BMW X6試乗記 個性豊かなデザインのX6はコンベンショナルな性格

マニアック評価vol314

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モデルチェンジを受けたBMW X6の試乗は公道とサーキットの両方で行なわれた

独特のデザインで話題となった先代X6は2008年登場。昆虫みたいなルックスで「なんだコレ?」という印象にプラスして、とても複雑なハイブリッドシステムも搭載していた。すべてが個性的だった先代のX6は2014年8月にフルモデルチェンジを行ない(詳細解説)、第2世代へとチェンジしたが、早速試乗してきた。

◆モデルレビュー
2014年8月に注文を開始した2代目X6はグレードにxDrive35iとxDrive50i、それぞれMスポーツモデルが加わり4グレード展開となった。50iは2014年12月から納車が始まり、35iは2015年2月から納車開始となる予定だ。先代のX6は非常に個性的で多くのプレミアムユーザ-からの支持があったのだろう、累計24万台を販売している。またX4がそのデザインアイデンティティを継承しているように、個性的でありながら人気も得ているモデルと言うこともできるだろう。

また今回からデザインモデルであるエクストラヴァガンスというデザインパッケージを設定している。これはスタイリッシュなインテリアとエクステリアとに分かれ、それぞれ、ベース車両に対して追加していくパッケージ。エクステリアではMスポーツにも装着できるパッケージなので、個性的なX6をさらに磨きをかけたモデルへと導くことも可能となった。

2代目となったX6もやはり、ハイライトはそのデザインだ。クーペが持つルーフラインからテールにかけての滑らかなラインは、およそSUVの持つそれとは違う。車両の大きさも相まって圧倒的な存在感を持ち、目立つこと間違いなしのデザインだ。

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フロントは幅広のキドニーグリルと大型のエアインテークが目立ち、Xのデザインを持つフロントエプロンも特徴ある。リヤも寝ているリヤウインドウ、Cピラーから張り出したリヤフェンダーにつながるラインは独特で、ワイド感のあるスタイルに映る。

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この特徴的なデザインを持つX6は空力性能でも効果が高く、CD値0.32というクラストップの空力性能を持っているという。

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特徴的なデザインは空力性能にも配慮されCd値は0.32をマーク

ボディサイズは全長4925mm×全幅1990mm×全高1700mm、ホイールベース2935mmとかなりビックサイズ。2.0m近い横幅で170cmの全高は大柄で存在感たっぷり。

35iに搭載されるパワーユニットはN55B30A型の直列6気筒ターボで、306ps/400Nmというスペックに8速ATが組み合わされている。50iはN63B44B型の8気筒V型ツインターボで450ps/650Nmというエボリューションモデルのようなビッグパワーを搭載している。同様にZF製8速ATを搭載し、0-100km/h加速は2トンオーバーのビッグSUVを4.8秒で到達させるパワーがある。ちなみに燃費だが35iはまだ申請中のため、データはないが50iはJC08モードで8.6km/Lというデータになる。

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エンジンには機械的に吸気バルブのリフト量、開閉時間をコントロールできるバルブトロニックと、油圧制御で吸排気バルブをコントロールするダブルバノスも装備する。またアイドリングストップ機構、エコプロモード、コースティング機能を装備した最新のユニットとなる。

いずれもxDriveの4輪駆動で走行状態に応じて前後のトルク配分を自動でコントロールする、インテリジェントドライブだ。アンダーステアやオーバーステアなどをセンシングし、トルク配分を制御する。また今回のX6からMスポーツがラインアップに加わり、Mスポーツモデルには電子制御のサスペンションとダイナミックパフォーマンス・コントロールが装備される。これはファイナルドライブに組み込まれた電子制御システムが左右の駆動トルクを走行状況に応じて最適に配分するというものだ。

また、今回のハイライトのひとつにドライバー支援システムを標準装備していることが挙げられる。アクティブクルーズコントロール、ドライビングアシスト・プラスはカメラとミリ波レーダーを使い、「衝突回避・被害軽減ブレーキ」や車間距離を維持しながら自動的に速度コントロールする。そしてコネクテッドドライブは車両状態を見守る「SOSコール」やBMWテレサービスを搭載し、万が一の車両事故時には自動でSOSが発信され、また日常のメンテナンス状況をサービスに送りコンディションの管理ができる機能など、数々のドライバー支援システムが搭載されている。

◆インプレッション

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試乗モデルはxDrive50iでV8型搭載モデル。Mスポーツではないが、十分にスポーティなルックスを持っている。真横から見るとフロントフェンダーからリヤのドアハンドルにかけて強いアクセントラインが目立ち、リヤフェンダーの上部にあるラインもスピードと力強さを感じるラインが存在感を強める。そしてドライバーの上部付近が最も天井高があり、そこからテールにかけてなだらかに傾斜しているルーフラインはまさにクーペのそれだ。また、サイドウインドウを取り囲むようにモールでトリミングされ、高級感を際立たせている。

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インテリアは白と黒のツートンレザーで、明るいレザーはより一層高級感を醸し出している。ドライバーズシートに座ると、他のBMWと同様にややドライバー側に向いたコンソールやインパネはエクスクルーシブでドライバーオリエンテッドな空間を感じさせる。

走りだすとステアリングの操舵感の軽さに驚く。これだけの巨体、ハンドルが重いとどうにも扱いにくいわけで、大型車になればなるほど軽めのセッティングなっているのは、BMWだけに限ったことではない。3シリーズのようなスポーティセダンよりはるかに軽く、そして気軽にハンドルを切ることができる。女性でもなんの不安もなく走れる工夫の一つだ。

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しかしながら、直進の座りが分かりにくいとも言える。もちろんしっかり直進しているが、走りに振ったBMWのスポーティモデルとは異なる味付けにしてある。ニュートラル付近に居ればクルマは真っ直ぐ直進するという印象で、「クルマに任せろ、ドライバーが常に直進を意識する必要はない」とでも言っている感じだ。

サーキット試乗と公道試乗と行なったが450ps/650Nmはどんなシチュエーションでも余裕があり、アクセルをほんの少し多めに開ければすべてを後方に追いやる。袖ケ浦フォレストレースウエイの一部を制限した特設コースであったが、全開で踏みきれない場面も多々あり、パフォーマンスモデルであることを実感する。

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しかし、無理な速度体勢を作ってコーナーに侵入するときっとさまざまな電子デバイスが働くのだろう、何事もなくコーナーを抜ける。姿勢がほんの少し乱れはするが、スピンしたりコースアウトしてしまうようなことにはならない。ドライバーは限界が高いからといってタイヤのグリップ限界を超えないように意識しなければならないだろう。グリップ限界を超えてしまえば、電子デバイスでは制御できなくなるのだから。

一般公道では、袖ケ浦サーキット周辺国道、県道と高速道路を試乗した。対面通行の普通の県道ではボディサイズの大きさを感じさせる。住宅街など狭い場所では少し持て余すサイズではないだろうか。最小回転半径5.9mという距離が必要だ。逆に高速道路ではそのボディの大きさから、頼もしいゆったり感があり高級感のあるインテリアに満足度も高くなる。

風切り音やエンジン音なども気にならず、乗り心地も19インチとは思えないしなやかさを感じる。オーディオでお気に入りの音楽でも流せば、さながら動くリスニングルームになってしまう。

車両価格は898万円から1285万円。独特のスタイリッシュなデザインと大柄なボディ、そしてプレミアムなSUVモデルとどれをとっても存在感が強く、オーナーには、それなりの個性と存在感、オーラがなければ似合わないモデルかもしれないが、ひとたび手に入れてしまうと、従順な操作性と素直な走り、乗り心地と日常使いだとしても扱いにくいことはないことも分かるだろう。
<レポート:髙橋アキラ/ akira takahashi>

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