プジョー・シトロエン・ジャポンは2012年6月19日、シトロエンのDSラインのフラッグシップモデルとなる「シトロエンDS5(ディーエスファイブ)」を8月1日から日本国内で発売。受注を開始したことを発表した。昨年4月の上海ショーでワールドプレミアされて以来、多くの話題を集めてきたシトロエンのDSシリーズ第3弾だ。なお、今回導入されるのは1.6Lターボエンジンを搭載する「Chic」の単独グレードのみとなっている。
DS5の現在に至るルーツは、2005年のフランクフルトショーに出展されたコンセプトカー「C-スポーツラウンジ」に遡ることができる。シトロエンはこの先進的なデザインと新しいジャンルを作り出すというコンセプトを受け継ぎ、さらに1955年に誕生した名車「DS」のネーミングを由来とするDSラインという新シリーズを誕生させた。そして同ラインの第3弾であり、かつフラッグシップモデルとして登場したのが今回のDS5だ。欧州では2011年11月にデリバリーが開始され、すでに1万5000台を販売。数多くのデザイン賞も獲得している。
DS5の最大の特徴は、やはりその独創的で存在感の強いスタイリング、デザインだ。エレガントさダイナミズムを融合させ、DSラインとして初めて独自の設計開発を経て誕生。コンセプトは“フレンチ・ラグジュアリーを極める”で、クーペのように滑らかなスタイルを持ち、グランツーリスモとステーションワゴンを融合させた個性を表現するフォルムを具現化。さらに航空機のキャビンを思わせる先進的なインテリア、シューティングブレイク(狩猟用の高級ワゴン)のような気品と空間を醸し出す室内を目指している。
デザイン上の大きな特徴が、ヘッドライト先端からフロントガラス側面へと長く伸びるクロームのサーベルラインだ。一体成型で高級感あふれるクローム仕上げのこのラインは光に反射して輝きを放ち、一目でDS5とわかる強い個性を主張している。またフロントバンパー両脇のエアインテークや、一体成型のポリカーボネイト樹脂製リヤサイドディフレクター&リヤルーフスポイラーなどが貢献してCd値は0.29を実現。さらに前面投影面積も0.69平方メートルとトップレベルの空力性能を達成し、これらを燃費性能や高速走行時の安定性に役立たせている。
DS5はそのインテリアにも“フレンチ・ラグジュアリー”の具現化をテーマにして、高級感あふれる空間の演出を試みている。特に最上位のオプションとして設定されたクラブレザーシートは、「ウォッチストラップ」という腕時計のベルトをモチーフにしたデザインと、バイエルン産の最高級牛革素材で、従来にない質感を実現したとしている。さらに「コクピットルーフ」と名付けられた大型のガラスルーフは運転席と助手席、さらに後席に3分割された電動サンシェードを備えており、取り込む光と景色をアレンジすることが可能になっている。
先進のコクピットデザインとダイナミックな走行性能も、DS5を語る上で欠かせない要素だ。航空機の操縦席をイメージさせるため、ルーフ&センターコンソールのスイッチ類に囲まれた空間をはじめ、操縦桿を連想させるフラットボトムのステアリング形状、専用設計のディスプレイを用意。ドライバーにパイロットのような高揚感を提供している。エンジンはすでに定評のある1.6Lのツインスクロール・ターボを搭載。これにアイシンAW製の6速オートマチックトランスミッションを組み合わせている。
また今回、DS5には日本専用の装備として「サイド&バックカメラ」が採用された。ルームミラー内に3.2インチのモニターを配置して、そこにカメラでとらえた映像を映し出す。通常は左ドアミラーのサイドカメラの映像で、リバースギアに入れた時にはバックカメラに切り替わるシステムだ。またヘッドアップディスプレイも標準装備し、シトロエン初のスマートキーも採用されている。
さらにDS5は安全性能にも抜かりはなく、ユーロNCAPでは最高評価の5つ星を獲得。6エアバッグや横滑り防止装置のESC(エレクトロニック・スタビリティ・コントロール)も搭載。障害物を検知するフロント&バックソナーや、夜間のコーナリングの際に進行方向を照らすバイキセノンのディレクショナルヘッドライトなど、最新の安全デバイスを全車に標準装備としている。
ボディカラーは6色を用意(一部は受注生産)。シートカラーはクラブレザー仕様にのみ、3色から選択可能となっている。
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