フェラーリは2024年5月3日、アメリカ・マイアミで同社のアメリカ上陸70周年を記念する特別なモデル「12 Cilindri(ドゥーディチ・チリンドリ)」を発表した。
車名の「12 Cilindri」はイタリア語で12気筒を意味している。ボディはスパイダーとクーペをラインアップしている。

「12 Cilindri」は、1950年~60年代のグランドツアラーをイメージして開発され、エレガントさ、日常での扱いやすさ、そして圧倒的なパフォーマンスを融合させ、フロントにV型12気筒エンジンを搭載するロングノーズの2座席・FR駆動というスタイルを継承したモデルだ。フロント・エンジンにも関わらず前後荷重配分は48.4:51.4というバランスの良さを持っている。

シルエットはスポーティさと品格を表現し、シンプルでありながら調和したボディラインで、しかも斬新なデザイン手法も取り入れている。また、最新の可動式空力システムも装備し、比類のないパフォーマンスを実現。そしてフロントに搭載された美しいV12気筒エンジンを眺めやすいようにボンネットはフロント・ヒンジとしている。

搭載される6.5Lの自然吸気65度V型12気筒エンジンはマラネロの最新仕様の「F140HD」で、最高出力は830ps、最大トルクは678Nm/7250rpm、最高回転数は9500rpmという超高回転エンジンとなっており、俊敏なスロットルレスポンス、レッドゾーンまで無尽蔵にパワーが湧き上がる感覚を満喫することができる。
「F140HD」はドライサンプ式で、低い搭載位置、しかもフロントアクスルより後方に配置され、ロングノーズ、ショートデッキのプロポーションを生み出している。
エンジン内部の運動系部品は、チタン製コンロッド、新素材の鍛造アルミピストン、より強靭で軽量なクランクシャフトなどを採用し、軽量化を行なうと同時にレスポンスを向上させている。また高回転エンジンにも関わらず強力なトルクを広い回転域で引き出すために可変吸気ダクトも採用している。


さらにこのエンジンは選択したギヤ段(3速/4速)に応じて最適な最大トルクを生み出すソフトウエア「ATS」を採用し、トルクカーブを制御することで、車速にマッチしたトルク感と息の長い伸びを最適化させ、ドライビングプレジャーを増幅させている。
燃料噴射は2個の燃圧ポンプ、4本のデリバリーレールを備え350気圧で噴射される直噴システムとしている。排ガスは最新のヨーロッパ、中国の規制に対応し、黒煙粒子フィルターを装備。
もちろんエンジンサウンドも最適にチューニングされ、6-1の等長吸気マニホールドを採用し、倍音成分を響かせるフェラーリならではの咆哮を全回転域で楽しむことができる。
トランスミッションは8速DCTを採用し、低速からの加速パフォーマンスと高速走行での巡航時の燃費、快適性を両立させている。

空力装備では、通常のリヤスポイラーは小型で、リヤスクリーンと一体化させた2個の可動フラップを装備している。またフロントのアンダーボディには3個のボルテックス・ジェネレーターを備え、リヤのディフューザーにも2個のボルテックス・ジェネレーターを装備し、ダウンフォースを確保している。

シャシーでは、最新のブレーキ・バイ・ワイヤー、ABS evoと6軸センサーを備え、仮想ショートホイールベース(PVC3.0 =4輪操舵))、サイドスリップコントロール8.0などが機能し、最高レベルの運動性能を生み出している。サイドスリップコントロール8.0は、フィードフォワード+学習制御により、あらゆる走行条件で横滑り角、グリップレベルを検知しABS evoとの組み合わせにより最適に制御することができる。

サスペンションはオール・アルミ製で、ボディ骨格もアルミ材を多用し、Aピラー、 Cピラー、、ダンパーマウントは鋳造アルミを採用。ボディ全体はより軽量かつ高剛性を実現している。
タイヤはミシュラン・パイロットスポーツS5、またはグッドイヤーのイーグルF1 スーパースポーツを採用。サイズはフロントが275/35ZR21、リヤが315/35ZR21だ。
インテリアのデザインは独創的なデュアル・コクピットで、キャビンは左右対称形になっており、ドライバーと助手席の2個のモジュールで構成されている。あたかも飛行機の副操縦席のように助手席でもドライバーと一体感のある走行フィールを体感できるのだ。また、インテリアトリムにはリサイクル・ポリエステルを65%含むアルカンターラなどサスティナブル素材も多用して環境対策を取り入れている。

「12 Cilindri」の長距離ドライブでは、助手席に乗る人にとっても快適が高く、着色ガラスルーフを始め開放感にあふれ、インフォテイメントのディスプレイは、運転席(15.6インチ)、インスツルメントパネル中央(10.25インチ)に加え、助手席専用の3つ目のディスプレイ(8インチ)も装備している。またインフォテイメントはApple CarPlay、Andoroid Autoと簡単にに接続できる。


「12 Cilindri」の動力性能は0-100km/hは2.9秒、100km/h-0ブレーキは31.4m、最高速度は340km/hと発表され、まさに選ばれた少数の人のためのラグジュアリー・スーパースポーツカーということができる。
なお「12 Cilindri」の発売は2024年の末頃から開始される予定になっている。価格は現在の為替レートで約6500万円と想定されている。
