いよいよシトロエンが4月12日、モロッコのマラケシュ・サーキットで開幕する世界ツーリングカー選手権(WTCC)レースに挑む。これまでに9ヶ月、1万km以上におよぶテストを終え、シトロエン・レーシング参戦準備を完了した。マシンは「C-エリゼ WTCC」。ドライバーは世界ラリー選手権(WRC)9連覇を果たしたセバスチャン・ローブ、昨年のドライバーズ・チャンピオンシップの覇者イバン・ミューラー、アルゼンチン人のホセ・マリア・ロペス、そして中国人のマー・チンホワの4選手だ。
昨年7月にC-エリゼ WTCCが初公開されて以来、シトロエン・レーシングはテストを重ねてきた。2月にはフランスのポールリカール、3月にはスペインのバレンシアにおいて合同テストに参加。順調な仕上がりとマシンの完成度の高さを確認したという。
「このチャレンジが簡単ではないことは十分に理解しています。だからこそできるだけの準備を行なってきました。テストでの感触は悪くありませんがレースでは思ったとおりにならないことは確かでしょう。しかしシトロエンとチームメイトのミューラーとのコンビネーションは最高です。今はレースが楽しみです」とセバスチャン・ローブは語る。
また先週からはチーム全員がベルサイユにあるシトロエン・レーシングのテクニカルセンターに缶詰状態で最終調整を行ない、最初の3台のマシンが組み上げられ、本番さながらのテストがマニクール・サーキットで行われた。「マシン、コース、レギュレーション、戦略、すべてが新しいスタートです。この開幕のためにチームが一丸となってやってきました。もう準備は万全。マラケシュを楽しみにしています」とシトロエン・レーシング総監督のイブ・マトンはコメントしている。
クロスカントリーラリーのマニュファクチャラーズ・タイトルを5回、WRCのマニュファクチャラーズ・タイトルを8回獲得しているシトロエンがサーキットレースの世界選手権への初参戦するということは、モータースポーツが自らのテクノロジーの高さを示し、証明するために重要であるというシトロエンのメッセージだ。
なおWTCCは10月には鈴鹿サーキットを舞台として日本ラウンドが行なわれるが、プジョー・シトロエン・ジャポンでは、シーズンを通してWTCCのリザルトやプレビューなどのレポートをタイムリーに配信し、日本ラウンドに向けて様々なPR活動を展開、WTCCを盛り上げていくという。
シトロエン・レーシングのワークスマシンは新興国向けの4ドアセダン、「Cエリゼ」をベースにした「CエリゼWTCC」。車両規定により全幅は大きく広げられ(最大1950mm)、それに伴いバンパーなどの造形も空力性能を追求している。また、大型のリヤウイングを装着することで高速走行時の姿勢を安定させ、コーナリング性能を向上。エンジンは1.6L直噴ターボで最高出力は380ps以上を発揮。車重は1100㎏(規定最低重量)。
2014年シーズンのWTCCは、シトロエンCエリゼ、ホンダ・シビックR、シボレー・クルーズTC1、BMW 320TC、ラーダ・グランタ1.6T、セアト・レオンWTCCによる6メーカーの戦いとなる。