アウディ・ジャパンは、2019年7月3日に新開発されたクーペスタイルのフルサイズSUV「Q8」を9月3日から発売すると発表した。新登場の「Q8」は、Qシリーズのフラッグシップ・モデルに位置づけられ、従来のQ7よりさらにスポーティでラグジュアリーなクーペタイプのボディを採用している。
MLBプラットフォームを採用したフルサイズ・ボディ
Q8のライバルはBMW X6、メルセデス・ベンツ GLEクーペを想定している。Q8という車名は、アウディのA8、R8などと各セグメントのフラッグシップ「8」シリーズに準じおり、Qシリーズの最上位であることを示している。ニューブランドとなるQ8は2017年1月のデトロイト・モーターショーででコンセプトモデルとして公開され、2018年の中国・深センで量産モデルがアンベールされ、2019年3月にマレーシアで正式発売することを発表している。なお、この新型Q8はフォルクスワーゲンのスロバキアにあるブラチスラバ工場で生産される。
SUVならではの強い存在感と機能性を、洗練されたスタイリングで表現するQシリーズの頂点に立つ「Q8」は、Qファミリー専用にデザインされた八角形のシングルフレームグリルを採用している。クーペスタイルならではの低く、ゆるやかな弧を描くルーフラインやフレームレスドアを採用することで、4ドアクーペをイメージさせるスポーティでエレガントなフォルムとなっている。
ルーフ後端やCピラーのデザインは、かつてのアウディ・クワトロを思い起こさせるディテールとなっている。ホイールは20〜22インチの大径タイプを装着し、ダイナミックな走りを強調している。
ディメンション
Q8は、フォルクスワーゲン・トゥワレグ、ポルシェ・カイエン、ベントレー・ベンテイガ、ランボルギーニ・ウルスなどと同様にMLBプラットフォームを採用している。ボディサイズは、全長は4995mm、全幅は1995mm、全高は1705mmで、クーペのようなルーフラインとフレームレスドアを採用することで全高はQ7より30mm低く設定されている。精悍なフロントエンド、短いリヤオーバーハング、最大245mmの最低地上高(アダプティブ・エアサスペンション装着車)を実現している。
ホイールベースは2995mmで、5名の乗員に十分なスペースを確保。リヤシートは前後に100mmスライド調整可能で、605Lのラゲージコンパートメント容量は、リヤシートバックを折りたたむと1755Lまで拡大し、SUVとしての高い機能性を備えている。
ボディは、A8と同様のマルチマテリアルASF(スペースフレーム)構造を採用。つまりボディ骨格部はアルミ材と熱間成形の高張力鋼板で構成される。熱間成形スチール材の使用比率は重量比では14.4%に達し、鋳造アルミ材は15%、全アルミ材は23.7%となっている。骨格は環状骨格を採用し、極めて高いボディ剛性を実現している。
パワートレーンとシャシー
Q8は、ヨーロッパでは55 TFSI(3.0 L・V6)、45 TDI/50 TDI(3.0L・V6ディーゼル)、さらにSQ8 TDI(4.0L・V8ディーゼル)がラインアップされているが、日本市場向けは3.0L・90度V6 TFSIを搭載する「55 TFSI」に絞られている。
55 TFSIに搭載されるこのエンジンは、直噴/ツインスクロール・ターボ、連続可変バルブタイミング&可変リフト(吸気バルブ)Bサイクル(ミラーサイクル)運転を採用している。さらに48Vマイルドハイブリッドを採用。エンジンにはベルト駆動のスターター/オルタネーター(BAS)を備え、減速回生と駆動アシストを行なう。
ラゲッジスペースの下側には10Ahのリチウムイオン・バッテリーを搭載している。またこのマイルドハイブリッドは55km/h〜160km/hの速度域ではアクセルオフでエンジンを停止し、コースティング(最長40秒)を行ない燃費を低減させることができる。この3.0L・V6エンジンの出力は340ps/500Nmで、0-100km/hは5.9秒、最高速は250km/h(リミッター付き)。
トランスミッションは8速ATを採用。この8速ATはマイルドハイブリッドの採用に合わせ、コースティング時にはクラッチによりトルクの伝達は遮断される。またその間は電動オイルポンプが作動し、コースティングの終了時にただちに変速が可能となっている。
4輪駆動システムであるクワトロ・システムは、機械式の遊星ギヤ式センターデフを備えたフルタイム4WDだ。通常の前後駆動力配分は40:60で、タイヤのスリップ状態に合わせ前後に可変配分され、フロントは最大70%、リヤは最大85%の駆動トルクが配分可能になっている。またこのクワトロ・システムにブレーキトルクベクタリングも組み合わされ、どのような場面でもニュートラルで安定した走りが実現している。
サスペンションはフロントがアウディ独自のハイマウント型の5リンク式、リヤはコンパクトにパッケージされた5リンク式だ。標準では可変ダンピングが可能な「ダンピングコントロール・サスペンション」が装備され、オプションで最大90mmの車高を変化させることができる「アダプティブ・エアサスペンション」の装備が可能だ。また「S Line」パッケージを選択すると標準サスペンションはスポーツ仕様となり15mmローダウンされる。
パワーステアリングは可変ギヤ式のプログレッシブ・ステアリングが標準装備されている。さらにオプションでオールホイール・ステアリングが設定されている。このシステムは電動リヤ操舵が組み合わされ、後輪は逆相で最大5度、同相で最大1.5度ステアされ、回転半径の縮小、高速走行時の安定性が高められる。
走行モードは、コンフォート、オート、ダイナミック、インディビデュアル、エフィシェンシー、オールロード、オフロード(エアサス仕様車のみ)の合計7モードから選択できる。
インテリアとドライビング・アシスト
インテリアはラグジュアリーなラウンジを想起させるデザインと質感を両立。メーター部はバーチャル・コクピットを装備。さらにMMIタッチレスポンスと名付けられた10.1インチという大型のブラックパネルのディスプレイを備え、イグニッション・オフではブラックのディスプレイはブラック基調のトリムパネルと融合するようになっている。また大型センターコンソールにも8.6インチのロワ・ディスプレイが埋め込まれている。この最新のタッチディスプレイを採用しているため、スイッチ類は最小限となっている。
エアコンは標準が2ゾーン・エアコンで、オプションで4ゾーン・エアコンが装備できる。またラグジュアリーパッケージオプションで高性能な汚染物質除去ができる「エアクォリティ・パッケージ」を装備できる。シートは、標準シート、スポーツシート、ラグジュアリー・パッケージではマッサージ機能付きシートも装備される。
常時接続機能が標準装備され、常にオンライン(3年間無料)のため様々な情報、ニュースの取得、Googleアースを使用するナビ、SOSコールなどのテレマティックスをフル装備している。
運転支援システムは、フル装備され、さらにコンフォート・アシスタンス・パッケージを選択すると、レーダー式のフロント・クロストラフィックアシスト、プレゼンス(前後左右)、ターンアシストが追加される。
またアダプティプ・ドライブ・アシストを装備し、クルーズコントロール、渋滞アシスト、アクティブレーンアシストを統合制御し、全速度域で前車追従、加減速、車線変更をサポートする。道路標識、制限速度などの情報を取り込みながら自車の車速を自動制御するようになっている。
このパッケージにはドライバーモニターも装備され、ドライバーが警告に反応しない場合は、システムにより走行レーンに自動停止し、SOSコールが発信される仕組みになっている。