【アウディ】A3セダン試乗記 積極的に選びたいプレミアムコンパクトセダン レポート:髙橋 明

マニアック評価vol254
アウディのコンパクトセダンとして2014年1月に導入されたA3セダンに試乗することができた。

セダンとはいってもかつての3BOXというより2BOXに近い、クーペスタイルの4ドアセダン
セダンとはいってもかつての3BOXというより2BOXに近い、クーペスタイルの4ドアセダン

◆ポジショニング
コンパクトセダンというカテゴリーはかつて、国内市場でもっとも賑わった時代があったほど人気のクラスだった。しかし顧客のニーズの変化やライフスタイルの変化に伴い、クルマに要求されるものも変わり、ハッチバックスタイルの2BOXタイプが現在の主流というように変化した。ただし、国内ではこの欧州の主流である2BOXハッチバックも人気がなく、ミニバンがメインというのが現状である。

したがってコンパクトセダンと呼ばれるモデルも、いまひとつぱっとしない印象がある。しかし、インポートモデルでは2013年にメルセデス・ベンツがAクラスのセダンCLAを国内導入し、そして今回アウディがA3のセダンを導入してきている。一度シュリンクしてしまったマーケットだが、再燃は十分有り得るだろう。

試乗車は17インチを装着。ほかに16インチ仕様もある
試乗車は17インチを装着。ほかに16、18インチ仕様もある
Cピラーの角度も滑らかで後席頭上付近のスペースは確保されている
ルーフ角度も滑らかで後席頭上付近のスペースは確保されている

 

セダン需要は年齢層の高い層で人気があり、カローラも国内専用で販売され続けているのも、販売側からの要求が強いからに他ならない。したがって、子育てが終わり、大きなクルマが不要となった熟年層には、こうしたプレミアムクラスのコンパクトセダンは琴線に触れるモデルと想像できる。つまり、インポートのセダンは、かつてのセダンとは異なり、積極的に選ばれるデザインをしたセダンという見方ができ、かつてクーぺを積極的に選んでいたような人が最新のセダンをチョイスする時代に変化したと言えるだろう。

アウディA3はフォルクスワーゲングループのMQB(主要部品のモジュール化)方式で製造され、ゴルフ7と共通になる。しかし製造ラインはゴルフがドイツ・ウォルスブルグでの製造に対して、アウディA3セダンはTTと同様にハンガリーのジュールでの製造となる。そのため、部品の共通化は進むものの、別行程の製造モデルといえる。

1.8LターボのTFSIは6速Sトロニックが組み合わされる
1.8LターボのTFSIは6速Sトロニックが組み合わされる
試乗車は225/45-17のタイヤサイズを装着
試乗車は225/45-17のタイヤサイズを装着

モデルラインアップは1.8LTFSIと1.4LTFSIの2種類のエンジン搭載モデルに大別される。そしてエントリーモデルは325万円(5%税込み)というプライスも魅力的だ。また1.4LはFFでクワトロはトップモデルの1.8LTFSIを搭載したモデルになる。それでも410万円(同上)という価格である。

ボディサイズは全長4465mm×全幅1795mm×全高1405mm、ホイールベース2635mmで、コンパクトセダンにカテゴライズされるが、日本ではたっぷりのサイズで、見劣りするようなサイズではない。

1.4LTFSIには2種類あり、ひとつはシリンダーオンデマンドと呼ばれるシステムが搭載され、気筒休止するエンジンだ。ゴルフ7ハイラインに搭載しているユニットと同じだ。もうひとつは、通常運転のTFSIで高効率のターボエンジンだ。1.8Lはゴルフには搭載されていないので、アウディ専用モデルともいえる。

◆インプレッション
試乗したのは1.8Lを搭載するクワトロでA3セダンのトップグレード。インテリアはアウディらしく豪華な印象でプレミアム感も高い。メタルの使い方と直接手で触れる場所の処理が上手いのだろう、上質で高級感を感じアウディの上級モデルにも引けを取らない。後席の頭部周辺の余裕もしっかりあり、セダンとしての役目をキチンと果たしている。

フロントは大きく力強いフェイスになっている
フロントは大きく力強いフェイスになっている
水平基調のインテリアは広がりと落ち着きがある
水平基調のインテリアは広がりと落ち着きがある

エクステリアでは、セダンとクーペの中間のようなルーフラインで、ショルダーラインにつながる伝統的なセダンとクーペのダイナミックさを融合したスタイルをしている。正面からもワイド&ローのシルエットでスポーティさをイメージさせる。ボディの軽量化、アルミ材の利用が得意なアウディはボンネットにアルミ材を使用し軽量化がされている。

アクセルはリニアに反応し、TFSIの特長でもある低速のトルクが力強い。180ps/280Nmというスペックだが、1.5tを切る車重には十分なパワーとトルクだ。フラットに加速するので、どの回転域でもストレスはない。組み合わされるミッションは6速のDCT、Sトロニックで、1.4Lモデルには7速のSトロニックが組み合わされている。パドルシフトもありスポーツドライブ気分も高揚する。

フロントシート
フロントシートはレザーで電動の調整機能付き
リヤシート
後席座面と全席シートバックとの距離もあり乗降に配慮

 

乗り心地は上質でしっとりとした乗り味になっている。ロードノイズやエンジン音なども低く抑えられ、高級車の必須条件である静粛性も高いレベルでクリアしている。タイヤサイズは225/45/17で、ゴルフ7のハイラインと比較すれば、やや固めの印象で、ゴルフよりスポーティ度が高いという位置づけが明確に分かる。

ドライバーズシート。操作系もしっとりとし、高級感がある
ドライバーズシート。操作系もしっとりとし、高級感がある
シンプルに2眼式だが、センター部にさまざまな情報が表示sれる
シンプルに2眼式だが、センター部にさまざまな情報が表示sれる

 

ハンドリングも正確で気持ちいい。クワトロというドライブトレーンだが、4WDが持つネガ要素は感じられない。低速時のハンドルの重さ、高速直進時の安定性と安心感は高く満足度は高い。このしっとりとした乗り心地の上質さがプレミアムクラスらしさであり、高級車に乗っている満足感が得られる。

アウディではこのA3セダンのキャッチーに「Your First Quattro」という表現を用い、クワトロのエントリーモデルとしてアピールしている。そのクワトロ魅力は高速道路での直進性の高さ、座りの良さなどで感じることができる。もちろんクワトロはあらゆる路面状況でも安心で、安全に走行できるための技術が投入されているモデルということだ。

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