2014年4月28日、フィアット・クライスラージャパンは年初に予告していたように、フルモデルチェンジした5代目の新型ジープ「チェロキー」(KL型)を5月17日から発売すると発表した。
新型チェロキーは、アメリカ市場ではミッドサイズのSUVと位置付けられ、2013年のニューヨークショーで初公開され、同年11月頃からアメリカでのデリバリーが開始された。
この新型チェロキーは、フィアット・グループがクライスラー・ジープと完全に一体となって開発した初めてのモデルであり、コンパクトUSワイド・プラットフォームと呼ばれる新プラットフォームを採用している。このプラットフォームは従来型の一部を流用しながら、ダッジ・ダート(アルファロメオ・ジュリエッタのクライスラー版)用を組み合わせ横置きエンジン用とした最新のものだ。従ってフィアットFPT製の2.4L・直4マルチエア(連続可変バルブリフト機構/スロットルレス)エンジンも新たにラインアップされている。
新型チェロキーは、ジープにとって革命的なエクステリアデザインと、洗練されたモダンなインテリアデザインを採用。ジープ伝統のオフロード走破性能と高次元のオンロード性能の両立、燃費の大幅な向上といったジープ・ブランドとしては新たなコンセプトを盛り込み、さらに最新のドライバー支援システムや安全性の向上、通信接続ができるインフォテイメントシステムを採用するなど、SUVに新たなテクノロジー・コンセプトを盛り込んでいる。このため、純粋なSUVというだけではなくクロスオーバーの要素も備えたといえよう。
エクステリアは、ジープのDNAと伝統を受け継ぎ、台形のホイールアーチと「7スロットグリル」(ジープ伝統の7本縦型グリル)を採用している。そしてフロントに初めて「ウォーターフォールフード(水が滑らかに流れ落ちるようなボンネット形状)」を採用。
従来のモデルはグリルとボンネットが分かれていたが、新型は一体化することで、新しいジープを作り出している。またフロントで一番上がLEDクリアランスランプ、中央にヘッドライト、バンパー部にフォグランプを装備するユニークなデザインとなっている。
インテリアは、エモーショナルなデザイン、高品質な素材、最先端のテクノロジーがテーマだ。特にこだわったのはエモーショナルであることで、手仕上げによる流麗な造形、上質な素材、新鮮な色彩としながらジープ伝統のクラフトマンシップにより作り込まれている。
グレードは、FFモデルのLongitude(ロンジチュード)、4WDモデルのTrailhawk(トレイルホーク)、Limited(リミテッド)の3機種。Longitude(ロンジチュード)は2.4L・SOHC直4マルチエア(名称:タイガーシャーク)を搭載し、Trailhawk(トレイルホーク)、Limited(リミテッド)は3.2L・V6型DOHC(名称:ペンタスター)を搭載。トランスミッションは全モデルがZF社製の9速ATだ。なおTrailhawk(トレイルホーク)とLimited(リミテッド)の4WDシステムは燃費性能を高めるためにオンデマンド式となっている。
タイガーシャークユニットはFIATパワートレーン(FPT)が開発した、独自のマルチエア4バルブシステムを採用。走行状況、ドライバーの要求に合わせて吸気バルブリフトを電気油圧により連続可変制御するシステムを備えている。マルチエアエンジンとは?
ペンタスターエンジンは、3年連続でアメリカのワーズ社による「10ベストエンジン」を受賞したエンジンで、グランドチェロキーやラングラーに搭載されている3.6Lのペンタスターエンジンのボア径を5mm縮小したものだ。
新型チェロキーの4WDモデルは本格的なオフロード性能を確保するため、2速トランスファー(ローは2.917)を装備し、Trailhawkはローでアクティブドライブロックと呼ばれるリヤ・ロッキングデフを作動させることができる。またLimitedはローモードではブレーキ制御LSDが機能する。さらに4WDモデルのTrailhawk、Limitedはセレクテレインシステムを装備し、5モード(オート、スノー、スポーツ、サンド/マッド、ロック<Trailhawkのみ>)を選択することができる。
新型チェロキーのボディ骨格はホットスタンプ、高張力鋼板を65%採用するなど最新のスペックを持ち、アメリカではIIHSの試験でトップセーフティピックを獲得し、ヨーロッパのユーロNCAPでも5スターの最高評価を得た優れた衝突安全性を備えている。
さらに最新のドライバー支援システムとして、全車速対応アダプティブクルーズコントロール、車線逸脱を警報、自動修正するLaneSense(車線逸脱警報)プラス、ParkSense(縦列/並列パークアシスト)を装備している。
インフォテイメントは、8.4インチタッチスクリーン式ナビシステムを標準装備しDSRC(ITSスポット通信)、音声ガイダンス、Bluetooth対応機器と接続してハンズフリー通話、SMS送受信ができる最新の仕様となっている。