独自路線を行く素敵なキャデラック

マニアック評価vol2
キャデラックCTSスポーツワゴン

キャデラックCTSはGMのプレミアムブランドで、キャデラックの中でもっとも小さいモデル。そのCTSに2010年2月からスポーツワゴンがラインアップに加わった。

キャデラックの歴史上、初のステーションワゴンであって、あらたなマーケットに向けて放たれたモデルだ。サイズはCTSセダンとまったく同じ4870×1850×1470(全長mm×全幅mm×全高mm)という大きさ。

サイズで比較すればベンツのEクラスとほぼ同等で、Eクラスワゴンは4900×1855×1515となっている。また、価格で比較してみると、CTSスポーツワゴンは約515万円〜約660万円の幅があり、AMGなどのエボリューションモデルを除いた、ベンツCクラスワゴンが約460万円〜約650万円で、同じレンジに収まる。

さて、このスポーツワゴンだが、ハンドリングを磨くにあたって、ニュルブルクリンクで鍛えたというのが売り文句になっている。先代のCTSセダンのハンドリングも、アメ車チックなモノではなく、評価の高かったモデルだったが、このモデルでもFRの特性を十分に生かすように、サーキットで鍛えたというわけだ。それだけに、すべてのグレードでLSDが標準装着されている点がおもしろい。スポーツというネーミングに拘った結果なのだろう。

搭載されるエンジンは3.0Lの直噴V6エンジンと、3.6L直噴V6の2種類がある。いずれもレギュラーガソリン仕様で、高出力低燃費の面でもポイントが高い。スタンダードグレードの10・15モード燃費も8.4km/Lだから、極端に燃費が悪いともいえないレベルだ。Eクラスの300E、V6、3.0Lの燃費は9.2km/Lより劣るものの、プレミアムガソリンを使用する点で、実際の出費は相殺されてしまうのではないだろうか。

まぁ、このクラスに乗るユーザーは細かな燃費の数値というより、環境を意識したクルマであるという形容詞があれば、実際の燃費値はあまり気にしないであろう。

インテリアデザインも、エクステリアデザインと同じように、直線を基調としたデザインでまとめられている。ただ、操作においては独特のロジックが存在しているようだ。

空調の調整は左右独立式で、センターコンソールにヒザが当たるあたりへ設置されている。ここでシートヒーターも含め温度調整をし、シフトレバーの前にあるスイッチで吹き出し口の調整をする。場所は近いところに設置されているものの、走りながら調整することや、先入観というか、固定概念というか、「このあたりにあるはず」という場所にはない。だから慣れないと、温度調整のスイッチを探すことになる。

また、ナビゲーションは当然国内の地図がインストールされているが、操作するインターフェイスは本国とおなじになっているため、現在位置や目的地といった表記がわかりにくい。たとえば、目的地設定はDESTと表記されている。目的地を意味するDestinationが短縮されているのだが、こちらも慣れないとナビ操作にとまどってしまうだろう。

他にも細かいところで、サイドミラーのスイッチも迷った。左右の切り替えは簡単だが、ニュートラルが見つけられない。別段、ニュートラルにしなくとも問題ないが、左右の中間がニュートラルという概念が刷り込まれているから、どうしても探したくなる。答えは、左右のどちらかが稼働するようになっているとき、同じ方向を押すとニュートラルになる。つまり、二度押しすればOKなのだ。

これはヘッドライトのスイッチも同じロジックで、Auto、とポジション、ロービームとあるなかで、手前に回わすとAuto、反対に回転させるとポジション、更に回してロービームになるが、ロービームから消灯するとAutoのポジションのままになる。これをさらにもういちどAuto側に回すと、つまり二度同じ方向に回せばOFFになるという具合。

いずれも一回触ってみて、慣れてしまえばなんの苦労も感じないことだが、なにも考えずに、走りだしてしまうと、いろいろと、まごついてしまうのだ。

しかし、このロジックや操作の感触は、ちょうど、ウインドウズのPCに慣れているときに、Macを触ったときの感動に似ているのかもしれない。どこか、独特のロジックを感じるのだ。また、それがカッコよかったり感じてしまう自分のオタク具合に気づかされたクルマだった。

スポーツワゴン3.0Lスタンダード 515万円

スポーツワゴン3.0Lラグジュアリー 544万円

スポーツワゴン3.0Lプレミアム 575万4000円

スポーツワゴン3.6Lプレミアム 666万円

*税込価格

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