キャデラックのSUVラインアップにXT4という最もコンパクトなサイズのSUVが加わり、試乗できたのでお伝えしよう。
本格SUV性能も持つアメリカンラグジュアリー
XTシリーズはラージサイズにXT6、ミッドサイズにXT5があり、その下のサイズとしてコンパクトなXT4がラインアップする。さらにフルサイズにはエスカレードがあり、これは大統領御用達モデルとしても採用されているモデルだ。
XT4はコンパクトとはいえ、アメリカンサイズなので、国内でみればミッドサイズレベルになる。全長4605mm、全幅1875mm、全高1625mm、ホイールベース2775mmとDセグメントサイズはある大きさだ。
これに2.0Lのガソリン+ツイスクロールターボLSY型を搭載し、9速ATを組み合わせている。エンジンは最新の直列4気筒エンジンで、アクティブフューエルマネージメント制御で2気筒分の気筒休止をする。そのLSYエンジンをXT4は横置きに搭載している。トランスミッションはフォードと共同開発された9速ATで、滑らかで変速比幅が広い特徴を持っている。
ちなみに、キャデラックのセダンCTシリーズにもこのLSY型エンジンは採用しており、縦置き搭載し10速ATと組み合わせている。
LSYエンジンの出力は230ps/350Nmあり、リッターあたり100psを超え、クラストップの出力を持っている。トルクは1500-4000rpmと低回転から最大トルクを発揮するエンジンなので、市街地や高速道路での追い越し加速、合流時の加減速などでもストレスなく、力強さをいつでも感じられる走行を可能にしている。
XT4は、欧州車や国産車に多くあるクロスオーバー的なSUVではなく、SUVとしての本格機能も追求したAWDモデルなのだ。通常はもちろんFFで走行し、省燃費に貢献し、その際プロペラシャフトへ駆動力を伝えないディスコネクト機構も搭載している。
さらに、リヤデフ左右にクラッチを装備し、左右トルクベクタリングも可能にし、悪路走破など本格SUV機能も搭載しているのは見逃せない。これらのディスコネクト、トルクベクタリングのシステムはAAM社のシステムを搭載している。
こうした本格SUVとしての機能を持ちながら、キャデラックブランドにふさわしいラグジュアリーさが味わえるのがXT4の最大の魅力だろう。
アメリカらしいゴージャスな乗り味
ハンドリングは、ゆったりとした動きが、そのゴージャスさに磨きをかけるように感じ、SUVなのにクーペライクでスポーツカーのように走るモデルが出てきている中、SUVとしての本質を見失っていない。SUV発祥のアメリカ車らしさをもったモデルなのだ。
サスペンションもゆったりとした動きと、ある程度のロールをしたあとの引き締まったアシは、ただのゆるいSUVとは違うことが伝わってくる。普段は乗り心地がゆったりとし、豪華な乗り心地を感じるが、速度があがりコーナリングをするとボディの剛性感を感じさせ、引き締まったサスペンションになるのだ。
シフトチェンジは実に滑らかで、変速ショックは微塵も感じない。まさにキャデラックブランドに相応しい滑らかでしっとりと走行するSUVだ。
もちろん静粛性も高くタイヤの走行音もわずかに聞こえる程度。高級車にふさわしい静粛性と乗り心地を持っているモデルと言える。またシートも大きめなのでソファ的な快適さがあるのもお気に入りのポイントだ。
先進装備とユーティリティ
アメリカのSUVだけにラゲッジ容量もしっかりと確保している。通常でも637L確保しており、リヤシートを倒せば1385Lまで拡大。電動パワーゲートにプラスして足の蹴り込み動作で開閉できるハンズフリー装備はキャンプなど現場でも役立つ装備を持っている。
エクステリア、とくに顔はひと目でキャデラックとわかるデザインでまとめられており、個性が際立つSUVだ。インテリアでは先進のCUE(キャデラックユーザーエクスペリエンス)を備え、8インチのタッチスクリーンはステアリングの物理スイッチやセンターコンソールのロータリーコントローラーでも操作できるようになっている。さらにクライメートコントロールなど使用頻度の高いものは、タッチパネル内の階層には含まず、インパネに物理スイッチとして設置している点でも扱いやすく、便利に使える。
ただし、ステアリングは左ハンドルのみの設定なので、抵抗のなる人も少なからずいると思う。だが、国内で乗る場合でも車高は高く、視界もよいので多少の慣れは必要かもしれないが、運転しにくいと感じることはないと思う。<レポート:高橋明/Akira Takahashi>
価格
キャデラックXT4プレミアム:570万円(税込み)
キャデラックXT4スポーツ :640万円(税込み)
キャデラックXT4プラチナム:670万円(税込み)