【BMW】電気自動車「BMW i3」をニューヨーク、ロンドン、北京で同時発表 日本導入は2014年上半期

2013年7月29日、BMWグループは革新的なコンセプトに基づき開発された電気自動車、「BMW i3」をニューヨーク、ロンドン、北京で同時発表した。BMWグループのノルベルト・ライトホーファー会長はニューヨークの発表会の席上、「イノベーションは変化を促す。i3 はこれまでの自動車を超えるものであり、サステイナブルなモビリティに向けた革新的な一歩です」と語っている。なお全世界で既に9万件余りの試乗希望の意思表示がなされているという。

ニューヨークで行われた発表会。右から二人目がN.ライトホーファー会長

BMWグループ初の電動化された量産モデルである「BMW i3」はすべてのBMWのクルマに共通するドライビングプレジャーを実現しているのが特徴だ。もちろん将来の社会に向けての持続性は「BMW i3」 の生産・販売活動全体を通じて最優先されている。BMWグループの財務担当取締役であるフリードリッヒ・アイヒナー氏は北京での発表にあたり、「BMW i3は開発と生産に加えアフターセールを含むすべての段階で発展的持続性の新しい基準を確立しています」と語った。

「BMW i3」の航続距離は130km~160kmだ。MINI E 、BMW ActiveEの実証試験車両による大規模な市場での実験からの知見では、130~160kmの航続距離で大多数のドライバーが満足することが確認されている。一般的なドライバーが1日に走行する距離は世界平均で64km以下だ。しかし、この航続距離に満足できない人のために「BMW i3」にはレンジエクステンダー(発電用エンジン)がオプションで設定されている。2気筒ガソリンエンジンにより発電機が駆動されるこのシステムは、リチウムイオン・バッテリーの充電状況がある規定値以下に落ちると直ちに充電を開始する。レンジエクステンダー用の34ps(25kW)エンジンはリヤアクスル上の電気モーターの横に設置されている。レンジエクステンダー・タイプなら日常走行モードなら最大航続距離を約300kmまで延長することができる。

「BMW i3」は2013年11月中にドイツなどヨーロッパ市場で販売が開始される。アメリカ、中国、日本などでの販売開始は2014年上半期を予定している。BMW i3の基準価格はドイツで3万4950ユーロ(現在の為替で454万円)に設定される。オプションのレンジエクステンダーを選択するとドイツでの価格が3万9950ユーロ(519万円)となる。

「BMW i3」のランニングコストの低さは高い経済性を誇るBMW 320d(ドイツ仕様)との比較でも明確で、3年比較ではメンテナンスコストとランニングコストが40%ほど「BMW i3」が有利だ。この差は国により支給される補助金などの違いでさらに広がる可能性がある。

「BMW i3」というブランドそのものに対する世界の関心は極めて高く、Facebook 上で120万人余りのファンを持ち、9万人以上がすでにBMW i3 の試乗を希望している。

「BMW i3」はRTM製法により製造されるカーボンファイバー製パッセンジャーセル(ボディ骨格)、ポリプロピレン製のアウターパネル、アルミニウム製シャシー(プラットフォーム)など数多くの革新的技術を採用しており、軽量化の分野で新な基準を確立した。車両重量は1195kgと多くの既存のコンパクトカーより軽量で、しかも4人乗車に必要な十分に広いスペースが確保されている。

ドアは観音開きで、センターピラーレス。全幅が大きいため左右幅の広いインテリアスペース

軽量な「BMW i3」は俊敏な走りと優れた動力性能を誇る。同車のパワートレーンは125kW/170psの出力を発生し、発進時に得られる最大トルクは250Nm。「BMW i3」はわずか3.7秒で停止状態から60km/hに加速し、最高速度は効率上の理由から150km/hのリミッター付きとされている。

サステイナビリティの実現はBMWグループにとり絶対的な方針だ。例えば「BMW i3」の組み立てを行なうライプチヒ工場では「BMW i3」の製造に必要な電力をすべて風力発電でまかなっており二酸化炭素(CO2)の排出のない電力供給を受けている。また、必要なエネルギー量も、既に高い効率を実現しているBMWの製造プロセスと比べて約50%減。水使用量に至っては70%減を達成している。

RR配置の駆動モーター(左)とレンジエクステンダー用の2気筒エンジン(右)
標準モデルに搭載されている駆動モーター&パワーコントロールユニット
オプション設定のレンジエクステンダー・エンジンをモーターの隣に搭載した状態

 

「BMW i」の製品とサービスは一部の市場において、認定リテール・パートナー(BMW i 代理店)、カスタマー・インタラクション・センター(CIC)、オンライン・セールスプラットフォームやモバイル・セールスフォースで構成されるマルチチャンネル・セールスモデルを通じて販売されるのも特徴だ。すべてのセールスチャンネルはシステムにより管理されており、顧客はそれぞれ個別の販売チャネルを選ぶことができる。もちろん顧客は全てのチャンネル(最大4)の間を自由に行き来することができる。

BMW はこの新しいオンライン・セールスチャンネルを開始したことで変化する顧客の購買行動に対応する。顧客は製品に関する情報獲得のあり方や購入方法につき新しい可能性を望んでいるはずで、BMW iパートナーは「BMW i」セールスネットワークのバックボーンであり顧客にとっての主要な訪問先になる。

こうした包括的なeモビリティサービスアプローチにより、「BMW i」はドライバーのニーズに対応することを目的に広範な製品とサービスを提供する。BMWグループのBMWセールス&マーケティング担当取締役であるイアン・ロバートソン氏はロンドンでの「BMW i3」発表の場で、「われわれはシームレスで手間のかからない包括的な一流のサービス・パッケージにより『BMW i3』のお客様が運転の楽しさを最大限享受できるようサポートしたいと考えています」と語っている。

BMW i3 主要諸元

全長 3845mm                  動力 モーター
全幅 2011mm                  最高出力 125kW
全高 1537mm                  最大トルク 250Nm
ホイールベース 2570mm           リチウムイオンバッテリー容量 22.0kWh/360V
乗員 4名                    最高速 150 km/h
0-100km/h加速 7.2秒
車両重量 1185kg(エンジン付き1250kg)   航続距離 130~160 km
タイヤサイズ 155/70 R19 (前後)      電費 12.9kWh/100km
ホイールサイズ 5Jx19(前後)         充電 6時間(200Vによる100%標準充電)1時間(急速充電器による80%充電)
レンジエクステンダー・エンジン 650cc・2気筒 34ps

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