォーマンスでアピールしたわけだ。

それほどシャシー性能の幅の広さとラジグジュアリーな空間を作り出すレンジローバースポーツを高速道路、一般道路で試乗してみた。

国内で激しい悪路を走行する使い方をする方がどれほどいるのか不明だが、乗ってすぐに感じるのは鷹揚なステアフィールと乗り心地の良さがファーストインプレッションとして伝わってくる。

FMヨコハマ「THE MOTOR WEEKLY」DJの山下麗奈さんもレンジローバースポーツを堪能

近年のスポーティSUVにありがちなレスポンスに敏感なハンドリングでは、悪路からのキックバックが強くなるため、悪路走破はしづらい。だからレスポンスを落とすのがセオリーで、悪路でもスポーティに走破できるという点で他のSUVとは一線を画している。

ステアレスポンスを落とすという設定になっているものの、応答遅れとは異なる。操舵した瞬間にクルマは反応するが、その動きはゆったりとしているのだ。きちんと反応しているため、舗装路ではゆったりとした動きと感じるものの狙いどおりのラインをトレースすることができる。さらにそうした動きによって豪華さや、動きのゴージャス感といったものへ感じ方の変化も起こる。

試乗車は3.0Lの直列6気筒ディーゼルで、48Vのマイルドハイブリッド+8速AT。エンジン音の静かさ、滑らかさはさすがプレミアム・ブランドに相応しいディーゼルエンジンだと感じる。タコメーターで確認しない限りディーゼルであることはわからないレベル。出力は221kW(300ps)/650Nmというスペックだ。

3.0L直6ディーゼルエンジン+48Vマイルドハイブリッド

この低回転・大トルクのエンジンで高速道路に入り巡行すると、鷹揚なステアフィールのはずが、直進の座りがしっかりと感じられハイスピードの長距離移動も得意であることを匂わせる。これも最新のシャシー性能が作り出しているものだ。

車線変更してもフラットライドな姿勢のまま車線を移動し、あたかも地面がスライドしたかのごとく、車体は揺れることなく滑らかに走り続ける。高速を降り一般道では、その高い静粛性がより際立ち高級車である満足感や所有欲、優越感などの感情が顔を出す。

コマンドポジションのドライビングスタイルは、見下ろす景観と視界の良さも手伝い征服感も湧き立つ。さらにゆったりとした車体の動きは優雅であり、周囲のクルマを引き連れて行く支配力も感じさせる圧倒的な存在感があるのだ。

試乗車にはオプションの23インチアルミホイールが装着されていた

コーナーに入ると、鷹揚な動きから大きめのロールをイメージするが、意外にも、というか電動スタビライザーの働きで緩やかに動くレベル。操舵量よりも逆に少ないロール量と感じるので、より速い速度で走りたくなるスポーツ性が伝わってくる。そしてあるロール量になるとしっかりと踏ん張る感触も出てくるので、なおさらアクセルを踏みつけたくなるのだ。

インテリアはモダンでシンプルだ。水平基調のダッシュボードと必要な情報や機能を司るスイッチ類などが統一されたデザインで気持ち良い。ミニマルな思考であることも伝わりオーナーがスマートであることも垣間見ることになる。

触覚コントロール付の13.1インチのフローティング型タッチスクリーン

ドアパネルの一部分には見たことのないデザイン処理がされていたが、これはサテンフォージドカーボンという素材で作られたもので、細かく刻まれた本物のカーボンファイバーの破片を封じ込めて圧縮整形した素材だそうだ。

インテリア素材はそうしたサスティナブルな素材を積極的に採用しているあたりも、ランドローバーらしい取り組みと言える。

サテンフォージドカーボンが使用されたドアパネル

シートの感触はソファ感覚で、当初、こんなにソフトで大丈夫かと思わせるほど気持ち良い座り心地。しかし表層はソフトでありながら、荷重が体重以上にかかるとしっかりホールドするので、ステアフィールの演出にも一役買っていると後になって気づく。

11.4インチリアシートエンターテインメントスクリーンが 2 基搭載されている

エクステリアは見てのとおり、凸凹のないツライチ感に圧倒される。フラッグシップのレンジローバーと同様の仕上げで、パネルとパネルの組み付け部位の隙間の小ささ、正確さは他のプレミアムモデルを圧倒する。アウディのボディ組み立ての正確さを超える美しさを持っていると思う。

リヤゲートに至っては継ぎ目がわからないほどボディデザインに溶け込んでおり、いいもの感が溢れるデザインだ。

フロントマスクは言うまでもなく伝統のクラムシェルボンネットを継続採用し、グリルもフラッシュサーフェイス化され、研ぎ澄まされた美しさを持っている。無駄な装飾、プレスラインは一切なくシンプルで力強い。近年のデザイントレンドはシンプルでミニマルという流れだと感じる。プレスラインを多用するデザインは、時代遅れに感じさせてしまうほどの美しさを持っている。

車両本体価格

レンジローバースポーツ AUTOBIOGRAPHY D300:1457万円(税込)

FMヨコハマPodcast

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