ニコル・オートモビルズは2025年1月20日、アルピナ創業家であるボーフェンジーペン家が手掛けた、アルピナ社(ブッフローエ)製最後のアルピナ限定モデル「B8 GT」を発売した。なお、このB8 GTは世界で99台限定、日本国内では30台限定での販売となる。
60年前となる1965年、ブルカルト・ボーフェンジーペンはアルピナという会社を創設した。当初の従業員は6人という小規模であったが、これがアルピナ・ブランドの誕生であった。
ブルカルト・ボーフェンジーペンの情熱と哲学は受け継がれ、現在のアルピナはBMWをベースとしながらもよりラグジュアリーなインテリア、卓越した走行性能、そして控えめながらスポーティな外観を備えており、目の肥えた愛好家のための特別なモデルを少量生産している。つまり、アルピナはマスマーケティングを前提とした自動車産業に対するささやかなアンチテーゼなのである。
そしてエクスクルーシブな存在である独自の限定モデル作りの長い歴史により、それらは今やコレクターやエンスージアストにとって魅力的な希少なモデルに位置づけられている。
こうしたアルピナの伝統的な限定モデルの哲学を継承し、BMW アルピナ B8 GTが誕生した。これは、アルピナの情熱を体現し、独自のエレガンスと印象的なパフォーマンスを融合させたモデルだ。またこのアルピナ B8 GTは、創業者のブルカルト・ボーフェンジーペンへのオマージュであり、世界で限定99台という希少なモデルなのだ。
搭載するパワートレインは、4.4LのV8ツインターボ・エンジンだ。このエンジンはB5 GT用をさらにチューニングし、最高出力466 kW(634ps)、最大トルク850Nmを発揮するアルピナ史上で最も高出力なエンジンである。組み合わされるトランスミッションは専用にチューニングされたZF製8速AT/AWD駆動システムだ。
AWDシステムも専用チューニングされており、前後駆動力配分はリヤ寄りとされ、電子制御LSDも専用ソフトウエアとの組み合わせにより駆動力と安定性を両立させている。
B8 GTの動力性能は、0-100 km/h加速はわずか3.3秒で、200km/hには10.5秒で到達する。200km/h を超えた後も、その加速は途切れることなく続き、最高速度330km/hに達する。
なお、強力なエンジンに相応しいアルピナのスポーツ・エキゾーストシステムは、力強い8シリンダーサウンドを奏でる。新しいセンターサイレンサーの採用により、ニュアンス豊かでスポーティなサウンドが生み出されるのだ。ツインテールパイプは、エレガントなブラック仕上げとなっている。
サスペンションの熟成のために、数多くのテスト走行と開発時間をかけて徹底的に最適化されている。新たにドームバルクヘッド・ストラットによりフロントエンドの剛性アップが行なわれ、ステアリング・レスポンスと精度が向上している。
エクステリアにはカーボンパーツを多く採用。フロントバンパーのエアダクト、サイドスカート、エアブリーザーのトリム、そして新しくデザインされたディフューザーがカーボンファイバー製だ。
21インチのアルピナ・クラシック鍛造ホイールは、エレガントなアルミニウム・サテン仕上げだ。複雑な鍛造工程により繊細で深い光沢を湛えた鏡のような表面にマットクリアでコーティングされている。ホイールセンターキャップはアルミニウムの無垢材から削り出されており、アルピナのすべてのモデルを特徴づける細部へのこだわりを体現している。
ディテールでは、Bピラーに施された控えめなB8 GTのロゴや、ブルカルト・ボーフェンジーペンのサインが入ったB8 GT 専用にデザインされたドアシルプレートが、限定モデルであることを強調している。
また、これまでのモデルではオプションのアルピナ・ハイパフォーマンス・ブレーキシステムも標準装備している。マルチピースのフローティングタイプのドリルドベンチレーテッドディスクと摩擦係数の高いブレーキパッドにより、優れた制動力を発揮する。
インテリアは、4種類のバリエーションから選べる専用のフルレザーシートを装備しており、高品質なメリノレザーとアルカンターラのシートセンター部分の組み合わせとなっている。コーディネートされたカラーアクセント、印象的なコントラスト・ステッチ、そしてフロントシートバックレスト上部のブルカルト・ボーフェンジーペンのサインが刺繍によって仕上げられている。
さらに、社内のアルピナ・レザー工房が提供する最高級の天然なめし革であるラヴァリナを使用したオーダーメイドのフルレザーインテリアも選択することができ、唯一無二の特別な存在に仕上げることも可能だ。
トリム類は、ウォールナット・アンソラサイト仕上げの高級ウッドトリムで、創業者ブルカルト・ボーフェンジーペンのサインが刻まれたカップホルダーの蓋に金属製のインサート仕様が標準装備となっている。
アルピナ製フルアルミニウム・シフトパドルも装備され、ルーフは高品質なアルカンターラ製ヘッドライナー仕上げだ。
その他に、ラゲッジルームマットとフロアマットには、B8 GT のメタルエンブレムが装備され、上質なレザーのパイピングが施されている。インテリアとエンジンルームにはステンレススチールのシリアルプレートが取り付けられており、B8 GT のシリアルナンバーが刻まれている。
またB8GTには2個の専用ウィークエンダーバッグが付属し、バッグは黒い最上級のラヴァリナ・レザーで作られている。ブルーのジッパーには”ALPINA” のロゴが型押しされ、両側には精緻に刺繍された”ALPINA” のロゴが施されている。
それぞれのウィークエンダーバッグには、ブルカルト・ボーフェンジーペンの署名と車両の番号が刻まれたステンレススチールの方形タグが付属している。このタグは、美しい木製の納車ボックスにも添えられており、車両のキーとB8 GT のキータグを収納するスペースがある。
B8 GT の納車におけるハイライトは、名高いスイスの時計・宝飾店であるカール F. ブヘラとの共同開発による限定クロノグラフが贈呈される。
「マネロ・フライバック」をベースとしたこの貴重な時計は、ブルカルト・ボーフェンジーペンのスタイルを反映したモディファイとなっている。文字盤はエレガントなブルーで、控えめなシルバーの”ALPINA” のロゴがアクセントとなっている。秒針はアルピナ・ブルーで仕上げられており、この文字盤は耐久性とスタイルを兼ね備えた43mmのステンレススチール製ケースに囲まれている。
コラムホイール式クロノグラフを内蔵したキャリバーCFB 1973ムーブメントは、56時間のパワーリザーブを備えており、サファイア・クリスタルの裏蓋からその精緻な機構を見ることができる。特別なデザイン要素として、自動巻きローターがアルピナのハイ・パフォーマンスブレーキシステムをイメージした意匠となっている。
裏面のベゼルには、B8 GT のタイヤにインスパイアされた精密なレーザーエングレービングが施されており、各時計は車両番号に合わせてパーソナライズされている。もちろんこの特恵も世界限定99本となっている。