2014年3月18日、アウディ・ジャパンは、プレミアムコンパクトSUV「Q3」に、Qシリーズ初となるRSモデル「RS Q3」を設定し、同日から発売を開始したと発表した。
RSモデルは、改めていうまでもなくアウディのスポーツモデルの開発生産を担当する子会社のクワトロGmbH(ゲーエムベーハー)が手がける究極の高性能プレミアムスポーツモデルのシリーズ名称であり、RSの称号を冠したモデルはハンドメイドされたスーパースポーツカーであることを意味する。
エクステリアは、マットアルミニウムのフレームとハニカムメッシュを組み合わせたシングルフレームグリルを装備し、大型のエアインテーク、専用デザインのリヤスポイラー、リヤバンパー、マットアルミニウムスタイルのルーフレール、ミラーカバーなどの専用装備パーツがRSモデル共通で、際立った上質さを示している。またリヤディフューザーインサート、オーバル形状の大口径のスポーツエキゾーストが、ダイナミックさ、力強さを象徴している。
インテリアはRSロゴのエンボス加工が施されたスポーツシート、フラットボトムのステアリングホイールを採用。また専用デザインのインストルメントパネルを備え、MMI 3G+やBOSEサラウンドサウンドシステムなども標準装備している。リヤビューカメラ、リヤサイドエアバッグも標準装備される。パノラミックガラスサンルーフ、ファインナッパレザー+ダイヤモンドステッチングのシートなどはオプション設定。
RS Q3に搭載されるエンジンは2.5L・直列5気筒のTFSI直噴ターボエンジンで、最高出力310ps、最大トルク420Nmを発生する。このエンジンはクワトロ社が専用開発したもので、かつてのWRCマシン「アウディ・クワトロ」の伝統の延長線上にある超高性能スポーツエンジンだ。ボア・ストロークは 82.5×92.8mmというロングストロークで、排気量は2480cc。なおこのエンジンはRSシリーズのTT RS、RS3にも搭載されている。
この5気筒エンジンは点火間隔は144度、点火順序は1-2-4-5-3で、専用開発されたトーショナル・クランクダンパーを装備。5気筒ならではの独特のリズミカルなサウンドを発生することができる。エンジンの全長は494mmと極めてコンパクトで、4気筒並のスペースで横置き搭載される。エンジン重量は183kgで、前後の荷重配分は58:42と優れている。
シリンダーはディーゼルエンジンと同様のコンパクテッドバーミキュラ黒鉛鋳鉄(通称はCV鋳鉄と呼ぶ:圧縮芋虫状黒鉛鋳鉄)製で、きわめて軽量(薄肉化技術による)・高剛性なこの鋳鉄シリンダーをガソリンエンジンに採用するのはアウディが世界初となる。エキゾーストバルブはナトリウム封入式、バルブ挟み角は42度、圧縮比は10だ。またインテークマニホールドにはタンブルジェネレートフラップを装備している。ターボはコンプレッサーホイール径が64mmと大容量タイプで、最高過給圧は1.0bar。ターボ専用のオイルラインと専用の冷却水ポンプを備えている。
トランスミッションは7速Sトロニック、駆動システムはリヤアクスル直前にマウントされた油圧多板クラッチを使用したquattro (クワトロ:フルタイム4WDシステム)を組み合わせることにより、あらゆる路面状況においてこの大パワーを路面へ伝達し、優れた高速安定性と操縦安定性を実現している。なお通常走行は前輪駆動で、前輪のグリップ限界に達すると瞬時に後輪にトルクが分配されるシステムとなっている。動力性能は0-100kmh加速が5.2秒。その一方で燃費は11.5km/L(JC08モード)を達成している。
ホイールは5ツインスポークのVデザイン20インチアルミホイールで、255/35R20サイズのタイヤを標準装備する。さらにスポーク部がマットブラックの、アームローターデザインの20インチホイールを選択することもできる。フロントサスペンションはストラット式で、ロアアームとボディに直付けされるサブフレームはアルミ製だ。パワーステアは電動機械式でレシオは16.4。リヤサスペンションは4リンク式だ。
RS Q3はドライバー支援システムとして、クルーズコントロール、アウディサイドアシスト、アクティブレーンアシストがセットになったアシスタンスパッケージをオプション設定している。またこのアシスタンスパッケージは、新たにQ3 2.0 TFSI クワトロ(170Pps/211psモデル)にもオプション設定が可能となっている。