2013年5月8日、フィアット・クライスラージャパンは、フィアットを代表するコンパクトカー、新型フィアット「パンダ(Panda)」を6月1日から発売を開始すると発表した。新型パンダは「Easy」の1 グレードのみの展開で、価格は208万円。
パンダは、長年にわたってユニークで魅力的なコンパクトカーを生み出してきたフィアットの歴史においても特別なモデル。1980年にデビューした初代モデルは、合理性と機能性を徹底的に追求したその斬新なデザインが高く評価され、20世紀末を代表する傑作コンパクトカーとしての地位を確立した。コンパクトクラスとして初の4WDやディーゼルエンジンモデル、さらには電気自動車といったバリエーションを増やし、これまでに640万台以上のパンダが世界中で愛されている。
今回発売される新型パンダは3世代目のモデルで、初代モデルと2004年のヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤーに輝いた2代目パンダの思想を受け継ぎながら、生活を豊かにする楽しさに満ちたデザインと、安全性や低燃費、低エミッションなど求められる性能を高いレベルで実現。コンパクトカーとしての魅力をさらに磨き上げたニューモデルだ。この新型パンダは2011年のフランクフルトショーでワールドプレミアされ、イタリアで2012年11月から生産が開始されている。
新型パンダは、シンプルで親しみやすく洗練されたスタイル、機能的で楽しさに満ちたインテリア、高効率のツインエアエンジンと5速デュアロジック・トランスミッションを搭載し、優れた実用性を追求したパッケージングと充実した安全装備が特徴。
街中でも扱いやすいコンパクトなサイズこそがパンダの真価だが、最高レベルの安全性を満たしながら快適な室内空間を実現するために、新型パンダのボディサイズは先代モデルに比べてわずかに拡大されている。とはいえ全長3655mm、全幅1645mm、全高1550mm、ホイールベース2300mmと、そのコンパクトさは変わらない。先代モデル同様にシックスライトデザインを採用し、よりスムーズで滑らかなフォルムに一新され、笑顔を連想させるフロントマスクのデザインなどパンダ伝統の親しみやすいデザインとしている。滑らかなラウンドシェイプは空力特性にも貢献しており、空気抵抗係数はこのセグメントとしてトップレベルのCd=0.32 を達成した。
ファニーさを持ちながらも、ボディサイドとバンパーに加えられたプロテクト・ストリップは、初代パンダと同じように、タフな印象を演出し、軽い接触からボディを守る実用的な役割を持つ。高い位置に配置されたテールランプも同様で、実用性を忘れないイタリアン・デザインを体現している。
インテリアのデザインも実用性に裏打ちされた遊び心と洗練を大切にするイタリアのプロダクトデザインの理念を表現している。インテリア全体とコーディネートされるフレームで囲われたインストルメントパネルは、初代パンダのアイデアを発展させたもの。メータークラスターやエアコン、オーディオなどの各種ユニットやエアアウトレットもこの枠内にレイアウトされている。また、一般的なグローブボックスに加え、助手席前には大きな収納ポケットが設けられ、他の豊富な収納スペースともに使いやすさを重視している。
新型パンダに搭載されるパワーユニットは、既に定評のある0.9Lの2気筒ターボの「ツインエア」エンジンだ。電子制御の連続可変バルブタイミング&リフト機構によりスロットルレスと、ポンピング損失を大幅に低減したシステムを採用し、85ps/5500rpmと、145Nm/1900rpm を生み出す。またスタート&ストップシステム、エコモードスイッチなど最新技術との組み合わせで、優れた燃費とエミッション性能を実現する。なおこのエンジンは2011年度の「インターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤー」にも選ばれた。日本仕様はATモード付き5速シーケンシャル・トランスミッション、「デュアロジック」を採用する。燃費はJC08モードで18.4km/Lだ。
インテリアのパッケージングもパンダの伝統をしっかりと守っている。乗員に快適な居住スペースを提供する一方で、多彩なシートアレンジを活かしたステーションワゴンのような荷物積載能力を発揮する多用途性を備えている。新型パンダはボディサイズの拡大を最小限に抑えながら、スリムな形状のシートを採用するなど各部の設計を見直し、インテリアスペースとラゲッジスペースを拡大した。室内幅は従来モデルに比べて前席で+26mm、後席で+5mm、室内長は20mm延長され、リヤシートの足元スペースが改善されている。ラゲッジスペースの容量も従来モデルに比べて10L増加し225Lに。60:40の分割可倒式のリヤシートバックを畳めば、フラットな870Lのラゲッジスペースが得られる。
新型パンダのプラットフォームはフィアット「ミニ・プラットフォーム」を採用。サスペンションはフロントはストラット式、リヤはトーションビーム式を採用している。製造は当初はポーランド工場が予定されていたが、イタリア政府との協議の結果、リニューアルされたイタリアのポミリャーノ・ダルコ工場で製造されることが決定し、2011年秋から稼動している。この工場は元々アルファロメオの工場で、かつてのアルファスッドを製造した工場だ。
新型パンダは強固でエネルギー吸収性に優れたボディを備え、最新のアクティブ&パッシブ・セーフティ装備を備えている。ウィンドゥエアバッグなどフルエアバッグの装備はもちろん、急制動時点滅ブレーキランプ、ESCなどセーフティデバイスを装備している。なお、近いうちにレーザーレーダー式の低速域の衝突回避システムの導入も計画されている。