【シトロエン】DS3 Ultra Prestige試乗記 センスが光る逸品ブランド

マニアック評価vol125
シトロエンの新しいラインアップのDSシリーズ。その3ドアコンパクト・ハッチバックモデルのDS3にニューモデルが加わった。最上級グレードに位置づけられるDS3 Ultra Prestigeは従来のグレードChicとSport Chicにプラスされるグレードで、「Chic Ultra Prestige」、「Sport Chic Ultra Prestige」となる。いずれも受注生産モデルとなる。

そのDS3Ultra Prestigeに箱根で試乗する機会があり、緑が深まる真夏のワインディングで乗ってみた。

乗り込んですぐに感じるのはプレミアムコンパクトらしいインテリアだ、という印象。このセグメントはBMW MINIが確立した小型の高級車であり、かつスポーツマインド溢れるというカテゴリーだ。まさに、このUltra Prestigeはそのカテゴリーにおいてライバルとなる存在だろう、と感じたのだ。

驚かされるのはシートだ。そのデザインとカラー。白黒のグラデーションと腕時計のベルトをモチーフにしたデザイン。こんなデザイン見たことない!という驚き。使用されるレザーも上質で、新車でありながら使い込まなければ得られないようなソフトな肌触りで、高級感を感じる。

コクピットに座るとシトロエンワールドだ。メーターバイザーはアバンギャルドにデザインされ、おしゃれ感漂う。ドイツ車にはないセンスだ。ステアリングもボトムをフラットにしたデザインを採用し、スポーティさが演出される。気分も高揚し運転する楽しみが沸いてくるインテリアだ。

試乗モデルはSport ChicのUltra Prestigeで、1.6L+ツインスクロールターボを搭載し6速MTという仕様。ちなみに、AT仕様はNAエンジンのChicグレードになるという割り切りがある。サスペンションやパワーユニットに変更はなく、装備、意匠の変更というUltra Prestigeだが、あらためて試乗してみるとシトロエンらしい走りがあり楽しくなる。

試乗のフィールドは箱根エリアのワインディングだ。ライバルMINIのもっとも得意とするシチュエーションだろう。そしてクイックなハンドリングが存分に楽しめるのは間違いない。しかしこのシトロエンDS3Ultra Prestigeではまったく違った乗り味が堪能でき、クルマの個性を感じることのできる試乗ステージだったとも言える。

ゆっくりと景色を眺めながらクルージングドライブをしてみると、乗り心地はソフトでスポーツカーのような雰囲気は感じない。路面からの入力に対し小刻みに振動したり、ピッチングが出たりということもなく、滑らかに走る。コンパクトだが、高級感のある乗り心地と感じる。タイヤは205/45-17でブランドはブリヂストンRE050。

速度をあげ、6速MTが楽しめる速度へ。速度域が高くなると、ドイツ車のスポーティタイプとは明らかに異なるハンドリングを感じる。それは、コーナーGや路面からの入力に対して、可能な限り吸収していくサスペンションを感じるのだ。つまり、入力が大きくなるとどこかで硬いフィールをドライバーは感じるものだが、このDS3は硬いという印象を持たないまま、ワインディングを舐めるように走る。ドイツ車の走りを質実剛健と形容するなら、DS3の走りは華美柔軟と形容したくなる印象だ。

さて、Ultra Prestigeの特徴を確認してみよう。2012年4月19日から発売されているDS3 Ultra Prestigeは、エクステリア、インテリアの品質、質感などを高めたモデルで、DS3の最大の特徴でもある「ビークルパーソナリゼーション」をより高いレベルで満足させるモデルと言えるだろう。ボディとルーフ、ダッシュボードなどのカラーを好みに応じて組み合わせることができる特徴を持つDS3だが、よりハイレベルの満足度が得られるというわけだ。

エクステリアは、専用装備としてフロントグリルなど、通常のクロームより落ち着きのあるダーククロームのデコレーションをあしらい、新色のブラウンヒッコリーを含め4色ある。ルーフカラーはノアールオニキス(黒)とブランオパール(白)の2色からチョイスすることができ、いずれもモードからインスピレーションを受けたというルーフステッカーLUXE(ルクセ=ラグジュアリー)が装着されている。ホイールも専用装備で17インチのツートングレーのアロイホイールが装着される。

インテリアは、ホールド性の高いスポーツタイプシートを使用し、高品質のレザーを採用している。そして何もよりも目を惹くのは白(ブラン)と黒(ノアール)グラデーションになっているカラーと、前述した時計のベルトをモチーフとしたシートデザインだ。さらにヘッドレストにはDSロゴがエンボス加工され高級感をさらに高めている。また、ダッシュボードはカーボテックを採用し、スポーティなインテリアにまとめている。また、専用装備としてオーディオにHiFi8スピーカーを内蔵し、音質にもこだわった装備がされている。

というのがDS3 Ultra Prestigeだが、シトロエンというブランドがデザインだけでなく、走りもデザインしていることを改めて感じることができた試乗だった。冒頭、MINIとライバルになるだろうと記述したが、明らかに違うベクトルで存在するプレミアムコンパクトであり、はっきりと個性が主張されており比較してもあまり意味のないことがわかる。シトロエンというブランドも含め、服装から持ち物まで、センスが問われたときに間違いなく光る逸品ブランドということだろう。

諸元表・価格表

 

 

シトロエン DS3 公式サイト

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