ヨーロッパラウンドを終えたWTCCのチームのマシンは、巨大な専用コンテナ船でベルギーのアントワープを出航し、大西洋を渡ってアルゼンチンのブエノスアイレス港に到着。そこからさらにチームのコンテナは内陸北部のサンチャゴ・デル・エステロ市に向けて1150kmの道のりをトラックで運ばれた。
2014年8月2日~3日、このような長い航海と陸送が行なわれ、アルゼンチンのアウトドローモ・テルマス・デ・リオ・オンド・サーキットでFIA世界ツーリングカー選手権(WTCC)第8戦が開催された。このサーキットは2008年5月にオープンし、WTCCレースは2回目となるが、今回のWTCCのために大改修され最新の設備に生まれ変わっている。
そしてこのレースでは、シトロエン・レーシングのドライバーであり地元の英雄ホセ・マリア・ロペスが、予選から圧倒的な速さを見せつけ、決勝レースでもレース1、レース2ともに優勝という完璧なレースとなった。
ロペスはレース1ではポールポジションからスタートし、そのまま1位でフィニッシュ。レース2ではリバースグリッドのため10番手からのスタートで優勝を果たし、シトロエンC-Elysee WTCCの揺るぎない速さとロペスの集中力の高さを見せ付け、地元の観衆の大声援を受けながら、完璧なパフォーマンスにより今シーズン7勝目を記録した。
そしてロペスは、リオネル・メッシ(サッカー)、マヌ・ジノビリ(NBAプロバスケットボール)と並んで「アルゼンチンブランド」のアンバサダーに任命された。
シトロエンC-Elysee WTCCはレース1、レース2で連勝したため、今シーズンの開幕以来8大会連続で優勝を飾ったことになる。マニュファクチャラーズ選手権は686ポイントとし、2位との差をさらに大きく広げている。
このレースで、ラーダ・スポーツにとっては、WTCCに参戦してから最も素晴らしい日となった。ラーダ・グランタを駆るロブ・ハフ選手がレース1で7位、レース2で2位に入り、初めてラップをリードするとともに、表彰台に立ったのだ。ラーダ・スポーツは前回の第7戦の後にテストを集中的に行ない、フロントサスペンションを改良してこの結果を得た。
またホンダも事前テストでマシンの改良に努め、アルゼンチンではラップタイムでシトロエンに肉薄し、レース1では2位、レース2では4、5、7、8位に入っている。
WTCCはアルゼンチンでのレースの後は夏休みに入り、10月からいよいよアジア・ラウンドが開始される。アジアでの第1戦は北京の金門サーキットから始まる。