2016年9月5日、ケーニグセグ・ジャパンは都内で3台限定のアゲーラRSRを発表した。RSRはアゲーラをベースにした25台の限定生産モデル「RS」に、さらに専用のエアロパーツやペイント、インテリアなどビスポーク・モデルでわずか3台だけ生産されるスペシャルモデルだ。
ケーニグセグは1994年にスウェーデン・エンゲルホルムで創業されたスーパーカーメーカーで、創業者はクリスチャン・フォン・ケーニグセグ氏。ケーニグセグはボディ、シャシー、エンジンなど、タイヤ以外のすべてが完全なハンドメイドで製作され、アメリカの型式認証を取得。また同社の最初のモデルCCRは最高速387.8km/hを記録。2代目の「One:1」は最高速440km/hを記録している。
そして、創業者のクリスチャン・フォン・ケーニグセグ氏による、スウェーデンの自動車メーカー、サーブ・オートモビル社を買収する計画も2009年にあったが、結局、実現しなかった。
またケーニグセグの日本での販売会社は2005年に設立されたが、リーマンショックの影響を受けて撤退している。近年になってケーニグセグ社は日本でのスーパーカーの販売が順調なこと、アジア市場を重視する戦略の一環として、新たにケーニグセグ・ジャパンを設立し、藤巻秀平氏が社長に就任。近日中にはショールームもオープンする予定だという。
今回、3台のみという特別限定モデルのアゲーラRSRを東京で発表したのは、この3台がすべて日本で販売されるからだ。実際のところ、すでに2台は受注済みで、残る1台も近日中に受注が決定する予定だという。
■アゲーラRSR
ケーニグセグの最大の特徴は、極少量生産のハンドメイドカーであり、タイヤやブレーキユニット以外はすべて内製という点だろう。5.0L・V8エンジンは本体も、エンジン制御ECUも内製なのだ。
ミッドシップマウントの5.0L・V8エンジンはセラミック・ボールベアリングターボを2個装備し、レギュラーガソリンで1.3Bar、プレミアムガソリンで1.4バールの過給圧を発生し、最高出力1200ps、最大トルク1280Nmという超絶の出力を発生。さらに最高許容回転数は8250rpmまでという高回転性能も備えている。そして低重心化のためドライサンプを採用している。なおエンジン本体のコンパクトさ、軽量さにより、このカテゴリーで最もダウンサイズされたエンジンとされている。トランスミッションは7速パドルシフト式。
ワンピース構造のモノコックフレーム、ボディパネル類はすべてアルミハニカム材をコアに、補強材としてケブラーを使用したプリプレグ・カーボン製だ。容量82Lの燃料タンクはモノコック内蔵式だ。このカーボン・モノコックのねじり剛性は6万5000Nm/度と発表されており、ランボルギーニのカーボン・モノコックの約2倍で、ロードカーとしては桁外れ。カーボン製レーシングカーに近いレベルに達している。
カーボン製ルーフはデタッチャブル式で、取り外したルーフはフロントフード内に収納できる。ドアは前方にスイングアップする方式で、狭いスペースでも開閉できるように工夫されている。
サスペンションのリヤアッパーリンクもカーボン製で、ホイールもなんとオール・カーボン製だ。もちろんこのホイールもケーニグセグ製で、センターロック式。ダンパーは電子制御ガス油圧式で、4輪独立車高制御ができる。またリヤダンパーはプッシュロッド式だ。
タイヤはミシュラン・パイロットスポーツカップ2で、日常走行用にミシュラン・スーパースポーツを選択することもできる。サイズはフロントが265/35R19(9.5J×19)、リヤは345/30R20(12.5J×20)。
ブレーキは前後ともセラミック製で、フロント6ポット、リヤ4ポット・キャリパーを装備している。
ボディサイズは、全長4293mm、全幅2050mm、全高1120mm、ホイールベース2662mmと、紛れもなくスーパーカーのサイズだ。また最低地上高は低速走行時で105mm、トラックモード時は85mm、フロントリフトモードで150mmと、使用状況に合わせて調整できるので、実用性も確保されている。ラゲッジ容量は150L。また車両重量は1395kgと驚異的に軽く、フル・カーボン製ボディのメリットが最大限に引き出されている。ちなみに価格は2億8000万円だ。