2017年3月7日、アウディはマイルドハイブリッドシステムと電動式コンプレッサーを装備した3.0L TFSIエンジンを搭載したQ8スポーツコンセプトを発表した。このモデルは将来のQ8シリーズの可能性を示したもので、その名の通りスポーツという部分に重点を置いて開発されている。
注目すべきなのはパワーパッケージ。従来のようなエンジンの力を使って駆動させるコンプレッサーではなく、電動式コンプレッサーとふたつのターボチャージャーを採用した331kW(450hp)の6気筒3.0 TFSIエンジンは、スタータージェネレーターをクランクシャフトとトランスミッションの間に配置。これがエネルギー回生の役割を担い、必要に応じて逆方向に作用して補助の駆動用モーターとしても働くようになっている。
【編集部のひとこと】
先週、メルマガで欧州はマイルドハイブリッドが直近の次世代環境車用技術である、という記事を掲載したが、コンパクトカークラスではなく、こうした大型のしかも、プレミアムモデルでも採用されている。量販大衆車用の技術であるという認識は改める必要がありそうだ。
内燃エンジンと電気モーターが同時に働くブースト運転の間は、電気モーターが発生する20kWのパワーと170Nmのトルクが加算され、合計350kWのシステム出力と700Nmのシステムトルクを発生。これがA8スポーツコンセプトをどのような速度、どのようなエンジン回転域からも瞬時に加速させる。
リチウムイオンバッテリーはリヤのラゲッジ下に設置。エネルギー容量は0.9kWhとなっていて、渋滞時などには電気モーターだけでの走行も可能。スタータージェネレーターは20kWのエネルギー回生能力を持っていてバッテリーは素早く再充電されるため、頻繁な電動走行も可能となっている。
走行性能は0−100km/h加速が4.7秒。最高速度は275km/h。それでいて航続距離は1200kmと長い。サスペンションにはダンパーコントロール機能付きのエアサスペンションであるアダプティブエアサスペンション スポーツを採用。90mmの幅で5段階調整が可能な最低地上高の設定とあわせて、幅広いシチュエーションで最適な乗り心地や運動性能を実現できるようになっている。
ホイールは23×11Jサイズを装備し、タイヤサイズは305/35-23。ブレーキローターには20インチ径のセラミックディスクを採用すすることで、この高性能車を確実に減速させている。
ボディサイズは全長が5020mm、全幅は2050mm、全高は1700mmとの発表。大人4人と4人分の大型スーツケースが積載できるよう、ラゲッジ容量は630L確保されている。
また操作系では、フロントウインドに重要な情報を表示する、コンタクト-アナログ式のヘッドアップディスプレイを採用。バーチャルに合成されたサインが、実際の環境の中に存在するように表示される。
バーチャルコックピットにも新機能を追加しているほか、これまではレバーやスイッチで操作していたエアコンコントロールなどを、タッチディスプレイでの操作としている。これら操作系は、人間工学的に操作しやすいよう、角度や搭載位置などが考慮されているのもポイントのひとつだ。