BMW1シリーズが2024年10月にフルモデルチェンジを行なっていたが、4代目となった120に試乗してきたのでお伝えしよう。

2024年6月にドイツでワールドプレミアされ、同年10月に国内でも発表。デリバリーは11月以降から順次納車がされていた。モデルはF40型からF70型へと変わり、FFプラットフォームのUKL2を継続採用している。ちなみに120のネーミングで従来の「i」がなくなっている。これはEVモデルにiが使用されているため、混乱を避けるためと思われる。



ボディサイズは少し大きくなり全長は4370mm、全幅1800mm、全高1450mm、ホイールベース2670mmのハッチバックスタイルだ。モデルは4モデルがラインアップし、ガソリンが120と120M Sport、そしてディーゼルMHEVの120dとラインアップし、トップモデルにM社が開発したMパフォーマンスシリーズのM135xDriveを揃えている。

今回試乗したのは120で、国内ではエントリーモデル。1.5Lの3気筒ガソリンターボで、48Vマイルドハイブリッドだ。出力は125kW(170ps)/280Nmで、1498kgのボディ重量を余裕で走らせることができる。

エクステリアを眺めると、キドニーグリルとヘッドライトまわりのデザインに新鮮さがあり、とりわけキドニーグリルはバーチカルなスリットが定番だったが、斜めのラインを入れるデザインに変わっておりインパクトがある。またヘッドライトまわりを環状のシグネチャーとする意匠デザインで、よりシャープな印象を受ける。そしてCピラーには「1」の文字が大きくエンボス加工されており、1シリーズの主張が見て取れる。



ちなみにリヤゲートの開閉は電動モーターを装備し、キックアクションにも対応するなど、上級車の装備が1シリーズにも装備されていた。
インテリアでは、BMW全モデルに共通していたダイヤル式のインフォテイメントやナビの操作ダイヤルが廃止されて、センターコンソールがすっきりとしたデザインに変わっている。またシフトレバーもなくなり、トグル型のシフトスイッチになり、シンプルな操作にはなったが、慣れないと駐車時に少し手間取る。



そしてメーターパネルとコントロール・ディスプレイは一体化されたデジタルメーターとなり、湾曲したカーブドディスプレイになっている。タッチ操作がメインとなる変更だが、インターフェイスも次第に熟成しているのだろう、操作に悩んだり、階層を探したりすることはなく、かなり改善できていると感じた。
走り出してみると、とても静かなことに驚く。市街地を他の車の速度に合わせて動き出すレベルでは、エンジンの音は一切聞こえてこない。車線の合流や追い越し加速などでもエンジン音は聞こえず、もはやモーターなのかエンジンなのかわからず、そこを意識すること自体が時代遅れだと気付かされるのだ。


つまり、Cセグメントのコンパクトカーであってもプレミアムブランドにふさわしいのは、高い静粛性となめらかな走行性能であって、駆動力は何か?はマニア向けのアイテムに変わってしまったのだろう。
一方でハンドリングや乗り心地はBMWらしさが際立っており、嬉しくなる。コンパクトなハッチバックスタイルの120だが、体幹がしっかりと感じられるモデルであり、コーナリング、直進、高速走行など、どんな場面でも体幹がしっかりしたモデルだと感じさせてくれるのだ。






見せかけの筋肉やボディスタイルでマッチョを演出しているモデルとは、明らかに異なり、走行性能でもっとも大事なのは体幹の強さだとでも主張しているように感じる。
その強さはステアリングの操舵フィールにも安心感と手応えが同居し、直進時にはどっしりとした安定感があるので、ドライバーは、何が起きても対処できると思わせる懐の深さを感じるのだ。
この体幹の強さこそBMWの魅力であり、1シリーズでも3にも、5にも共通したBMWらしさがここに存在している。これこそ量販モデルにはない気持ちよさであり、駆けぬける歓びを標榜する意味を深く理解し、感じることができるのだ。
このフィーリングが体に染み込んでいくと、次の乗り換えタイミングではEVを選択したくなるだろう。よりレスポンスは素早くなり、体幹の強さは継続して魅力的に感じられ、そして高い静粛性となめらかな走行を実現するのだから。
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◆番組:2025年 3/22(土)THE MOTOR WEEKLY 放送予告!(オンエア後リンク先よりポッドキャストで聴取可)
◆BMW 1シリーズにディーゼルターボMHEV搭載の120dをモデル追加(2025.02.27)
◆BMW 1シリーズがフルモデルチェンジでF40型からF70型の4代目に(2024.11.01)