ランドローバーは2019年9月10日、フランクフルト・モーターショーで新型「ディフェンダー」をワールドプレミアした。新型ディフェンダーは会場で42度の傾斜を駆け下りるダイナミックなパフォーマンスを披露した。
デザイン
ランドローバーにとってディフェンダーはブランドを象徴するモデルだが、今回のモデルチェンジで最新の仕様に生まれ変わり、スマートで高機能、安全でタフな本格オフロードカーという、どのカテゴリーにも属さない唯一無二の存在を目指している。
今回発表された新型ディフェンダーは、世界で最も高い走破能力と耐久性を有する4×4モデル「ディフェンダー 110」で、今後はショート・ホイールベースの「ディフェンダー90」、そして2020年に実用的な商用モデルも導入する予定だという。
新型ディフェンダーは、短い前後のオーバーハングにより、卓越したアプローチアングル、デパーチャーアングルを実現するなど、ひと目でディフェンダーとわかるシルエットに仕上げられている。専用の直立フォルムをはじめ、ルーフ後方に取り付けた「アルパインライト」ウィンドウ、横開きのリヤ・テールゲート、外付けスペアタイヤなど、初代ディフェンダーの特徴を受け継ぎながら、21世紀仕様の最新のクロスカントリー・モデルに仕上げている。
インテリアにも初代ディフェンダーのデザイン・コンセプトが受け継がれており、通常は見えないように設計される構造物や装具をあえて露出させ、シンプルさと実用性を強調。革新的な特徴として、シフトレバーをダッシュボードにレイアウトし、オプションで追加できる「ジャンプシート」が設定されている。この「ジャンプシート」はフロントシートを3人掛けにすることができるというものだ。
今回発表されたディフェンダー110は、5シート、6シート(ジャンプシート選択時)、5+2シートから選択でき、2列目シート後方のラゲッジスペースは最大1075L、リヤシートを倒した場合は2380Lまで拡張可能となっている。
タフな性能
ランドローバーが新たにクロスカントリーモデル向けに開発した「D7x」アーキテクチャーを採用している。軽量なアルミニウムのモノコック構造で、同時にランドローバー史上最も頑丈なボディ構造となっている。従来のラダーフレーム構造と比較して約3倍のねじり剛性を確保。完全独立型のエアサスペンションまたはコイル・サスペンションを備えている。
シャシーとボディ構造は一般的なSUVや乗用車の基準を大きく上回る耐久性を備え、ランドローバー独自の究極耐久テストで持続衝撃試験もクリアしている。開発過程においてプロトタイプ車両は、気温50度の灼熱の砂漠からマイナス40度の極寒の北極、コロラド州の標高1万フィートのロッキー山脈まで、地球上で最も厳しいとされる環境で徹底的に鍛えられた。
新型ディフェンダーは、クロスカントリーAWDにふさわしく、AWD、ツインスピードAT、センターデファレンシャル、オプションのアクティブロッキング・リヤデファレンシャルなど、砂が舞う砂漠地帯から極寒のツンドラ地帯まで、あらゆる環境で優れたパフォーマンスを発揮するために必要なすべての機能を備えている。
また新たにコンフィギュラブル・テレイン・レスポンスが装備され、オフロード経験が豊富なドライバーが状況に応じて細かな車両設定が可能だ。もちろんオフロード経験の浅いドライバーは、インテリジェント・オート機能を利用し、地形に合わせたモードが自動選択できる。
新設計のボディ構造により、エアサスペンション仕様では291mmの最低地上高で、世界有数のオフロード・ジオメトリーが実現されている。アプローチアングル、ブレークオーバーアングル、デパーチャーアングルは、それぞれ38度、28度、40度を実現。「テレイン・レスポンス2」の新たなプログラムにより、最大渡河水深は900mmで、河川でもドライバーは自信をもって進むことができる。
乾燥路面では、まるでボンネットがないかのようにフロント下180度の視覚を確保する「クリアサイト・グラウンドビュー」が使用できる。通常ボンネットで隠れて見えない前輪のすぐ前方エリアの映像を車内中央のタッチスクリーンに表示することができる。
最新のパワーユニットとインフォテイメント
新型ディフェンダーは、マイルドハイブリッドを搭載した300ps/400Nmを発生する4気筒P300エンジンとパワフルな6気筒P400の400ps/550Nmガソリン・モデルをラインアップ。このほかに200ps/430Nmの4気筒ディーゼル・エンジンD200と、240ps/430Nmを発生するD240の2種類もラインアップされている。さらに2020年にはPHEVモデルも追加される。
インフォテイメントの分野では、最新技術を採用した「Pivi Pro」をジャガー・ランドローバーとして初採用。次世代タッチスクリーンは、より直観的かつユーザーフレンドリーで、使用頻度の高いタスクを簡単に操作できる。
またSoftware-Over-The-Air(SOTA)テクノロジーを採用し、リモートでアップデート情報を受信できる14の独立モジュールを搭載している。ドライバーが自宅で寝ている間や出先でもデータをダウンロードすることが可能。アップデート情報が次々と車両に転送され、迅速に、ディーラー店舗を訪れる必要もなく、車両のソフトウエアを更新をし続けることができる。