BMW M4クーペコンペティション試乗記 (3.0L直6気筒ツインターボ+8AT FR)

BMW4シリーズのトップにラインアップする「M4」に試乗することができた。モデルは「M4クーペコンペティション(G82型)」で2021年1月に国内導入、3月からデリバリーされているモデルだ。

M4ハイパフォーマンスのクーペコンペティション

BMWではMモデルを「Mハイパフォーマンス・モデル」と呼び、以前お伝えしたM440ixDirveのような3桁数字のモデルを「Mパフォーマンス・モデル」と名称を分けている。そのMパフォーマンスモデルは文字通りMモデルをルーツにもつパフォーマンスモデルで、いわばディチューン版。一方のMハイパフォーマンス・モデルはサーキットなどモータースポーツを視野にいれたMモデルということだ。

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そのM4ハイパフォーマンス・モデルにも標準モデルとこのコンペティション、さらにコンペティション・トラックパケージの3グレードがあり、中でも公道で楽しみ、サーキットも楽しむモデルとしてはこの「M4クーペコンペティション」が中心的モデルというわけだ。

そのM4クーペコンペティションの魅力は、そのハイパフォーマンスぶりなのは言うまでもないが、第2世代となった今回のM4クーペコンペティションでは、やはりフロントの超大型キドニーグリルにも話題が伴うのは間違いない。

なぜ?このキドニーグリルなの

2019年のフランクフルト・モーターショーでワールドプレミアされたM4クーペコンセプトを見たときには、度肝を抜かれ理解するのに時間がかかった記憶がある。どういう意図からこうしたデザインになっていくのか興味深かったが、正式デビューしたときの説明では、大出力に合わせエンジンの冷却性能を高めるために大型のインテークを設けることで他のモデルと差別化しているということだった。

2019年のフランクフルトモーターショーでワールドプレミア
ほぼそのまま市販されたM4コンペティション

つまりは機能からのデザインであるということだが、デザインにおけるひとつの仮説として、デザイン性からの斬新さインパクト、伝統や、デザイン言語といったベクトルとは別に、この先の車両には常時接続の環境が整い、車両にはIPアドレス的な個体の存在を示すアドレスが割り当てられる。そうするとナンバープレート自体は意味を持たず、常時、所在を知ることが可能になる、といったことが脳裏をよぎった。

このナンバープレートによって、大型キドニーは大きな違和感を助長し、滑稽さも産んでいるのかもしれない。だが、ナンバープレートがなくなれば、機能美としてのデザインとして認識が変わるということまでも見据えているのではないか、という仮説だ。

さて、その大型キドニーはもはやキドニーではなくなって、ラング(肺)になっていると思うが、注目度は市街地でも抜群。そして見慣れてくるとこれまでの常識的なサイズのキドニーグリルが古臭く思えてくるからデザインというのは不思議な力があると感心する。

すべてがレーシーに

注目はエンジンパワーと、乗り味だが3.0Lの直列6気筒ツインターボに8速ATが組み合わされている。510ps/650Nmの出力はスーパースポーツの領域だ。もちろんサーキット走行でアタックできるようにこの8速ATにはドライブロジック付きMステップトロニックというプログラムを持たせている。

3.0L直列6気筒ツインターボは510ps/650Nmの大パワー

ドライブモードもMモードボタンで変更でき、エンジン、サスペンション、ステアリングに加えブレーキも個別に設定が変更できる。さらに、その設定した仕様をメモリーすることができ、ステアリングにある赤いM1とM2のボタンはその仕様を瞬時に呼び出すメモリースイッチだ。

楽しいのはマフラーのテールパイプのイラストが書かれたスイッチを押すと、エキゾーストノートは豹変し、一気にレーシーなサウンドを奏で気分は高揚する。一方でコンフォートに走りたい時は、このスイッチをオフにし、穏やかにそして滑らかに走ることも可能なのだ。

マフラーのイラストのスイッチを押すとエキゾーストサウンドが大きく変化する

ワインディングを攻めてみようという気分になれば、エンジンサウンドを響かせ、好みのサスペンション、エンジンレスポンス、ステアリングの手応えを変えながらスポーツドライブが楽しめる。さらに、シフトレバーの裏にあるスイッチを押すと3段階にシフトタイミングを変更でき、より高回転側でシフトするように変更することが可能。その上、このスイッチはどのドライブモードでも機能するので、よりインディビデュアルな設定を楽しむことができるというわけだ。

そうは言っても7200rpmでレッドゾーンとなる直列6気筒ツインターボエンジンのパワーを公道で使うことは無理だ。アクセルに軽く右足を乗せているだけで、周りの交通の流れに乗ることができるだけに、どこまで加速していくのか試したい衝動には駆られる。だが、公道ではこのハイパフォーマンスカーをゆっくり走らせる大人の走りを楽しむことになる。それだけにサーキットでのスポーツ走行ではどれほどのパフォーマンスを見せてくれるのか、考えるだけでも楽しくなってくる。

新時代のM4モデル

ボディサイズは全長4805mm、全幅1885mm、全高1395mm、ホイールベース2855mmあり、随分と大型化してきている。かつてのM3とは別次元のスポーツモデルへと時代とともに変貌している。その大きなボディサイズにハイパフォーマンスなパワーユニットを持ちながら、市街地でも快適に走行できるというのも新時代のMハイパフォーマンスの真骨頂だろう。

Mモデルだから公道での乗り心地は犠牲になっても致し方ない、という気持ちで過去は触れてきたと思うが、技術の進化によって、これだけのハイパフォーマンスを持ちながら快適に公道も走れるようになったのだ。

その公道走行では、ステアリングの重さや車両の動きも「普通」に操作でき、大径タイヤ、幅広サイズのタイヤを履きながらも、入力の丸い角の取れた乗り心地で走れる。コンディションの悪い路面ではそれなりのハーシュネスは感じるものの、丸くいなされたショックは不快ではない。

こうしたEPSの制御や可変ダンパー制御、シフトプログラム、そしてアクセル開度からの要求トルク制御といったソフトウエアによる制御の進化の秘密は、MBD開発を駆使しより細かなデータ(微分したモデル)を積み重ねることにより人の感性に近づけ、その結果、かつての技術ではできなかったハイパフォーマンスカーにも快適さを、ということを実現しているのだ。これが、最新のM4クーペコンペティションというハイパフォーマンスカーなのだ。<レポート:高橋明/Akira Takahashi>

価格

BMW M4 Coupe Competion 1348万円(税込)


The Mortor Weekly

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