【ベントレー・ジュネーブモーターショー2013】史上最速の「フライング・スパー」がワールドプレミア

2013年2月20日、ベントレーは新型「フライング・スパー」を発表。同時に、3月5日から開催されるジュネーブショーでワールドプレミアを行うことも明らかにした。

このベントレー史上最強・最速の4ドアサルーンである新型「フライング・スパー」は、優れたドライバビリティ、洗練された豪華さとクラフトマンシップ、際立ったデザイン、そして最先端のテクノロジーを融合。高性能なプレステージ・ラグジュアリーサルーンの新たな指標を確立したとしている。

新型「フライング・スパー」のデザインは、ベントレーらしい伝統的なデザインにスポーティな表情と現代的なディテールを組み合わせアスリートのような存在感を実現している。シャープで逞しいライン、LEDデイタイム・ランニングライトと宝石のような輝きのディップビーム・ヘッドライト、そしてテールライトなど印象的なライト類がフロントとリヤを特徴付けている。

リヤ部分では、長く低くなったトランクリッドによりサイドの形状になめらかさが加わり、ベントレー特有の蹄鉄を模したフィーチャーラインは車幅いっぱいに伸ばされた。またこの部分は、水平方向に長い楕円形のシングルLEDテールランプと一体化されている。豪華で広々としたキャビンのインテリアは手作業で製作される優美なレザーハイドとウッドパネルをあしらい、最新の防音技術と電子技術を組み合わせている。

ニューインテリアには600もの新しい部品が使用され、先代モデルから引き継いだ部品は、サンバイザー、グラブハンドル、アームレスト、そしてフロントコンソールや操作ボタンで使われているいくつかの部品だけだという。手作りされた伝統的な素材と現代的なデザインとを融合させ、超高級スポーツサルーンの究極のキャビンとして仕上げている。

8インチ・タッチスクリーン式の高解像度ディスプレイを備えたセンターインフォテイメント・システムは、Wifiによるモバイル接続、GPS受信も可能だ。リヤシート・エンターテイメントはリヤシートでくつろぎながら各種機能を操作できる携帯型タッチスクリーンリモートなどを備え、リヤのパッセンジャーもドライバーと同じように車内外の情報にアクセス可能だ。

8チャンネル・8スピーカーのオーディオシステムは車載ハードディスクドライブ、CD、DVD、SDカード、iPodなどから音楽を再生でき、高品質のサウンドが楽しめる。オプションで1100W出力のアンプ、別体式ウーファーを備える「Naim for Bentley」プレミアムシステムも選択できる。

 

また新型フライング・スパーは移動中もビジネスステージとなるユーザーのために、マルチメディア仕様を新た設定した。最大の特長はベントレー・コネクティビティユニット(BCU) で、登録済のSIMカードを使用し携帯通信機器、ノートパソコン、タブレット端末などを車内のWifiホットスポット経由でインターネットに接続することができ、64GBの専用ストレージも装備する。

フロントシートの背面には10インチLCDスクリーンを1つずつ装着し、下方のポケット部分にトップローディング式のマルチメディアプレーヤーを取り付け、ユーザーはDVD、SDカード、iPodやiPadといったUSBデバイス、HDMIデバイスなどからビデオ、写真や音楽を取り込むこともできる。もちろんリヤの乗員は各自で別々のコンテンツを見たり、各自でBCUからメディア配信をしたりすることができる。電池を充電するUSB充電ポートと有線のヘッドホンポートも備え、音楽やインターネットラジオをBCUから直接再生できる。さらにリヤシートのインフォテイメントシステムを楽むため、ベントレー製ワイヤレスヘッドホンも付属している。

 

なおシートは4座席タイプと5座席タイプが設定される。デザインを一新した前後のシートは、高品質の本革で、これまでよりもソフトでしかも丈夫な「レザーハイド」表皮とし、カラーは12色から選ぶことができる。各シートはメモリー機能とランバーサポート機能を備えた14ウェイ調整式シートだ。各席にシートヒーターとシートベンチレーションを設ける一方、フロントシートの後ろ側には収納スペースも組み込まれている。
4座席仕様の場合は、センターコンソールを前席から後席まで延長し、ウッドパネルをあしらった手作りの美麗なケースを取り付け、さらなる収納スペースを確保している。

新型フライング・スパーのキャビンも、ベントレーが誇る木工職人たちとデザイナーの手により上質に仕上げられている。使われるのは最高級のウッドパネルだが、1台のキャビンを完成させるためには、長い年月を経た天然木材が10平方メートル必要となるという。

フェイシアパネル、コンソール、ドアトリムパネル、ピクニックテーブルには、左右対称に木目を合わせた鏡面仕上げのウッドパネルが使われる。フロントキャビンはウッドパネルで包み込まれている感覚をさらに強調。このためにダッシュボードのウッドパネルは、ドアのウッドパネルと一体化されているかのように切れ目のない弧を描いて室内を取り囲む。もちろん天然材の美しさを活かすため、ウッドパネルはすべて手作業で製作され、72時間乾燥後にクリアラッカーで仕上げたものだ。ちなみにユーザーは、7種類のウッドパネルから、好みのものを選択できる(標準は木目付きウォールナット材と暗色のバイオリン調仕上げユーカリ材の2種類)。

ルーフライニングとピラーも本革の装飾を施し、高級感あふれるキャビンの雰囲気を高めている。本革のなめし皮の下には発泡体を何層も重ねてあり、どこに触れても心地よい手触りを感じることができる。リヤには電動式サイドブラインドを標準装備する。また追加費用なしのオプションでガラスサンルーフも装備可能だ。中央のリヤアームレストの後側には9Lの容量のボトルクーラーも装備できる。

新型「フライング・スパー」のボディは新たに開発され、衝突安全性能の目標値をクリアするのはもちろん、歩行者保護性能を備えている。ボディ全体の剛性を向上させ、荷重を効率よく伝達するためにフロアパンには、たわむ特性を持つ部品を採用。歩行者保護対策として、ボンネットは衝突時にポップアップする。この部分には新しい素材の強化パネルと可変形素材の両方が使用されている。

ボンネットとフロントフェンダーはアルミ製で、フェンダーの成形には、航空宇宙産業で用いられるスーパーフォーミング技術を採用。500度Cに加熱したアルミ合金パネルを圧縮空気で成形する工法である。この技術で成形したフェンダーはシャープな弧を描いてきれいなラインを浮かび上がらせ、しかも軽量に仕上がっている。

ドア構造も新開発で部品数を減らしながら品質と洗練性を向上。ドアの開閉フィーリングも最適化されている。その一方、トランクリッドには樹脂を用い、電子システム用メインアンテナを一体化させ軽量化を行っている。

新開発されたボディのねじり剛性は、先代モデルより4%向上し3万6500Nm/degreeに。シャーシ部品を支える高剛性プラットフォームによりNVHを低減する性能を高めている。その一方でボディ全体で50kgの軽量化も果たしている。また、空力特性を一段と洗練し、抗力係数(Cd)はわずか0.29として燃費の向上にも貢献している。

またキャビン内の騒音低減にも力が注がれ、従来から採用されている軽量アンダーフロア吸音パネルによるロードノイズの抑制に加えて、空力的に最適化した防音材をアンダーフロアのほぼ全体に装備。ウインドウガラス、フロントガラス、リヤガラスは防音ガラス製で、これらのガラスの中間層を防音シール材を挿入している。またウインドウガラスの周囲は2重シールとし、走行速度に関係なく風切音を最小限に抑えている。ドアの外板にも防音材を加え、室内へ侵入する騒音を低減。大型化したリヤマフラーは排気騒音を3000 rpmで12dB軽減するなどキャビンの静粛さは一段と高められている。

搭載されるエンジンは6.0L・ツインターボW12型エンジンで、ミッションはコンチネンタルGTとGTコンバーチブルのシリーズでも採用されているクイックシフトのZF製8速AT。W12型エンジンの制御には、最新のボッシュME17が使用される。

最高出力は625ps/6000rpm。2000rpmから発揮される最大トルクは800Nmで、ベントレーの4ドアモデルの中で史上最速の走りを備えている。現行モデルよりもパワーウェイトレシオは14パーセント向上し、0-100km/h加速は4.3秒、最高速度は322km/hという驚異的な動力性能を発揮する。他のベントレー同様に駆動システムは4輪駆動を採用し、フロントに40%、リヤに60%(フロントの最大トルク配分は65%、リヤ最大は85%)のトルクを配分することで、 あらゆる路面や天候の状況に対応した安定した走りが可能だ。なお燃費は、混合サイクル(NEDC)で14.7L/100 km、CO2 排出量は343 g/km。

タイヤは19インチサイズの専用タイヤが使用され、オプションで20インチ、21インチサイズも設定されている。この専用タイヤはサイドウォール剛性を従来より12%アップし、同時に路面追従性、衝撃吸収性を改善している。タイヤの開発においては12種類のタイヤ構造をテストして改良を重ね、乗り心地とハンドリング性能の最適バランスを追求したという。

また乗り心地を一段と向上させるために、コンピューター制御のエア式連続可変サスペンションの設計の見直しも行われた。スプリングのバネ定数を現行モデルよりフロントで10%、リヤで13%低減、常用域での乗り心地を向上させた。また、ふわつき、ピッチ、ロールを改善するため、急旋回時にはスプリングレートがよりハードに変化するチューニングも施されている。アンチロールバーはフロントで13%、リヤで15%ソフトに。各サスペンションのブッシュも25%以上柔らかくし、路面の騒音や振動がボディに伝わりにくくなった。

その他足回りではダンパーの油圧も変更されている。改良された連続可変式ダンピングコントロール(CDC)と連動して減衰力がよりクイックにアップ。その一方で低速走行時には非常に柔らかい乗り心地を実現し、あらゆる速度でボディコントロールと安定性のバランスを最適化している。サスペンションコントロールは4ポジションとなり、ドライバーが好みの減衰力を選択できる幅が広がった。またエアサスペンションを備えているため、車高は走行速度に合わせて2段階で自動的に低くなる。まず195km/h でフロントが5mm、リヤが10mm下がり、次に240km/hでフロントが8mm、リヤが13mm下がるようになっている。これにより安定性の向上と空気抵抗の低減を図っているのだ。

パワーステアリングの設計も新しくされ、作動油の流れを制御する速度感応システムのキャリブレーションも見直したという。車速に応じた可変アシストを実現し、高いステアリング精度と旋回時の一定の操舵力を組み合わせることでドライバーに安心感を与えることができる。

マルチモードESCも、改良されたシャシーに合わせて再チューニング。特に上級ドライバーの運転をESCが妨げないように設定され、ESCダイナミックモードを選択すると適度なスタビリティコントロールを維持しながら、ドライバーがハンドリング性能を限界まで引き出すことができるように配慮されているのだ。

ベントレー社のウルフガング・シュライバーCEOは、次のようにコメントしている。

「新型フライング・スパーは究極の高性能・高級サルーンです。当社のエンジニアの不断の努力により、パワー、快適性、洗練性、そしてハンドクラフトの上質さを完璧に組み合わせて開発しました。最新技術を装備した新型フライング・スパーはビジネスでもプライベートなリラクゼーションにでも対応でき、同時にドライビングプレジャーも十分に味わうことができます」

ベントレー フライング・スパー2013諸元表

 

ベントレー公式サイト

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