フェラーリ 空前のパフォーマンスをもつ296スペチアーレを発表

フェラーリ本社は2025年4月29日、PHEVシステムを採用したスーパースポーツカー、「296 GTB/GTS」のパフォーマンスをさらに向上させたクーペの「296スペチアーレ」、リトラクタブル・ハードトップ「296スペチアーレA」を発表した。

296スペチアーレに搭載される120度V型6気筒3.0Lツインターボ・エンジンは、「フェラーリ・チャレンジ・トロフェオ・ピレリ」ワンメイクレース参戦用の「296チャレンジ」に搭載されるエンジンと同等で、チタン製コンロッド、鍛造強化ピストン、軽量な窒化スチール製クランクシャフトであり、さらに、ル・マン24時間レース用マシン「499P」のエンジンと同様に削り出しエンジンブロックとクランクケースを採用するなど、特別な仕上げとなっている。そしてエンジン本体でトータルで9kg軽量化している。

そして専用のエンジン制御マップ、過給圧制御マップ、さらにF1技術であるノッキング・コントロールも装備しており、ベースの663psから37psアップの700psを発生する。トランスミッションはF1タイプ8速DCTを組み合わせている。

PHEVシステムは、充電も可能な7.45kWhのバッテリーを搭載し、エンジン、トランスミッション間に配置されたアキシャルフラックス型MGU-Kモーターを搭載。新たにエクストラ・ブーストモードが採用され、モーター出力は167psから180ps/315Nmへとアップ。その結果、システムトータル出力は830psから880psへと向上している。なお、電力のみでのEV走行距離は25kmとなっている。

パワーウエイトレシオは1.6kg/psとなり、後輪駆動のフェラーリ市販車としては史上最高値となっている。

最高速度は330km/h以上、0-100km/h加速は2.8秒、そして200km/hからのフルブレーキでの制動距離は106mで、いずれも空前のレベルにある。

またエキゾースト・サウンドも一段と洗練され、120度V6、等長エキゾーストマニホールドなどの資質を活かし、中速、高速域では、かつてないエキサイティングなサウンドを響かせることができる。

ボディのエアロダイナミクスは、296チャレンジの空力システムを採用し、フロント・アンダートレイとフロント・ボンネットに気流の通路を設置し、気流をアンダーボディからアッパーボディへと導く仕組みを採用。

これによりアンダートレイで発生するダウンフォースを増大するだけでなく、ボルテックス・ジェネレーターによる気流制御により整流効果も高められている。また、296GT3と同様にフロント両サイドに2組のルーバーを配置。フェンダー周辺に発生する強力な気流を利用して、タイヤハウス内の圧力低減を生み出している。

リヤバンパーには垂直フィンを追加した フィンと一体化した新デザインのサイドウィングを装備。リヤ中央部の可変リヤスポイラーとの相乗効果でダウンフォースを向上させている。

可変リヤスポイラーもアクチュエータ制御も高速化され、LD(ロードラッグ)からHD(ハイドラッグ)への移行時間を50%短縮した上で、新たにMD(ミディアム・ダウンフォース)のポジションを追加している。296GTBよりもダウンフォースは20%増加し、250km/h走行時では435kgのダウンフォースが得られている。

シャシーでは、サスペンションを専用設定し、296GTBに比べて車高を5mmダウン。コーナリング時の最大ロール角は13%低減。6軸センサー制御や車速も検知する最新世代の「ABS Evo」を組み合わせて装備し、様々な路面やグリップ状況でのブレーキングの正確性と、車両運動制御を大幅に高めている。

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