フェラーリは、ジュネーブモーターショーでニューモデルとなる「GTC4ルッソ」を発表した。このマラネッロ最新モデルは4シーター、4WDというFF(Ferrari Four)のコンセプトを継承しており、ネーミングは 往年の「330GTC」や「250GTルッソ」に由来している。
まず、フェラーリ最大のトピックとなるエンジンは、排気量6262ccのV型12気筒をフロントに搭載。このエンジンは新設計のピストンヘッドやマルチスパーク・インジェクション、軽量化により、最高出力690ps、最大トルク697Nmを発生。これにより、パワー・ウエイト・レシオ2.6kg/ps、0-100km/h加速3.4秒、最高速335km/hを記録する。
そして、最も大きなトピックは4WDシステム。FFではフェラーリ独自の技術となるE-DiffやF1-Trac、SCM、ESCを統合した4RMシステムを導入していたが、GTC4ルッソではさらに進化している。4RM-Sと名付けられた新システムは、4輪操舵機能も加わったのだ。
4RM-Sの後輪操舵システムには、コーナリング時のステアリング修正を抑えるダイナミックレスポンス・コントロールモデルを採用。また、スラストベクタリング・コントロール(推力偏向制御)の概念が初めて導入され、後輪の向きを変えることで、タイヤが発生する縦方向の過剰なグリップを横方向のグリップへと活用。これにより限界域での車両特性がマイルドになるだけでなく、より大きな横加速度を得ることでさらなる性能向上を図っている。
これらの機能に加え、システム重量の軽量化やトルク伝達効率の向上、磁性流体式SCM-Eダンパーの採用などにより、新システムの4RM-Sはあらゆる状況下で車両のコントロール性能を向上。雪道やウエット、ローグリップ路では卓越した安定性を、ハイグリップ路のコーナリングスピードの向上と高い旋回力をもたらす。
エクステリアは、FFのシューティングブレーク・クーペのコンセプトをさらに洗練させ、リヤに向かって流れるように細くなるシェイプがファストバックのようなシルエットを描いているのが特徴。また、細部に至るまでエアロダイナミクスが徹底して追求されているのもポイントだ。
ボディサイドには330GTCを彷彿とさせる3枚のルーバーを備えたエアベントを配置。ここから空気を排出することで、エンジンルームとフロントホイールアーチ内の圧力を減少させ、ドラッグ低減およびダウンフォース向上に貢献する。また、リヤまわりではキール形状の垂直フェンスを備えたディフューザーが、乱流の発生幅を狭めると同時に、ドラッグを低減して効率的に空気を排出。リヤハッチ一体型スポイラーと併せて、エアロダイナミクスを大きく向上させている。
4シーターのインテリアは、シャシーとボディの接合部の剛性を20%強化したほか、遮音性を向上したことにより、FFよりも高い静粛性を実現。加えて、後席を含めた高い居住性、厳選した素材が使用されたフェラーリらしいスポーティかつラグジュアリーなキャビン、フルHDタッチスクリーンをはじめとした先進の装備などにより快適な室内空間が作り出され、心地良いV12サウンドを聴きながらドライブを楽しむことができる。
なお、今回のジュネーブモーターショーでは、最新のハンドリング・スペチアーレ(HS)オプションが導入されたカリフォルニアTもお披露目されている。