BMWのプレミアム・コンパクト2シリーズの、218dアクティブツアラーに試乗してきた。
2022年6月にフルモデルチェンジを行ない、プラットフォームもUKL2に変更されている。型式もF45型からU06型へと変わり、最新世代へとモデルチェンジした。
2シリーズのアクティブツアラーはFF駆動で、今回のモデルが第2世代になる。プレミアムモデルでありつつ快適性、実用性をアピールしているモデル。BMWではスポーツ・アクティビティ・ヴィークル(SAV)に位置付けているMPV(マルチ・パーパス・ヴィールク)だ。
ボディサイズは全長4385mm、全幅1825mm、全高1565mm、ホイールベース2670mmで、先代モデルとホイールベースは同じで、全高が高いプロポーションも維持。ただフロントフェイスは大きく変貌し、ひと目で新型であることがわかる。
それは大型のキドニーグリルになり、EV車のようにグリルが塞がれているようにも見えるデザイン処理になっている。このあたりは空力性能を追求しフロントエプロン下部の吸気口はエアフラップ制御を採用しているのだ。
ドアハンドルはフラッシュサーフェス化され、ボディサイドの空気の流れを考慮するデザインだ。しかし指先の入る奥行きが短く、開閉はややしにくく感じた。爪の長い女性ではいかがだろうか。
ドアを開けシートに座ると、インテリアが一新され最新のインターフェイスになっている。目を引くのはiX譲りとされるカーブド・ディスプレイだ。モニターは弧を描き、BMWらしくドライバーオリエンテッドなコクピットになっている。
また、コンソールにあったiDriveが廃止され、タッチスクリーンで操作するようになった。そしてセンターコンソールはフローティングデザインになり、シフトレバーも廃止されている。トグル方式のドライブセレクターに戸惑うことなく、サッと使うことができた。ただし「P」ポジションがドライブセレクターでの選択ではなく、シフターのすぐ下にボタンで操作するようになっているので、最初は目で探索することになる。
試乗車は2.0Lのディーゼルターボでアド・ブルーを使用する直列4気筒エンジン。150ps/360Nmの出力で7速DCTが組み合わされている。他に3気筒1.5Lのガソリン・ターボもライナップする。モデルは218i(ガソリン)と218dがあり、グレードはエクスクルーシブとMスポーツがあり、218dアクティブツアラー・エクスクルーシブに試乗した。
エンジンは言うまでもなく静かで、ディーゼルであることを感じることなく高い静粛性がある。動き出してみるとBMWの雰囲気はそのまま継続されていることを、五感で感じることができる。
そして驚いたのは素晴らしく滑らかに走るフィーリングだ。機械が擦れるスラスト感が全くなく、トランスミッション、ドライブシャフト、そしてステアリングなどの動きがたっぷりと潤滑したオイルの中を抵抗なく作動している感覚だ。
タイヤの転がり抵抗すらほぼ感じない滑らかさで、80km/h巡行する高速道ではEV車と遜色のない静粛性を持ったディーゼルモデルだった。
乗り心地ではBMWらしい剛性感とシッカリ感があり、そうした意味ではやや硬めのフィーリングだ。それだけにワインディングでの走りは頼もしさを感じることになる。
試乗車にはARナビも装備され、カーブド・ディスプレイに写し出される。またヘッドアップディスプレイも装備されており、分岐での迷いとは皆無である。
Cセグメントサイズながら、後席のスペースもゆったりしており、3名乗車も問題はない。さらにシートを130mm前方へスライドさせることができ、ラゲッジスペースを拡大することができるのだ。また後席の背もたれを90度に起こすことも可能で、乗員がいなければこれだけでもラゲッジスペースが拡大できる。こうしたあたりで実用性を踏まえた仕様であることがわかる。
コンパクト・プレミアムモデルにも実用性を求めるユーザーにはおすすめしたいモデルだ。BMWとしては軽めの操舵感になっているステアリングやアップライトなドライビンポジションなどスポーティイメージを持ちながらも多くの人から共感の得やすい作り込みがされ、それでも走ればやっぱりBMWだと感じられるクルマづくりに感心するのは間違いない。
試乗車価格
車両本体:BMW 218d アクティブツアラー エクスクルーシブ 540万円(税込)
オプション:ミネラル・ホワイト(8万)、ハイライン・パッケージ(32万1000円)、電動パノラマガラスサンルーフ(17万1000円)