アウディ「e-tron50 quatrro S line」試乗記

アウディの電動化戦略の代表的モデルe-tron50 quatrro S lineに試乗してきた。各社電動化にむけサブブランドを立ち上げ、また既存のモデルも電動化していく戦略をとっているが、e-tronは既存のアウディブランドとは異なる新しい価値観の提案という部分も持ったモデルだ。

e-tronは電池容量やモーター出力の違いで55と50があり、試乗車は50。このetron50 quatrroは2021年1月に導入されており、さらに先行して20年9月からe-tron 55 quatrro Sportbackは販売されているのだ。

アウディは2025年までに主要国での販売台数の40%をPHEVとEVにする目標を掲げており、今後ますます電動化モデルが増えていくことは間違いない。そしてこのe-tronは既存のガソリン車と共通のプラットフォームMLB evoを採用している。

実は22年1月にはEV専用プラットフォームMEBで開発された「アウディQ4 e-tron」が国内発表され、22年9月から販売が始まることが伝えられている。ネーミングからするとQ4のEV版で、e-tronが専用モデルに思えるが、その逆でQ4e-tronがEV専用、e-tronはモデル追加になる。だが既存車にe-tronというモデルがないため、ポジショニングがやや複雑になっている。

ボディサイズは全長4900mm、全幅1935mm、全高1630mm、ホイールベース2930mmと大きくD+セグメントサイズの大きさだ。搭載するバッテリーは71kWhで航続距離は316km。モーターは2モーターで前後に配置。出力は230kW/540Nmとなっている。

運転席のドアをあけインテリアを覗いてみるとEV専用の仕様になっていることがわかる。もっともインパクトがあったのはオプション装備のデジタルサイドミラーだ。アウディでは「ヴァーチャルエクステリアミラー」という名称だが、そのモニター位置がドアの内張りにありインパクト十分。

実際の運転では左側のモニターを見るのには慣れが必要だ。右サイドは意外とすんなり馴染める。が、後続車との距離感がいまひとつ掴みにくく、余裕ある車線変更時は問題ないものの、突然現れる工事車両や駐車している車両に遭遇したときは、結局目視での車線変更をしていた。これも慣れなのかもしれないが、デジタルルームミラーであればそれほど感じない違和感をサイドミラーだと感じてしまっていた。

シフトレバーも専用デザインだ。グリップを握って飛び出ている操作ボタンを前後に動かしてシフトする。シフトパターンは従来と同様で前にスライドさせると後退、下にスライドさせるとDにシフトされる。これは見た目もよく違和感なく使えるシフトレバーだった。

ACCではレバー操作で稼働させるタイプで、じつはこれが直感的で使いやすい。ステアリングにスイッチがあるタイプは、単なるスイッチなので、位置を覚える必要があり、初めての車両のときは手元を見ての操作になってしまう。

しかし、レバー式だと先端のボタンを押して起動。起動したらレバーを上に上げると設定車速が上がり、レバーを下げれば速度も下がる。車間距離はレバー上部にあるトグル式レバーを上下に動かすことで設定できる。またレバーを手前に引けばリジューム(再始動)、押し下げればシステムのキャンセルというように、手元を見ずとも直感的にクルマの進行方向と同じ動きでプラス方向に、逆の動きで停止とかマイナス方向に設定にできて使いやすい。

さて、走り出してみるとEVらしい高い静粛性を感じ、20インチの大径タイヤもなんなく履きこなしている乗り心地がよい。操舵の手応えもフィードバックがあり気持ち良くステアできた。今回はワインディング走行が出来なかったため、細かなフィールは掴み切れていないものの、高速走行だけでもそのレベルの高さは感じられたのだ。

クワトロの名前のとおりAWDで前後に駆動モーターを装備しているが、もちろん前後のトルク配分変化など微塵もわからない。アウディの資料によれば従来の機械式クワトロの5倍の速さでレスポンスしているという。通常はリヤモーターで走行し、車両の安定性によってフロントモーターも稼働する。その反応は0.03秒。

気になる航続距離は316kmというスペックなのだが、この距離の30%近くが回生エネルギーからの電気量も含んでいる。言い換えれば、回生効率がすばらしく高効率な仕組みになっているというわけだ。したがって、試乗中も残りの航続距離が増えていく状況が頻繁にあり、ガソリン車の代替としても視野に入ると感じた。

最後にグレード展開をお伝えするとベースモデル、アドバンス、S lineの3グレードで、このほかにスポーツバックモデルもあり、スポーツバックはS lineグレードのみのラインアップになっている。<レポート:高橋アキラ/Takahashi Akira>

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