シトロエン 新エンジン搭載 C4試乗記「センスある人に指名買いさせる独自のアイデンティティ」

マニアック評価vol366

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新エンジン搭載とフェイスリフトを実施したニューC4にいち早く試乗してきた

2011年にフルモデルチェンジしたシトロエンC4が、フェイスリフトを行ない、新パワートレーンを搭載して2015年9月11日に発売となる。このレポートは発売より2ヶ月先行した試乗会でのテストドライブの模様である。<レポート:髙橋 明/Aikira Takahashi>

最大のトピックは新パワートレーンに変更されたことだ。モデルグレードは「C4セダクション」とC4セダクションの「アップグレードパッケージ」の2グレード。以前あったエクシクルーシブはラインアップから消えている。この2グレードの双方に新エンジンPSAグループが新世代エンジンとして開発したPureTech1.2Lターボと6速EAT(AT)の組み合わせで搭載されている。

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新世代エンジンのPure Tech。1.2Lターボは130psの最高出力を発揮する

このピュアテックエンジンは、先代モデルの1.6Lターボ+6EGSと比較し約20%の燃費改善が行なわれている。排気量が少なくなったが、試乗してみると先代モデルよりトルクフルでレスポンスも良く乗りやすくなったと感じる。特にシングルクラッチの2ペダルだったEGSに対し、今回はアイシンAW製のATに変わったことも影響しているのだろう。さらにアイドリングストップの機能も追加されている。

このピュアテックエンジンは欧州エンジンオブザイヤーの1.0L~1.4Lクラス部門で賞を受賞しており、プジョー308にも搭載している評判のいいエンジンだ。出力は130ps/230Nmで200Barの高圧燃料噴射をする直噴ターボエンジン。低燃費、CO2排出削減などのパフォーマンスも高い次世代パワーユニットということになる。

6速ATはEGSよりハイギヤード化し、またロックアップ領域を拡大することで、省燃費でありつつレスポンスのいいセッティングになっている。また30kgのボディ軽量化もされたため従来の13.5km/Lの燃費が20%向上し16.3km/Lとなっている。

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今回からは6速ATが採用された
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イグニッションのボタンはセンターコンソールにある

走行フィールとしては、量販クラスの欧州Cセグメントに属し、運転のしやすさが求められるが、文字通りどこにも使いにくい部分や、不満などもなく、だれでもが気軽に乗ることができる。

しかし、サスペンションやシートクッションなどはさすがシトロエンと感じさせるものがある。近年ドイツ車のプレミアムモデルが目標とされるケース多く、また量販クラスでもドイツのフォルクスワーゲンがベンチマークとされるが、シトロエンは独自の世界観の中でクルマ造りをしており、アイデンティティは保たれているようだ。<次ページへ>

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それは、乗り心地やハンドリングにシトロエンらしさがあり、出力などのスペック、数値からは感じることのできない、また「センス」というセンサーを持つ人に刺さる刺激を持っていると思う。例えば、アクセルやブレーキ、ハンドル回しなどスイッチのようにメリハリのある操作をする人にとっては、すべてが穏やかに感じると思う。しかし、それらの操作をジワリと操作できる人には、クルマもジワリと応えるという反応を示すからだ。

これがフランス車らしいとかシトロエンらしいという正体なのではないだろうか。シトロエンC4のライバルはやはりドイツのVWゴルフが筆頭だ。欧州Cセグメントでは他にプジョー308、フォード・フォーカスなどと比較される。国内でも同様のモデルと比較されると思うが、クルマから発せられるパルスは比較できないほどに、独特の世界観がありライバル不在と言っていいだろう。

ちなみにボディサイズは前期モデルと変更なく、全長4330mm×全幅1790mm×全高1490mmとなっている。装着するタイヤサイズは225/45-17で、試乗車にはミシュランプライマシーHPを履いていた。

こうした乗り味や特徴を持つシトロエンC4のエクステリアも少し変更があった。ヘッドライトをリファインし、LEDと組み合わせたハロゲンランプになっている。LEDはエンジン始動で白色に点灯し、ウインカーと連動して点滅をし、精悍でモダンな印象を与える。また、リヤコンビネーションランプも意匠変更され、3Dライトの採用で、立体感のあるデザインへと変わっている。

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一方、セダクションをベースに装備を充実したアップグレードパッケージはプラス20万円だが、それ以上のプラス装備がある。ひとつは大型パノラミックルーフで、1.3m2もあるガラスルーフ。まるで天井がガラスになったような印象を受ける。ほかに17インチのアルミ、ブラインドスポットモニターなどの安全装備もプラスされ、かなりお得なモデルと言える。

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他にもシトロエンC4の魅力として、全車標準装備のインテリジェントトラクションコントロールやヒルスタートアシスト、メーターが白色からブルー系まで5段階に調節可能な独自デザインメーター、クラス最大級のラゲッジスペース380Lのトランススペースなどがある。

価格はエントリーモデルのセダクションが276万円、アップグレードパッケージが296万円となっている。ライバルとされるゴルフのエントリーモデル、トレンドラインが266万円、量販人気グレードのハイラインが324.2万円だ。、またフォーカスのエントリーモデルが286万円、上級モデルが307万円となっている。価格は悩ましい設定になっているが、好みからすれば悩まず、指名買いというのがシトロエンC4の魅力なのだろう。

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