アウディA4シリーズ/A5シリーズは2021年1月にマイナーチェンジを行ない、ディーゼルエンジン搭載モデルが追加となった。今回は35TDIと40TDI試乗したのでお伝えしよう。
まず最初の試乗車はA5スポーツバックのアドバンスドで40TDIクワトロ。今回追加されたディーゼルエンジンには、出力違いの35TDIと40TDIの2タイプがあり、35TDIはFFモデルに搭載され40TDIはクワトロモデルに搭載。そして35TDIには12VのBSGマイルドハイブリッドを搭載している。これは、ベルトドライブのスタータージェネレーターでアイドリングストップからの復帰などで利用し、減速時の回生エネルギーも回収している。
排気量はいずれも2.0Lの4気筒ターボで、その出力は35TDIが120kW(163ps)/3250-4200rpmで、最大トルクは380Nm/1500rpm-2750rpm。40TDIは140kW(190ps)、400Nm/1750rpm-3000rpm。どちらも7速DCTのSトロニックを組み合わせているモデルだ。
グレードはマイナーチェンジのタイミングでアドバンスドとS Lineの2グレードに集約され、ディーゼルエンジンはいずれのグレードにも搭載している。またグレード違いでもタイヤサイズは245/40R18で同一サイズ装着しているので見栄えは良い。
ボディサイズは全長が4755mm、全幅1845mm、全高1390mmでホイールベースが2825mm。ミッドサイズ、あるいはDセグメントプラスのサイズだ。ボディ形状は2ドアクーペと4ドアのスポーツバックの2タイプという構成だ。
さて、試乗した40TDIは言わずもがなガソリンエンジンとは区別できないほどの静粛性を持ち、滑らかな走りをする。2000rpmも回せば全て完結するほどトルクフルでたくましい。日常使いでは低回転トルク故ガソリン車よりも反応がよいと感じることだろう。
そして中間加速や追い越し加速などではすぐに最大トルクを立ち上がり、力強く加速していく。高速の合流や追い越しなども楽々と速度をあげていくので、その力強さは頼もしく感じる。
試乗したアドバンスドグレードは以前のS Lineよりもスポーティな位置づけとなり、マトリクスLEDヘッドライトを標準装備するなど充実したグレードでもある。そしてA5スポーツバックは4ドアクーペのように見えるが5ドアでファストバックスタイルとも言えるデザインだ。ちなみにフォルクスワーゲンのアルテオンも同様のスタイルなのだが、プラットフォームは異なり、アルテオンはエンジン横置きのMQBでアウディA5は縦置きのMLB evoという違いがある。
次にA4セダンの35TDIに試乗した。A4も出力違いの40TDIはラインアップし、セダンとアバントの両方に搭載されている。組み合わせるトランスミッションは7速Sトロニックで、FFモデルには35TDI、クワトロモデルに40TDIというラインアップはA5シリーズと同様だ。
試乗車はA4セダン35TDIアドバンスドで、グレード体系も同様にアドバンスドとS Lineになった。その35TDIはFFモデルで、マイルドハイブリッドを搭載している。
このマイルドハイブリッドは、前述しているようにMHEVが縁の下の力持ち的存在のため、普通に乗っている分にはその恩恵を大きく感じることはないが、燃費はよい。実燃費で365km走行し20km/Lをマークした。もちろん、市街地のゴーストップ、高速道路、ワインディングをテストしてのデータだから、丁寧に乗れば20km/L以上走るのは間違いない。前述のA5スポーツバックはクワトロということもあり18km/Lという実燃費だった。
試乗したA4セダンのボディサイズは全長4760mm、全幅1845mm、全高1410mm、ホイールベースは2825mmとなっている。ちなみに車重は1580kgで前述のA5スポーツバックは1680kgで100kgの違いがある。
さて、その35TDIと40TDIのドライブフィールの違いだが、380Nmと400Nmとの違いを体感するかになるのだが、結論からすればその違いを感じる場面はない。市街地で低速から中速域、そして高速での走行性能を比較しても見劣りするものはなく、一切の不満はない。
静粛性や乗り心地についてもA4シリーズとしてのプレミアム性を維持し、ディーゼルがネガな要素となることもない。安心してディーゼルを選択してよい。
メルセデス・ベンツやBMWにはディーゼルがすでにラインアップしており、アウディにも待ち望んだユーザーも多いことだろう。燃料高騰の今、もっともA4シリーズ/A5シリーズでおすすめなパワーユニットと言える。<レポート:髙橋明/Akira Takahashi>