BYD本社は2025年9月26日、ハイエンド・ブランド「ヤンワン」のEVスーパースポーツカー「U9 エクストリーム」が、496.22km/hを達成したと発表した。
これまでの最高速は、8月に「U9 Track Edition」が記録した472.41km/hで、今回EVの最高速度世界一をさらに更新したことになる。

さらに、世界有数の難関サーキットであるニュルブルクリンク北コースでのラップタイムも6分59秒157を記録し、サーキット性能の高さも証明した。このモデルは最先端技術とコレクターズバリューを兼ね備えた希少車として、世界限定30台で販売される。
なお、今回の最高速度記録も、ドイツのパーペンブルグ・テストコースで実施されている。
「U9 エクストリーム」の名称は “extreme(極限・極致)”に由来し、「X」は未知や境界を意味している。両者を組み合わせた「エクストリーム」は、境界を突破し極限を追求する探究精神を象徴している。日常走行とサーキット走行を両立する現行「ヤンワン U9」とは異なり、「U9 エクストリーム」はサーキット性能に特化し、車両のハードウエア、ソフトウエア両面を全面的にアップグレードさせているのだ。

世界初の量産型1200V超高電圧プラットフォームを採用し、最高回転数3万pmという高性能モーター4基を搭載。高強度航空アルミニウム製ハウジング、高速対応ベアリングなどの最高水準の素材を組み合わせ、総出力3000psオーバー、パワーウェイトレシオは1217ps/トンを実現。さらに、e4プラットフォームとDiSus-Xインテリジェント車体制御システムをサーキット向けに最適化し、車体姿勢制御を導入している。

そして、冷却システムを刷新し、大流量オイルポンプと立体的モーター冷却方式を採用。システム総効率を従来比133%向上させ、ピーク性能を安定的に維持できるようになっている。サーキット仕様ブレードバッテリーはセル設計と内部抵抗を最適化し、新開発の二層冷却構造と組み合わせて 30Cレートという超高放電倍率と高い放熱効率を実現。加速性能・回生制動性能を大幅に向上させ、リン酸鉄リチウムイオン・バッテリーの新たな性能基準を打ち立てている。

制動系統も大幅に強化されている。新開発のチタン合金カーボンセラミック・ディスクのブレーキを採用。通気孔とスリットを備えたカーボンセラミック・ディスクにより摩擦力と放熱性を改善しており、チタン合金製キャリパーは軽量化と剛性強化を両立。ブレーキフィールを高めると同時に低熱伝導性によりブレーキフルードの沸騰を防ぐことができる。
さらにニュルブルクリンク北コースの特性に合わせて ブレーキ制御アルゴリズムを再調整し、177カ所のブレーキングポイントで性能低下を示さず、卓越した制動安定性を発揮できるようになっている。

タイヤは、2024年のニュルブルクリンクでの走行と最高速試験データを基に、佳通タイヤ(Giti Tire)と共同で専用のセミスリックタイヤ 「GitiSport e・GTR2 PRO」 を開発した。
防弾チョッキにも使用される超高強度アラミド繊維を用い、500km/h領域での遠心力によるタイヤの形状変化を抑制している。また、非対称トレッドパターンにより高速コーナリング時のグリップ性能とウェット路面での排水性能を両立。さらにサイドウォール強化構造を採用し、超高Gでの旋回時も安定した操縦性を実現している。