【詳しい】BMW Z4 解説

新型BMW Z4は2019年3月に国内デビューした。2シーター・ロードスター「Z4」はBMWのピュア・スポーツカーで、Z4として第3世代のモデルとなり、型式名は「G29型」が与えられている。この第3世代のZ4は、2018年8月23日にアメリカで開催されたたペブルビーチ・コンクールデレガンスで初披露され、10月4日のパリ・モーターショーで正式に発表された。

BMW Z4 解説

BMWを象徴するピュア・スポーツカー

新型Z4は、トヨタGRスープラと共同開発されたことでも話題となっているが、Z4はBMWにとって、2座席のピュア・スポーツカーであり、BMWの走りのイメージを具現化するため、クルマの基本諸元もスポーツカー用に特化したモデルなのだ。

もちろんベースとなっているのはBMWの最新世代プラットフォーム、CLAR(クラスターアーキテクチャー:縦置きモジュラー)で、新型3シリーズと世代的には共通だが、2シーターのロードスターとして、またスポーツカーらしい走りを極めるために、Z4に最もふさわしい基本諸元が選択されている。

赤線がE89型、黒線がG29型
赤線がE89型、黒線がG29型

先代Z4(E89型)のホイールベースは2495mm、トレッドはF:1510mm、R:1535mmだったが、新型Z4はホイールベースが2470mmと25mm短縮され、その一方でトレッド幅は1610mmと、例がないほどワイドに設定されている。

現在では多くのカテゴリーのクルマがロングホイールベース化されているが、新型Z4はきわめて短いホイールベースと超ワイドトレッドの諸元を持っており、このスペックからも俊敏な運動性能を持つコーナリング・マシンを目指していることは明確である。

BMW Z4 解説
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長い開発期間を経て熟成してデビュー

このG29型Z4は2012年春に開発がスタート。周知のように2012年1月にBMWとトヨタの業務提携が締結され、その業務提携の中にスポーツカーの共同開発も含まれていた。そのため、新型Z4はトヨタ GRスープラとしても発売されることになる。

Z4は日本では、2.0L・4気筒ツインパワーエンジンを搭載する「Z4 sDrive20i」が設定され、標準モデル、スポーツ、Mスポーツの3グレードを設定。そして3.0L・6気筒エンジン搭載モデルとして「Z4 M40i」を設定している。

2017年のフランクフルトショーで初公開された「コンセプトZ4」
2017年のフランクフルトショーで初公開された「コンセプトZ4」

この新型Z4は開発にあたってはたっぷりと時間がかけられた異例のモデルだ。新型Z4は、2017年のフランクフルト・モーターショーで、「コンセプトZ4」としてベールを脱ぎ、その存在が明らかになった。正式発表はそれから1年後となり、新型Z4は実に6年間という長い時間をかけて開発され、熟成されたモデルなのである。

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高剛性ボディ

新型Z4はコンバーチブル・ボディのため、十分なボディ剛性が得られるようにフロアやサイドシルの大断面化が行なわれており、さらにサスペンション・リンクが結合されるフロント・サブフレーム、リヤ・サブフレームの支持剛性を高める大型のスティフナーが前後に配置されている。

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その一方で、前後の荷重配分を50:50とし、さらに慣性モーメントを低減し、軽量化、低重心化を図るために、ボンネットとフロントサイドフレーム、ストラットタワーバー、ドア(フレームを含む)、そしてリヤフェンダー部はアルミ製、トランクリッド部はSMCプラスチック製と軽量な材料を採用している。

一方骨格部では、フロント・セクションはアルミ材、フロアパネルやボディ・サイドメンバーは高張力複層鋼板、さらに重要な骨格部分のフロント・バルクヘッド、Aピラー、センタートンネル、リヤ・バルクへッド・クロスメンバーなどには超高張力鋼板のホットスタンプ材が使用され、強固なボディ構造を実現。先代モデルに比べボディ剛性は向上している。

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新型Z4に採用されているフル電動式のソフトトップも、これまでの電動油圧式に比べて一段と軽量化されている。このソフトトップは格納された状態でもカバーはなく、それでいてボディ上面と面一に収まるようになっている。またこの電動ソフトトップは開閉作動時間がそれぞれ10秒とはやく、しかも走行中でも50km/h以下であれば開閉操作ができる。

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Wジョイント式サスペンション

スポーツカーのシャシーは、走りの味わいを決定する重要な要素だ。そのため新型Z4のサスペンションやシャシーは入念にチューニングされ、スポーツカーにふさわしい出来栄えになっている。サスペンション形式はフロントがダブルジョイント式ストラット、リヤは5リンク式を採用している。

BMW伝統のダブルジョイント式ストラットは、ロアアームのハブキャリア側のピボットが2ヶ所設けられ、キングピン軸はそのピボット点の延長線上の交点を通る、つまり仮想キングピン軸を持っていることになる。通常のストラット式のキングピン軸は、タイヤ接地面の中心点より内側にあるが、ダブルジョイント方式によって、形成される仮想キングピン軸はタイヤ接地面の中心部に置くことができ、路面からの外乱入力を低減でき、ステアリング操作時にはよりダイレクト感のある操舵フィーリングを得ることができるのだ。

リヤは、ダンパーとコイルスプリングが別置きの5リンク形式で、上下方向にコンパクトにまとめている。サスペンション・リンク類を取り付けるサブフレームはフロント、リヤともに高剛性の構造で、さらに前後のサブフレームの左右には補強バーが取り付けられ、サブフレームの取り付け剛性は極めて高い。このサブフレームの取り付け剛性を極限まで高めることで、サスペンションの滑らかな動きや繊細な操舵フィーリングが生み出されるのだ。

Mスポーツ・サスペンションとアダプティブMサスペンション

サスペンションのチューニングは、sDrive20i とsDrive20iスポーツは標準サスペンションで、sDrive20i MスポーツにはMスポーツ・サスペンションを装備。またアダプティブMサスペンションはオプション(電子制御可変ダンパー)装着が可能だ。そして、M40iには、そのアダプティブMサスペンションが標準装備される。

一般的なリバウンドスプリング内蔵式ダンパー(左)と油圧リバウンドストップ付きダンパー
一般的なリバウンドスプリング内蔵式ダンパー(左)と油圧リバウンドストップ付きダンパー

標準サスペンションとMスポーツ・サスペンションのフロント用には、BWI製の油圧リバウンドストッパー付きダンパーが採用されている。このダンパーはリバウンドスプリングを内蔵し、リバウンドスプリングが伸びる段階で、油圧式のリバウンドストッパーが作動を開始し、ダンパーの減衰とは別のバルブが作動し、徐々にストッパー用の減衰力を発生させる。そのため、サスペンションがフルストロークするような状況でも、減衰特性が急変せず安定したコーナリングができるようになっている。

そして、アダプティブMサスペンションは、車速やダンパーのストロークスピード、操舵角や横Gなどを検知して瞬時に減衰力を可変制御するシステムとなっている。

ステアリングシステム、ブレーキパフォーマンスと装着タイヤ

ステアリングは全モデルが電子制御の可変ギヤ比式サーボトロニック・ステアリングで、低速域ではギヤ比がクイックで、高速域ではスローなギヤ比に変化し、モーターによるアシスト力も車速によって変化するシステムを搭載している。

ブレーキは、sDrive20iの3グレードとも前後がフィスト型標準採用している。M40iの標準装備は、フロントのブレーキキャリパーがMスポーツブレーキと呼ばれる対向ピストン型キャリパーとなる。また、sDrive20i Mスポーツにはオプションで、このMスポーツブレーキが設定されている。

タイヤは、sDrive20i標準モデルが前225/50R17、後255/45R17、sDrive20i Sport 、sDrive20i M Sportは前225/45R18、後255/40R18、M40iは前255/35ZR19、後275/35R19サイズだ。また17インチサイズのみランフラットタイヤになっている。

新世代6気筒エンジンと4気筒エンジン

新型Z4には2種類のエンジンが搭載される。sDrive20iには197ps/320Nmを発生するB48B20B型の2.0L・4気筒ターボ、M40iには340ps/500Nmを発生するB58B30C型の3.0L・6気筒ターボエンジンだ。この2種類のエンジンはいずれも2014年に登場したモジュラーエンジンであるB型シリーズの最新アップデート版だ。

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この2基のエンジンは、いずれもボア・ストロークは82.0mm×94.6mmという超ロングストロークで統一されている。またこのBシリーズは「ツインパワー・ターボ」エンジンであることはいうまでもない。

ツインパワーターボは、「直噴」、「バルブトロニック技術」、「ターボ」を採用するエンジン技術の総称だ。なおバルブトロニック(吸気可変バルフリフト機構)には、ダブルVANOS(吸排気連続バルブタイミング可変機構)も含んでいる。

したがって、B48B20B型、B58B30C型ともにバルブトロニック、ダブルVANOSを採用したダウンサイジング・コンセプトの直噴ターボエンジンということになる。これらのエンジンは、バルブトロニック(吸気可変バルフリフト機構)を装備しているため、スロットルバルブを使用せず、吸気バルブのリフト量変化で吸気量をコントロールし、通常のスロットルバルブを使用するエンジンに比べてポンピング損失が小さいことが特長だ。

またアイドリング時や低負荷での走行時には、吸気バルブリフト量が極めて小さい(最小リフト時は0.2mm)ため、吸気流速を速めることができ、燃焼室内の旋回流を発生させ、低負荷にもかかわらず高速燃焼が可能だ。

直噴インジェクターは、点火プラグに接近して燃焼室中央にあるため、燃焼にも有利。Z4に搭載される最新世代は、直噴インジェクターの燃料圧力が350barにまで高められ、さらにガソリン粒子フィルター(GPF)も装備され、最新のユーロ6d-TEMP規制もクリアできるようになっている。

B型シリーズは、ロングストローク・エンジンであることに加え、高剛性のクローズドデッキ式で、さらにシリンダー面はワイヤーアーク溶射を使用したライナーレス構造となっている。また走行時のエンジン内部の摩擦抵抗を極限まで低減するため、熱変形を想定してシリンダーは下側がわずかに広がったホーン形状で、ピストンもそれに対応した冠面形状になっている。

2系統冷却システムを採用

またこの最新世代のエンジンは、走行中の冷却損失を低減するため、スプリット冷却システム、つまりシリンダーヘッド部とシリンダー部の完全分離した2系統冷却方式を採用している。冷間始動時は冷却水が循環せず、水温が上昇するとシリンダーヘッド、排気マニホールド、ターボの冷却回路が開いて冷却水の循環が開始される。

B58B30C型3.0L・直列6気筒エンジン
B58B30C型3.0L・直列6気筒エンジン

なおB48B20B型の排気マニホールドは独立型で、B58B30C型の排気マニホールドはシリンダーヘッド一体型を採用している。

シリンダー側の冷却回路には水冷インタークーラー、水冷エアコン・コンデンサーなども含まれるが、この冷却回路は低温のため通常の走行時にはラジエーター循環を行なうことはない。こうした完全独立式の2系統冷却により冷却損失を大幅に低減させている。

またスポーツカーにふさわしい爽快なエンジンサウンドを実現するため、Z4はサウンドスピーカーも装備している。アクセル開度に合わせドライバーを高揚させるサウンドが作り出されているのだ。

トランスミッションは、ZF製の8速AT(8HPTU2)を搭載。このトランスミッションは従来の8速ATより変速比幅を拡大した最新ユニットだ。またデファレンシャルは、sDrive20iはオープンデフで、M40i(sDrive20i Mスポーツはオプション)は電子制御多板クラッチ式の「Mスポーツ・デファレンシャル」を装備している。動力性能は、0-100km/h加速が、M40iは4.5秒、sDrive20iは6.6秒、最高速はM40iが250km/h、sDrive20iが240km/hと発表されている。

BMW Z4 解説

このようにZ4のエンジンには最新のテクノロジーが惜しみなく盛り込まれており、さらに他にはないバルブトロニックというスロットルレス機構を採用することで比類のないエンジンを搭載している。

BMW Z4 解説
BMW Z4 解説

このように最新世代となったB48B20B型、B58B30C型はスポーツカーにふさわしい高出力と強力な低中速トルクを発生するとともに、これからの排気ガス規制にも余裕を持って対応できる環境適合性を両立させている。<photo:小河原認/Mitomu Kogahara>

【税込価格】

  • BMW Z4 sDrive20i:566万円
  • BMW Z4 sDrive20i スポーツ:615万円
  • BMW Z4 sDrive20i M スポーツ:665円
  • BMW Z4 M40i:835万円

【車両諸元】

BMW Z4 sDrive20i

  • ボディサイズ:全長4,335mm、全幅1,865mm、全高1,305mm、ホイールベース2,470mm
  • 車両重量:1,490kg
  • 排気量:1,998cc、直列4気筒ツインパワー・ターボ・エンジン
  • トランスミッション:8速AT
  • 最高出力:145kW(197ps)/4,500rpm
  • 最大トルク:320Nm/1,450-4,200rpm
  • 燃料消費率:12.6km/L(WLTC)

BMW Z4 M40i

  • ボディサイズ:全長4,335mm、全幅1,865mm、全高1,305mm、ホイールベース2,470mm
  • 車両重量:1,570kg
  • 排気量2,997cc、直列6気筒ツインパワー・ターボ・エンジン
  • トランスミッション:8速AT
  • 最高出力:250kW(340ps)/5,000rpm
  • 最大トルク:500Nm/1,600-4,500rpm
  • 燃料消費率12.2km/L(WLTC)

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