アウディ本社は2024年1月30日、SUVのフラッグシップであるQ7に2回目の大幅改良を行なった。新型Q7は、フロントとリヤを新しいデザインとし、SUVとしての力強いキャラクターを強調している。
アウディのラインナップの中で最も多用途で、5人乗り/7人乗りが選択できるQ7は、アウディの最新のデザインランゲージが特長だ。これまで以上に無駄を削ぎ落したフォルム、クリーンなボディパネル、そして非常に大きな積載容積を誇るQ7は、あらゆる状況で多用途に使用できるSUVモデルだ。
■Q7のパワートレイン
パワートレインは、V6ターボエンジンで、最大3.5トンの牽引能力を誇る。これによりキャンピングカーやトレーラーなどを牽引するには十分な能力を持っている。トランスミッションは、ZF製の8速ティプトロニックにクワトロ・フルタイム4輪駆動、マイルドハイブリッドシステムを搭載している。
マイルドハイブリッドシステムは、リチウムイオンバッテリーと48V主電源システムに電力を供給するベルト駆動式オルタネータースターター(BAS)で構成される。
Q7は、55~160km/hの範囲で走行中にドライバーがアクセルから足を離すと、エンジンを休止して、最長40秒間コースティング(惰性走行)が可能だ。そしてブレーキをかけると、6気筒エンジンを素早く再始動する。またアイドリングストップ機能は22km/h以下で作動する。
■デザイン、装備の刷新
ベースモデルとS lineエクステリアパッケージを一目で区別できるよう、ベースモデルのフロントバンパー、ドアトリム、ディフューザーの一部にはコントラストカラーを採用し、オフロードモデルとしての力強い外観を強調している。
SQ7 TFSIに近いイメージのS lineエクステリアパッケージは、フロントバンパーのサイドエアインテークが強調され、さらにスポーティさを強めている。
マトリクスLEDヘッドライトはオプション設定とされ、さらにアウディレーザーライトを備えたHDマトリクスLEDヘッドライトも選択可能だ。このマトリクスLEDヘッドライトは、左右それぞれ24個のLEDと高出力レーザーダイオードから構成され、ヘッドライトに組み込まれたレーザーテクノロジーを象徴するブルーのポジションライトによって識別することができる。
レーザーライトは70km/h以上の速度で作動可能で、ハイビームの照射範囲が大幅に拡大する。この最上位のヘッドライトには、デジタルデイタイムランニングライト・シグネチャーが新たに追加されている。
さらに、A8、Q8、Q5と同様に、デジタルOLEDリヤライトには、アシスタンスシステムと連動した近接表示機能が採用されている。
停止しているQ7の後方2m以内に走行車両が近づくと、コントロールユニットによりすべてのデジタルOLEDセグメントが自動的に点灯する。
今回のアップグレードにより、Q7の装備はさらに充実。ベースモデルのシートトリムのステッチには、コントラストカラーのグレーが採用されている。また、9種類の装飾インレイから選択することが可能だ。ベースモデルの装飾インレイにはナチュラルエルム・バールシルバーに加え、Q7 S lineスポーツパッケージおよびAudi SQ7 TFSIの装飾インレイには、シルバーのリニアエンボス加工を施したマットブラッシュアルミニウムとマットカーボンツイルが新たに設定されている。
オーナーがQ7をさらにカスタマイズできる3種類の新しい仕様も用意されている。特にスポーティな外観を実現するために、メタリック仕様にはサヒールゴールド、アスカリブルー、チリレッドが追加された。
多彩なホイールも用意されている。ホイールサイズは20インチから22インチで、5種類の新しいホイールデザインから選択することが可能。21インチ以上のホイールには、ブラックメタリック、光沢のあるブラックインレイを備えたグレーシルクマット、またはダイヤモンドカットのグロスブラックメタリックが設定されている。
より多くのアプリを搭載したのも今回のアップデートの特長だ。今回初めて、Q7にSpotifyやAmazon musicなどサードパーティのアプリを搭載し、直接使用できるようになっている。
ソフトウェアは定期的にアップデートされ、アプリの種類を継続的に増やし、インフォテインメント システムのパーソナライズ化をさらに進化させている。第3世代モジュラー・インフォテインメントツールキット(MIB3)は、アプリストアによって拡張することができる。
運転支援システムも、車両周囲の状況を表示する機能がアップグレードされた。特に、アウディバーチャルコックピットは、車線変更警告、他の走行車両(トラック、乗用車、モーターサイクル)との距離警告、交差点アシスト、信号器情報を、フルHD品質により表示する。
■SQ7 TFSI
SQ7 TFSIは、デザインを一新したフロントスポイラーとリヤディフューザーを採用。シングルフレームグリルには、スポーティなカラーによるL字型インレイが縦方向に配置され、存在感を強調している。ドアミラーハウジング、シングルフレームのインレイ、サイドエアインテークのエッジは、スポーティなアルミ調だ。
SQ7 TFSIは、最高出力373kW(507ps)、最大トルク770Nmを発生するツインターボ装備の4.0 TFSIが搭載されている。このエンジンは、素早いシフトができる8速ティプトロニックとクワトロ・フルタイム4輪駆動システムが組み合わされている。
SQ7 TFSIの0-100km/h加速は、わずか4.1秒で最高速度は250km/h。1-3-7-2-6-5-4-8の点火順序を備えた4.0 TFSIは、スポーティで重厚な独特のサウンドを奏でる。
また、低中負荷状態では、上位ギア選択時にシリンダーオンデマンドシステムが、燃料噴射および点火を止め、吸気バルブと排気バルブを閉じることによって、2番、3番、5番、8番の気筒休止をさせる。
ドライバーがアクセルペダルを踏むと、休止したシリンダーが直ちに再起動。スポーティなサウンドを実現するために、エキゾーストシステムの2つのアウターテールパイプには排気バルブが設置され、負荷とエンジンスピードに応じてサウンドをコントロールしている。
SQ7 TFSIにオプションのアドバンスト・サスペンションパッケージには、スポーツデファレンシャルも装備される。高速コーナリング時には、2つの多板クラッチを使用して左右の後輪の間でトルクを調整し、グリップの高いコーナー外側のホイールに、より多くのトルクを配分するトルクベクタリングを採用。より軽快で正確なハンドリングが可能になっている。
このパッケージにはエレクトロメカニカル・アクティブロールスタビリゼーション(eAWS)も装備されている。前後アクスルの可変スタビライザーが自動的に作動する。スポーツ走行時にはコーナリング時にロール角を大幅に減少させ、車両のハンドリングがより向上し、低速時には乗り心地を向上させる。このeAWSは48Vのスーパーキャパシタから電力を供給され作動する。
なお、この新型Q7/SQ7 TFSIの日本への導入時期は未定となっている。