【シトロエン】DS3 カブリオ試乗記 随所に光るセンスの良さと上質で軽快な乗り心地  レポート:髙橋 明

マニアック評価vol222

DS3カブリオの試乗では、デザインセンスの高さとともに走りの良さにも驚かされた

2013年7月に発売となったシトロエンDS3のオープン・ソフトトップモデル、カブリオ(CABRIO)に試乗することができた。

シトロエンのプレミアムブランドであるDSシリーズは、2010年からスタートした新しいブランドだ。その洗練されたデザインは世界中で高い評価を受け、これまで37万台が販売されている。国内ではDS3、DS4、DS5合わせて4000台が販売され、中でもDS3が半数以上を占める販売台数になっている。

DS3カブリオの特長は、その人気のDS3のデザイン、性能をそのままにルーフがオープンになるというところ。オープンとなるのは、ルーフ面だけのキャンバストップタイプで、特徴的なシャークフィンデザインのBピラーや、Cピラー、ドアサッシュもそのまま残る。ルーフのキャンバスはDSモノグラムとネーミングされたジャガード織りの物と、3色の糸を縦に使った多色織りという技術で織られたブルーアンフィニの2タイプがある。これらは4色のボディカラーとの組み合わせで、ツートーンカラーになる。価格は311万円だ。

ボディカラー4色、ソフトトップが2パターン。組み合わせでカラーバリエーションが選べる

ルーフの開閉はわずか16秒で、走行中でも120km/hまでは開閉が可能。急激な天候の変化や、高速道路の走行中でも開閉が可能なのは心強い。開閉はルーフにあるスイッチを押すだけの簡単なもの。一回押すとリヤウインドウ付近まで開き、そこからさらにスイッチを押せば、リヤウインドウをたたみ、フルオープンとなる。が、フルに開けてしまうと後方視界が悪く、市街地など交通量の多い場所での走行には少し不向きかもしれない。

ボタンを一度押すと、キャンバストップ風にルーフ全面オープンとなる
リヤウィンドウも折りたたんだフルオープンの状態

DS3が持つ個性的で、センスが良く、走行性能も高いという特徴をそのまま継承するカブリオには、DS3と同じパワーユニットの1.6L+ターボのエンジンが搭載される。156ps/240Nmの出力に、6速のマニュアルトランスミッションの組み合わせ。DS3は実に40%もマニュアル車が占めるという特長があり、このカブリオにもMTのみを設定している。

1.6Lターボエンジンと6速MTの組み合わせ
MTのみの設定となるDS3カブリオ

■走行中に実際に雨に遭遇! でもボタンひとつで解決
ルーフを開けて走り出すと、爽快感は格別だ。試乗は箱根のワインディンであり、ロケーションも申し分ない。がしかし、走り出して20分ほどしたら雨に見舞われてしまった。そんな突然の雨でもDS3カブリオならば慌てることはない。室内を濡らすことなく、また、路肩に停めることもなくボタンひとつで解決してしまった。

ルーフが浮いているような独特のデザイン。時速120kmまで走行中でもルーフ開閉操作が可能

その後、大雨となりキャンバスルーフへ大粒の雨が落ちてきた。すると、室内で聞こえる音は雨の音、ルーフにあたる雨、タイヤが水をはじく音など雨がらみの音が聞こえてくる。特にキャンバスルーフにあたる雨音は傘をさしているときと同じように聞こえ、雨の音を楽しむことができ、鉄板ルーフにはない情緒的な時間をすごすことができる。これは以前、メルセデス・ベンツEクラスのカブリオレに乗ったときにも感じたことだが、ハードトップのオープンルーフが増える中、キャンバストップの魅力を再認識させられた時間でもあった。

試乗車はホワイトのボディカラーにブルーアンフィニのキャンバストップの組み合わせ。ブラックアウトされたピラーにより宙に浮いたようにも見えるフローティングルーフのデザイン、そしてボディデザインがより際立ってくる。インテリアはブルー系でまとめられたモデルで、レザーシートの高級感やインパネのデザインなど、シトロエンならではのセンスを強く感じる室内だ。

プレミアムBセグメントに位置するDS3シリーズは、圧倒的デザインセンスでライバルに差をつけている。メーターフードは明かり窓を取ったようなデザインで、覆われるメーターに目をやれば、その針ですらデザインがキチンとされている。端にある吹き出し口もルーバーが井桁に組まれたシンプルなプラスチックではなく、丸味をおびしかもルーバーを個性的にデザインしている。ドアを閉めてみてもデザインされたスカッフプレートが見え、黒のモケットで覆われたサイドシルとは大違いだ。

ドアを閉めてもスカッフプレートが見える斬新なアイディア。こんな場所にまで、というこだわりが感じられる

 

メーターフードには光取りの窓があり独特の雰囲気
インパネ、エアコン吹き出し口など随所にデザインセンスの良さが光る

最低限の重量増でボディを補強し、剛性をアップした

走り出すとその静粛性にも満足だ。ハードトップのハッチバックとの差は乗り比べなければ分からないほどだろう。ハンドリングはしっかり系だが、ストロークのあるシトロエンらしいサスペンションと乗り心地を堪能できる。とても手に馴染む太さと高い質感のレザーステアリングからは、路面のインフォメーションもしっかり伝わりつつ、しっとりとした滑らかな乗り心地と操舵感がある。

オープンモデルとするためにボディサイド、トランクまわりに補強材を追加し、ボディ剛性をあげている。また、リヤボディの下にはバランスウエイトを積み、DS3ハッチバックと同じ走行性能となるように拘っている。これらの対応をしても重量は20kg増で抑えている。

トランク周りにも補強材を追加して剛性アップ
トランクリッドが上部へスライドして開くのもユニーク

トランク容量は230Lあり、入り口は小さいが奥行きで容量は確保されている。感心するのは、トランクリッドの開閉の動き。通常は跳ね上げるタイプが一般的だが、上部へスライドしながら開く動きをする。動作までデザインする拘りを感じるところだ。シフトフィールもしっとりしていて、カブリオが持つ上質感にフィットする操作感がある。エンジン音も適度に聞こえてきて箱根のワインディングを存分に楽しめる試乗だった。

シトロエンDS3カブリオ価格表


シトロエンDS3カブリオ主要諸元

シトロエン公式サイト

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