ジャガー・ランドローバーは英国現地時間の2016年2月1日、次世代のコネクテッド/自動運転車両(CAV:Connected Autonomous Vehicle)技術を開発することを目的とした、英国の公道で行なわれる「リビング・ラボラトリー」プロジェクトに投資・参画することを発表した。
このプロジェクトのために、コベントリーとソリハル周辺に41マイル(約66km)の「CAVテストコース」が整備された。もちろん公道であり、車両と車両、そして車両とインフラをつなげるシステムの両方の実証実験ができる初めてのテストコースだ。
ここでジャガー・ランドローバーの車両を含む100台に及ぶ研究用車両がテスト走行を実施して、次世代に向けた新しいシステムを検証する。
今後3年間にわたって、テストコース沿いに新たに通信機器が設置され、具体的にはまず車両間の通信と「視野外の兆候」を伝える注意喚起システムにより、ドライバーの安全、ドライビング・エクスペリエンスの向上、交通渋滞の発生防止を実現する。
さらに車両間の通信により、救急車や消防車、パトカーが接近してきていることを、ドライバーに警告するシステムを構築していく。これらの車両は、交通信号や頭上の道路情報掲示板などの情報を、車両同士や車両と道路インフラ間で共有でき、さまざまな高速通信技術の検証に使用される。
ジャガー・ランドローバーの担当ディレクターであるウルフガング・エップル博士は、次のように述べた。「この実生活での研究プロジェクトが実現すれば、当社の調査チームやパートナーは、5種類の道路と交差点で、新しいコネクテッド/自動運転車両技術のテストができるようになります。同様の研究用テストコースはすでに欧州の他の地域にも存在していますが、このテストコースはまさに英国が世界と競合するために必要とされるイノベーションのインフラとなるのです。研究対象となるコネクテッド/自動運転車両の機能は道路の安全性を高め、ドライビング・エクスペリエンスをより良くし、渋滞発生の可能性を低減して交通の流れをスムーズにするものです。これらの技術は、運転中の通信サービスに対するお客様からの需要の高まりに対応するためにも役立ちます」
さらにジャガー・ランドローバーは2016年2月1日に、自動運転車両の研究プロジェクト「MOVE-UK」に出資することも明らかにした。これは未来の自動運転車両がロボットではなく、人間のドライバーのような自然な運転ができるようにすることを目的に始動したプロジェクトで、ティア1のボッシュが主導しているもの。ジャガー・ランドローバー以外にも英国交通研究所(TRL)、ダイレクトライン、グリニッジ・ロンドン特別区およびザ・フローが参加している。
本プロジェクトでは、グリニッジ・ロンドン特別区の職員がジャガー・ランドローバーの車両を毎日運転し、渋滞や交差点、道路工事、悪天候など、実社会の運転状況に対するさまざまなドライバーの反応を検証する。
具体的には車両に搭載されたセンサーが収集したデータから、複雑でストレスがかかる状況などで、ドライバーが行なう自然な運転操作と判断について明らかにしていく。
例えば、ロータリーや交差点で道を譲る、交差点でクルマの流れに入るために減速する、渋滞中に車両後方から緊急車両が接近してきた際の対応などが調査に含まれる。
また将来の自動運転車両に関連する車両保険の構築も大きな目的としている。本プロジェクトでは保険会社の専門家が、実走テスト車両から取得したデータを使用して、特定の状況における責任の所在に関して専門知識を提供していく。