DSオートモービル「DS4」試乗記 独自の世界観を持ったセンスの塊

フランスのプレミアムブランドDSオートモービルから、Cセグメントに投入したDS4に試乗してきた。

DSのラインアップは、DS3クロスバック、DS7クロスバック、そしてDS9に続くDSオートモービル4番目のモデルとしてデビューし、フルラインアップとなった。DS4の想定されるライバルはBMW1シリーズ、アウディA3ハッチバック、メルセデスAクラスといったあたり。

19インチのアロイホイールがDS4の存在感を強調している

ボディサイズは全長4415mm、全幅1830mm、全高1495mm、ホイールベース2680mmのハッチバックスタイルで、EMP2の進化版EMP2-V3を採用し、PHEVもラインアップするなどパワーオブチョイス戦略を持ち、他にガソリン、ディーゼルエンジンを搭載したモデルがラインアップする。

今回試乗したモデルはディーゼルモデルで、ブルーHDi1.5L 4気筒に8速ATを組み合わせている。130ps/300Nmの出力で燃費はWLTCモード21.2km/L。実際の試乗テストでも高速、ワインディング、市街地を走行しほぼ同等の燃費をマークしているので、燃料高騰する今、軽油で省燃費はお財布に優しい。

1.5L ディーゼルターボエンジン

世界で最も美しいクルマに選出されたデザイン

さてDS4の最大の魅力はデザインだと感じる。DSブランド自体がフランスの文化を注入したブランドであり、アールデコ調のデザインが随所にある。そして菱形をモチーフにしたデザインで形作られ、至る所が菱形に覆われているのだ。

フランスの美意識が凝縮されたインテリア

だからユーティリティという観点では評価しづらく、見た目の良さを優先しセンスやおしゃれと感じる作りになっていると思う。ファッション業界では「ガマン」は普通にあるというが、通ずるものを感じるのだ。

パワーウインドウのスイッチひとつにしても、パッと見ではわかりづらい。メーターパネル内も菱形でデザインされた枠の中に情報が表示され、データは階層の中にあり情報が溢れている世界観とは隔絶した表現でもある。

エンジンを始動させるとダッシュボードセンターに設置した四角いモノが回転し、時計が現れるという演出も自動車の世界観からは導かれないだろう。そうしたフランスのものづくりのセンスを、詰め込んでいるのがDSブランドというわけだ。

2021年パリで開催された「第37回国際自動車フェスティバル」で、世界で最も美しいクルマに選出され受賞しているというから、デザインへのこだわりは納得できる。

乗り心地にもDSの世界観が

そのセンスの塊を走らせてみると、プレミアムモデルにふさわしいソフトな乗り心地で、ドイツ車ほど硬質でもなくDSの世界観が乗り心地にもあった。もともとフランス車には大排気量エンジン車は少なく、排気量の小さいエンジンにしなやかなストロークのある足で山道を軽快に走るモデルが多い。DS4もそうしたフランス車らしさを残しつつ、次世代のデザインを纏いブランドをアピールしている。

それを技と美学“SAVOIR- FAIRE(サヴォア・フェール)を細部にまで施すことでDSならではのフレンチラグジュアリーを表現しているのだ。プロモーションビデオでは、次世代のクルマの進むべき道へ導くかのうような映像からも、既存の価値観とは異なっていることが伝わってくる。

そんなDS4だが、見えない部分には最新の技術も投入している。ボディ骨格には通常のスポット溶接に加え、構造用接着剤を多用し、DS7クロスバック比で約1.5倍の33.7mを使っている。そうした高剛性ボディとストラット&トーションビーム式のサスペンションは豊かな乗り心地を提供している。

FMヨコハマ「ザ・モーターウイークリー」DJの山下麗奈さんは「おフランスの風…というかは、パリコレ感」とDS4にうっとりの様子

使い勝手における常識は一度捨てて、DS4に乗ってみてもらいたい。最初はいろんなモノがデザインされているが故に、キョロキョロとスイッチを探すことになるが、一度使えばおおむね記憶できる。そうしたレベルに達した時に、このデザイナーズモデルを乗りこなしている、使いこなしている自分を想像してみてほしい。これまでにない新しい時代のモデルであることを実感できると思う。お試しあれ。

COTY
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