2013年9月18日、BMWは世界初となるカーボンファイバー(CFRP)製のプレミアムEV「i3」の量産が、ライプツィヒ工場で開始されたことを発表した。生産に用いられる材料と生産プロセスは極めて高水準のサステイナビリティ(持続可能性)と資源効率が実現されている。エネルギー消費量の50%削減と水消費量の70%削減を実現するとともに、「i」モデルの生産に用いる電気エネルギーをクリーンエネルギーの風力発電でまかなっている。
炭素繊維強化樹脂(CFRP)がクルマの大量生産に使用されるのは「i3」が初めてで、ボディはこの軽量で耐久性の高いCFRPで構成されており、電気駆動システム用バッテリーによる重量増加を打ち消している。BMWグループは、炭素繊維強化樹脂の製造プロセスを工業化することにより、自動車生産におけるこの素材の使用を経済的に実行可能なものにした世界初の企業となった。なお、CFRPを量産するために、金型による加圧・加熱成形法である「RTM(レジン・トランスファー・モールディング)」が駆使されている。炭素繊維の素材は三菱レーヨン製、繊維加工はドイツのSGL社が担当している。SGL社はBMと同じ資本系列の企業だ。
ライプツィヒ工場のみで「iモデル」の生産のために新しい工場建物と設備に約4億ユーロを投資し、800人の新規雇用を生み出した。また「i」の生産網は、アメリカ・モーゼスレイクのSGLとBMWとの合弁工場や、ドイツのヴァカースドルフ、ランツフート、ディンゴルフィングのBMWグループ工場で製造される「i3」の主要コンポーネントについても総額約6億ユーロを投資し、1500人以上の雇用を生み出している。
ライプツィヒ工場ではザクセン州知事スタニスラフ・ティリッヒ氏およびライプツィヒ市長ブルクハルト・ユング氏が出席し、BMW AGの生産担当取締役ハラルド・クルーガーが立会い、「i3」の量産が開始された。最初に生産ラインを離れたBMW i3は、9月29日に開催されるベルリン国際マラソンの先導車として採用される予定で、ドイツ人マラソンランナーのヤン・フィッチェン氏に引き渡された。ドイツ、ヨーロッパ諸国での「i3」の販売は11月に開始され、他の市場への導入は2014年初めの予定となっている。