2015年5月にフェイスリフト(詳細記事)したアウディQ3とQ3 RSに試乗することができた。<レポート:髙橋 明/Akira Takahashi>
アウディQ3シリーズは2012年に発売され日本で累計6641台販売され、アウディジャパンの中でも重要な商品にまで成長している人気モデルだ。アウディのSUVはやはりデザインがいいというユーザーが多いそうで、今回のフェイスリフトでは、エクステリアの小変更とエンジンの出力、燃費の改善が行なわれている。
ポイントとしてエクステリアではポジションライト、ロービーム、ハイビームともLEDを使用したフルLEDヘッドランプが全車にオプション設定され、シングルフレームがより強調されたデザインになった。そして搭載している2.0LのTFSIはもともと2種類あり170psから180psへ、211psが220psへとアップし、燃費もそれぞれ15.0km/L、14.9km/Lへと約18%程度向上している。その詳細はこちらを見ていただきたい。
試乗車はその改良された2.0L TFSIの180ps仕様のクワトロで、S-lineパッケージをオプション装備している。全長4400mm×全幅1830mm×全高1595mm、ホイールベース2605mmというサイズでCセグメントに属し、BMW X1やメルセデスベンツGLAがライバルだ。年間4000台の販売ができればプレミアムセグメントトップモデルになると、アウディジャパンは意気込むモデルだ。車両価格は469万円(オプション込593万円)。
インテリアでは黒を基調とした全体の印象は、高級感とプレミアムコンパクトに相応しい印象を与えつつ、シートの一部やハンドルにレザーを使い、ステッチで若々しさや積極的な印象を与えている。メーターも2眼式で見やすく、インフォメーションはメーター中央にデジタル表示される。<次ページへ>
エンジンをかけ走りだすと、ハンドルの軽さに気づく。プレミアムセグメントでは、やや重めというのがスタンダードだが、女性やプレミアムモデルのエントリー、SUVというポジショニングから、ユーザーを意識した軽めの設定にしているのだろう。
その軽さはワインディングでは軽快さにつながる。とにかく軽く、正確な舵角通りに動くことが気持よくなる。改良されたエンジンも滑らかで軽く吹け上がり6500rpmまであっという間に回る。装備されるパドルシフトも気持ち良く、素早くシフトするのでアウディらしいというのか、走りを存分に楽しむことができる。
装着するタイヤは235/50-18と立派なサイズだが50という、今となってはエアボリュームがあると感じてしまうサイズを装着。ストローク感のあるサスペンションということもあって、乗り心地も良く、プレミアムモデル御用達のしっとり感もちゃんと感じられる。滑らかなエンジンフィールとしっとりとした変速、乗り心地の優雅さもあって、さすがプレミアムモデルという印象だった。
◆Q3 RS
Q3のハイパフォーマンス・トップモデルとなるRSは、Q3とは全く異なる、シッカリ感でまとまっているという印象だ。インテリアはひと目で高級車であることを印象づける。レザーシートはファインナッパレザーをダイヤモンドステッチングした仕上げで眼を惹く。
ステアリングもフラットボトムタイプを採用し、グリップも太い。部分的にカーボンパネルを使うなどスポーティ感満載のインテリアになっている。
エンジンは2.5LのTFSI 5気筒で、+30psの340ps/450Nmという出力で、さらにトランスミッションも改良されている。7速Sトロニックは第5世代の油圧多板クラッチを持つDCTで、低速側をクロスとすることで、俊敏に走り5速以上はオーバードライブの設定にし、省燃費へ貢献し先代モデルに対して13%燃費向上し13.0km/Lになっている。
20インチタイヤが標準で試乗車のQ3 RSクワトロは255/35-20といいうタイヤサイズのピレリPゼロを装着。この大径極太のタイヤでありながらしなやかにストロークするサスペンションと、乗り心地の良さには感心する。
Q3では軽い操舵力のステアリングだが、RSではそれなりの重さがある。また直進の座りもQ3よりははっきりとしており、高速の長時間連続走行を想定していることがわかる。国内では100km/hレベルだが、アウトバーンを200km/hで巡航というシーンが眼に浮かぶ。
したがって、RSのファーストインプレッションである、シッカリ感というのはこの走りにおいても同様で、ハンドリングや乗り心地、身体のホールド性、そしてボディ剛性の高いクルマからくるフィールなどすべてがしっかりしている、という印象だった。