【フェラーリ】投資家に向け発表した5年後に向けた経営戦略・ブランドの目標とは

フェラーリ本社は2025年10月9日、投資家向けの「キャピタル・マーケット・デイ」を開催し、2030年に向けた経営戦略、ブランドの目標を達成するための具体的な施策を発表した。

2030年に向けた戦略を発表したジョン・エルカーン会長。フィアット創業家一族で、ステランティス・グループの支配者でもある

2030年に向けた戦略

フェラーリのジョン・エルカーン会長は、「新型エレットリカを通じて私たちは先進技術、創造的なデザイン、そして製造におけるクラフトマンシップを融合させ未来に向かって前進していくことを明らかにしました。また、マラネロに未来へ向けた教育拠点であるM-テック・アルフェド・フェラーリ(官民共同で運営される高度技術トレーニングセンター)を新たに開設できたこともうれしく思います。ここでは世代を超えたエンジニア、イノベーターたちが育成されることになります。そしてこれらのマイルストーンにより、私たちはイタリア、フェラーリ、社員の独自性を守り続けるための象徴となっています」と語っている。

フェラーリの独自性とは、伝統、テクノロジー、レースという3本柱に支えられており、現在の中期経営計画では、オリジナルティ、独自の先進技術、フレキシブルな生産体制、そして顧客優先を指針として経営を推進している。

こうした計画に従い、世界耐久選手権、F1、高性能ヨットなどの分野で成功を収め、スポーツカーの分野では創業家の信念である「市場の需要より1台少なく販売する」という方針を守り、希少性を守り、顧客のかけがえのない体験が享受できるようにしている。

そして2026年から2030年に向けては年平均でポジショニングが異なる4モデルを投入するという商品計画を立てている。フェラーリは、2030年の時点で内燃エンジン搭載モデルが約40%、ハイブリッド・モデルが約40%、そして電気駆動モデルが20%とという構成となるよう計画している。

フェラーリのオリジナリティ
10月8日に開催されたテクノロジー&イノベーション・イベントで、フェラーリ初となるEVスーパースポーツカー「エレットリカ」の量産仕様のシャシー、パワートレインが発表された。フェラーリの歴史における新たな幕開けを意味し、フェラーリならではの哲学に合致する電動技術を示している。

フェラーリは常にドライバーの感情を揺さぶり、卓越した運動性能やドライブフィールを備え、オーナーを魅了するクルマづくりを行なってきているが、電気駆動化された「エレットリカ」も同様の志を持って開発され、EV時代においても妥協のないフェラーリらしいスポーツカー魂が込められている。

フェラーリは製品多様化戦略と、限定生産による希少性を追求し、さらに顧客のためのオーダーメイド対応によるパーソナライズも採用されている。2027年にはロサンゼルスと東京に新たなテーラーメイド・センターを開設し、さらに最新塗装工場もオープンされることになっている。

フェラーリのオリジナリティのもうひとつの要素は、時代を超える普遍的なブランド価値であり、さらに類を見ないデザインである。また技術的な側面では、コンポーネンツはすべて社内で開発されるという内製システムもあげられる。

フェラーリは創業以来33万台のスポーツカーを生産し、そのうち90%以上が現存しており、したがって継続的なケアも必要となっている。そのためハイレベルな顧客サービスも経営の大きな柱の一つになっている。

その結果、フェラーリに対する顧客のロイヤリティは抜きん出ており、新たな顧客を獲得する背景になっている。

商品戦略
製品開発においては、オリジナルな技術、柔軟な生産体制により、内燃エンジン、ハイブリッド、EVを様々なボディやシャシー構成と組み合わせることが可能になっており、いずれのモデルでも真のドライビングプレジャーを味わうことができる。

もちろん、V型6気筒、V型8気筒、V型12気筒エンジンは今後も技術革新を行ないながら存続し、今後はe-フューエルなど代替燃料にも適合させていく。

フェラーリの電動化は2009年に開始され、高電圧バッテリー・パック、e-アクスル、インバーター、電動モーターなどのコンポーネンツは、自社で開発、生産されている。またシャシー制御、運動性能制御のソフトウエアも社内で開発されており、これらにより電動モデルであっても技術面、性能面での差別化が実現されている。なお、バッテリーセル自体の生産のみは戦略パートナーから供給を受けている。

そして、生産においても2030年までにCO2排出量を少なくとも90%削減し、カーボンニュートラルに向けて推進していくとしている。同時に、サプライヤー、販売店とも緊密に連携し、CO2削減を図っていく方針としている。

フェラーリ 関連記事
フェラーリ 公式サイト

ページのトップに戻る