
約1年前の2024年7月16日にドイツ本社で新型アウディA5が発表され、11月から欧州ではデリバリーが始まっていた。国内では2025年2月17日に発表している。
アウディA5はA4の後継モデルとされネーミングが奇数に変わった。これは2024年の7月にドイツ本社で今後のアウディの名称は、偶数がEV、奇数がICE搭載モデルに変更すると発表したため、今回のA4後継モデルはA5へと変更されている。
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しかし、その後新型のA6が2025年3月5日ワールドプレミアされ、ICE搭載モデルもA6の名前で発表されている。そのため、偶数はEVというネーミングルールはないようだ。
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さて、その新型A5にはセダンとアバントがラインアップし、FFとクワトロがある。試乗車は「A5 TFSI quattro 150kW S Line」でリヤハッチを備えたセダンだ。車両本体価格は681万円と魅力的な価格。しかし、試乗車にはこれでもか!というほどオプションを装備しており、総額917万円に跳ね上がるモデルだった。
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豊富なパッケージオプション
パッケージオプションをお伝えすると、テクノロジーパッケージプロが45万円で、助手席のモニターディスプレイやシートヒーター、ステアリングヒーターなどが含まれるもの。それとS Lineパッケージで44万円。エクステリアデザインパーツやスポーツシート、19インチのアルミホイールなどが含まれる。
ちなみに標準モデルは225/55R-17だが、試乗車はS Lineの19インチではなく、さらにインチアップした245/35R-20インチサイズを装着。このタイヤ&ホイールだけで25万円だ。
さらにラグジュアリーパッケージSファインナッパレザーのオプションを装着。これが77万円で、シートマッサージやバング&オルフセンの3Dサラウンドシステム、そしてナッパレザーがふんだんに使われたインテリアといった具合だ。
この3つのオプションパッケージには、どのオプションに含まれるダブりの装備も含んでいるので、試乗車のようにフル装備する必要はなく、嗜好に合わせたオプション選択が賢いオプション選びになると思う。

フルモデルチェンジで刷新された新型A5
新型A5のハイライトは、フルモデルチェンジというわけで、プラットフォームもE/Eアーキテクチャーも、そしてボディデザインもすべて新しくなったことだ。
エクステリアデザインでは、S Lineパッケージを装着しているとはいえ、全体に精悍さが増し、筋肉質な印象が強くなった。例えばブリスターフェンダーはモータースポーツ由来のアウディのDNAとも言え、A4にはなかったデザインが取り込まれている。
ちなみにボディサイズはA4よりはひと回り大きくなり、全長4835mm、全幅1860mm、全高1455mm、ホイールベース2895mmとなった。
フロントグリルも薄型になり、全体に厚みを減らした方向のデザインに変わった。キャビンもコンパクトに見えるようにデザインされ、スポーティさと綺麗で、力強いプレスラインにより筋肉質なダンディズムを感じさせるルックスになっている。
プラットフォームはこれまでのMLB evoからPPCへと変わった。PPCはプレミアム・プラットフォーム・コンバッションの略で、つまりICE搭載用プラットフォームというわけだ。ちなみにEV系はPPEで、エレクトリックの略がつくプラットフォームを採用している。
サスペンションは前後ともに5リンク式を採用し、テクノロジーパッケージプロかS Lineパッケージを選択するとダンピング・コントロール・スポーツサスペンションが装着できる。こちらはタイヤサイズをアップした場合、ぜひ欲しいシステムだと感じた。




試乗車仕様と走りの印象



搭載するエンジンはガソリンとディーゼルがあり、FFモデルには110kW(150ps)/280NmのTFSI4気筒ターボが搭載され、クワトロモデルには150kW(204ps)/340Nmの同じくTFSI4気筒ターボエンジンが搭載される。ディーゼルには2.0Lターボが用意され、またS5には3.0LのV型6気筒ターボ270kW(367ps)/550Nmの強力なエンジンが搭載される。
試乗車は150kW/340Nmのガソリンターボだったが、シャシーが優秀なため、まだまだパワーのあるエンジンを搭載したくなる仕上がりだ。可変ジオメトリーターボ(VTG)を新たに搭載し、低回転時からのトルクの立ち上がりをよくしているものの、近年の電動化されたハイブリッドやEVに乗り慣れると、ターボラグやレスポンスを穏やかだと感じるようになる。
そして絶対値の204psもまだまだ余裕のボディ、ハンドリングであるため、ワインディングでは足さばきの優秀さが際立つことになる。
高速道路では静粛性が高く、巡航していると極めて乗り心地が良くプレミアムモデルであることを堪能できる。もちろん、サスペンションにオプションのスポーツサスペンションがあるため、ドライブモードの変更でダンピングが変化し、ゴージャスな乗り味が楽しめるというわけだ。しかし120km/h規制の場所も増え、高速域からのフル加速では、もうひと超え欲しいとも感じる場面は出てくる。


便利なのはADAS系の操作レバー。ほとんどのメーカーはステアリングのアーム上にあるスイッチで、セットし車速や車間距離を、そして再起動といった操作を行なうが、操作ボタンが小さいこともあり、どうしても手元を見ることが多い。
このアウディA5では、昔ながらのレバーを残しており、これが秀逸。手元を見る必要がなく、レバー先端をプッシュすればセットで、レバーの上下で車速が決められる。リジュームも簡単に操作できるので、この方式は大の好物なのだ。
操作性と連携性の大幅向上
新型A5のハイライトのひとつにデジタル関連のアップデートがある。見た目では11.9インチのバーチャルコックピットと14.5インチのタッチディスプレイで構成され、カーブドディスプレイでドライバーオリエンテッドだ。そしてオプションの10.9インチの助手席MMIディスプレイを装備するとピラーtoピラーでモニターディスプレイが覆うことになる。


これらの裏側にはE/Eアーキテクチャーが最新版に変更されており、E3電子アーキテクチャーバージョン1.2により、操作性とコミュニケーション機能が向上し、デジタルネットワークにシームレスに連携することが可能となり、パーソナルなコネクティビティ体験が提供されるのだ。
これはオーナーが使い込むほどに学習機能によって、よりオーナーへ必要とされる情報提供が行われるようになり、新時代のモビリティである価値をジワリと感じてくることになると思う。
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